星見酒④
明日は出張のため、次の更新は明後日です。
アリスに貰ったワインをワイングラスに注ぎ、それを眩しいほどに流星群が流れる夜空にかざしてみると、ワインに流星群が映り、なんというかコレはまた凄く幻想的で美しい感じだった。
「滅茶苦茶キラキラしてて、もの凄い贅沢をしてるような気分になりますね」
「そうですね。実際、アリス様のワインはとてもいいワインですし、一般人では来るのが難しい絶景の場所で流星群を見ながらなので、事実として贅沢ではありますね」
「ジークさんの作ってくれた美味しいつまみもありますし、確かに贅沢ですね」
「い、いや、私の料理を高級ワインや流星群と並べてしまうと、見劣りしてしまうので恥ずかしいですが……」
「むしろ俺としては、ワインと流星群とジークさんの料理だと、ジークさんの料理が一番嬉しいですけどね」
「お、大げさですよ……嬉しいですが」
実際にその三つで一番嬉しいのはジークさんの手料理である。ジークさんは料理が得意なのだが、実際にジークさんの料理を食べれる機会というのは少ないのだ。
普段の食事は基本的にリリアさんの屋敷の食堂で食べているので、料理長を始めとしたリリアさんが雇っている料理人が作ってくれているし、ジークさんは警備隊の仕事がある関係で食事時間がズレたりするので、自分で調理して食べることも多いらしいが……。
いや、ジークさんは優しいので食べたいと言えば本当にいつでも作ってくれる気はするのだが、かといって気軽に頼めるかと言えば難しい。
一緒にお茶をしたりする際に、手作りの茶請けとかを出してくれるので、菓子類は食べる機会も多いが、料理となると本当に機会は少ないので貴重である。
「さっきも言いましたけど、ジークさんの料理は優しくてホッとする美味しさというか、個人的にかなり好きなので、こうして食べられるのは嬉しいですね」
「……そこまで言ってくれるのなら、今度またお弁当でも作るので、どこか遠出でもしますか?」
「あっ、いいですね。ピクニックとかもいいですけど、どこかの街を観光して公園で食べたりってのもいいですよね。最近ちょっと首都以外にもいく機会が増えたんですが、やっぱり街ごとに特色というか、違いがあって楽しいですね」
「詳しく聞いてみたいですね。私もあまりシンフォニア王国以外に赴いたことがなくて、アルクレシア帝国やハイドラ王国の街並みというのは少し気になりますね」
「たとえば、のどかな感じだと……フライングボードの大会に参加した時の……」
美味しいつまみを食べて、ワインを飲みつつジークさんと他愛のない雑談を行う。俺の話を聞いて、ジークさんが微笑みながら相槌などを打ち、時折自分の経験談なども話してくれる。
そうして話すうちに、また今度一緒に行ってみようという感じに話が広がり、楽しみな予定が増えていく。先程は凄く贅沢と言ったが、同時にとても幸せな時間を過ごしている感じで、なんというか本当に心が温かくなるような気分だった。
「……そういえば、ジークさんは……」
「はい?」
話の流れでジークさんになにかを聞こうとしたのだが、ジークさんの顔を見て思わず思考が飛んでしまった。元々ジークさんはとても整った顔立ちの美女であり、美形で優し気なエルフのお姉さんという雰囲気で、そもそもビジュアル的な魅力は凄まじい。
そんなジークさんが、相手が恋人の俺だからだろうが若干無防備にも感じられるぐらい気を許した表情でもたれ掛かってきており、星明りに照らされる顔はアルコールが入ったことでほんのり赤くなっていて……なんというか、改めてとんでもなく可愛いと再認識したというか、そんな感じの衝撃だった。
「あ~すみません。聞こうとしたことをど忘れしちゃいました」
「ふふ、たまにありますよね。思い出したら、教えてください」
「はい」
俺の言葉に楽し気に笑いながら、ジークさんは俺の胸元に頬を擦り付けるような仕草をしてくる。可愛いが過ぎるのだが? 今日はなんかいつも以上にリラックスして甘えてくれてる感じというか、こちらに対して隙を見せてくれている感じで、普段とのギャップもあってひとつひとつの仕草がとても可愛い。
「ん?」
「あっ、えっと……」
そんなジークさんについ見惚れてジッと見てしまっていたみたいで、ジークさんが少し不思議そうな表情を浮かべて首を傾げた。
なんと答えたものかと少し考えていると、ジークさんは優しく微笑みながら口を開く。
「……キス……しますか?」
「え? あ、はい。じゃあ、失礼して……」
そういうつもりではなかったのだが、ジッと顔を見ていたことでジークさんは俺がキスをしようとして、ジークさんが酒を飲んでいたのでタイミングを図っていたと、そう解釈したらしい。
そしてまぁ、見惚れるほどに可愛い恋人からそんなことを言われて、その気にならないわけもなく。ジークさんの言葉に頷いて顔を近づけ、唇を重ねる。
「んっ……」
互いに酒を飲んでいるからか、それとも少し照れているからか……少し前にキスをした時よりも、ジークさんの唇が温かいような気がして、それがまたどうしようもなく心地よくて、しばし夢中になってしまった。
シリアス先輩(全身金平糖)「……」
マキナ「もぐもぐ……ふむ……う~ん……むんっ!」
シリアス先輩「はっ!? か、体が元に戻った……マキナが戻してくれたのか? ありがたいけど、この糖度だと、またすぐに金平糖に……」
マキナ「大丈夫だよ。金平糖にならないように調整して復活させたから」
シリアス先輩「神か……神だったわ。なんだ、イカレた頭おかしいやつだと思ってたけど、いいとこもちゃんと……」
マキナ「金平糖は飽きてきたから、次は星型のミルキークッキーになるように調整しといたよ」
シリアス先輩「………いつも通りのイカレた頭おかしいやつだった………一瞬でもお前を見直しかけた私が馬鹿だった」




