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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした  作者: 灯台


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2422/2511

広がる余波㉓



 神界の神域、シャローヴァナルより急遽の呼び出しを受けたライフはシャローヴァナルの前で膝をついて頭を下げる。

 その姿を確認して軽く頷いたあとで、シャローヴァナルは静かな表情で告げる。


「……貴女は最近、アルクレシア帝国のリッチ男爵関連に指示を出しましたね。その件ですか、黄金リプルも収穫できるようにしてください」

「……シャローヴァナル様、無知なこの身をお許しください。黄金リプルとはいったい?」

「最愛の相手と食べる特別なリプルです。快人さんと食べたいので……私が作り出してもいいですが、本場であるという事にも拘りたいので、リッチ男爵領で採れるようにしてください。細かく説明するよりも分かりやすく伝えましょう」


 そう告げてシャローヴァナルが指をかざすと、ライフの頭の中に先程シャローヴァナルが聞いた快人とマリーの会話が浮かび上がってきた。

 それにより黄金リプルというのが、過去の貴族が宣伝のために作り出した架空の果実であり、シャローヴァナルはそれの再現を望んでいるという事を理解した。


「……なるほど、畏まりました。リッチ男爵領にて、黄金リプルが収穫できるように調整を行います」

「任せます」


 特にそれ自体は問題ない。要するに黄金リプルとは極めて美味なリプルであり、それを収穫できるように調整するというのは、生命の神たるライフにとっては容易なことだ。


「ところでシャローヴァナル様、ひとつ質問をお許しください」

「許します」

「……あちらにある島は、なんでしょうか?」


 シャローヴァナルの要望を了承した後、ライフは許可を得て神域を訪れた時から疑問だったことを尋ねることにした。それは、神域のすぐ近くに空に浮かぶ島が出来ており、あまりトリニィアでは見かけない形の建物がいくつも建っていたため疑問に感じていた。


「あれは、温泉街です」

「……温泉街?」

「はい。快人さんとイチャラブ温泉旅行を約束しています。ですが、温泉に一緒に行くこと自体は過去に何度か行っているので、変化を加えたいと思って温泉街を作っています。いまあそこにあるのは、地球神の世界にある温泉街をそのままコピーしたものです。そのままでも問題はありませんが、せっかく快人さんとのイチャラブ温泉旅行なので複製そのままというのも気になるので、こちらの世界に合わせてアレンジを加えているところです」

「なるほど……アレンジですか……」


 シャローヴァナルの返答に納得したように頷いたあとで、ライフはなにかを考えるような表情を浮かべた。そのまま少しの間沈黙した後で、シャローヴァナルに深く頭を下げながら口を開く。


「……シャローヴァナル様、恐れながら……先程の黄金リプルに関して、個人的な意見を口にする無礼をお許しください」

「許します。言ってみてください」

「はっ! 黄金リプルに関してですか……実際に金色の色合いのリプルを作るというのはいかがでしょうか?」

「ふむ……」

「私もまだ未熟ながら白神祭や、ミヤマさん関連の行事などで少々知見を広げました。見た目における特別感や希少性などは、その品物の価値を高めると共に一般の品との差別化に繋がると認識しております。黄金リプルは厳密にいえば、現時点で世界には存在しないものであり、内容を把握する限り必ずしも通常のリプルと同じ外見でなければならないというわけではないと判断いたしました。故に、シャローヴァナル様がミヤマさんと食す予定の品であるなら、それにふさわしい特別な見た目の品にするのもいいのではと具申いたします」

「なるほど……確かに見た目における特別感もいいですね。では、そのようにしてください」

「はっ!」


 シャローヴァナルのアレンジという言葉を聞いて、黄金リプルを言葉通りの意味で黄金の果実にするべきではというライフの提案を肯定した後、シャローヴァナルは少し沈黙してから口を開く。


「……見た目だけでなく、他の部分のアレンジも含めて黄金リプルの作成に関しては、貴女に一任しましょう。よく学びを得て視野を広げているようですし、己で考えて私に意見してきたのも成長を感じられました。いまの貴女であればきっと、私が満足できる品を作り上げるでしょう……期待してますよ、『ライフ』」

「ッ!?!?!?」


 その瞬間、ライフの心にとてつもない衝撃をもたらした。世の中にこれほど幸福なことが存在するのだろうかというほどの喜びが一瞬で胸に満ち、目からは大粒の涙がとめどなく流れる。

 いまにも叫び出したいほどの喜びを必死に抑えながら、ライフは深々と頭を下げる。


「はい! 必ずや! シャローヴァナル様のご期待に応える品を作り出してみせます!!」


 シャローヴァナルに名を呼ばれ、期待していると声をかけられて仕事を任せられた。それがもたらす影響は大きく、ライフの目には燃え盛るかのような決意が満ちていた。


 ……黄金リプル作成に対する生命神ライフのやる気が、上限を突破した瞬間だった。




シリアス先輩「いや、それはあかん……そんなこと言うと、マジでライフが本気出しちゃうから! リッチ男爵領が大変なことになっちゃうから!?」

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― 新着の感想 ―
数日更新から目を離していたらチャージ型胃痛戦士のK案件がピタゴラスイッチ的悪意を持って迫ってきてて笑う。こんなん胃どころか土地ごと消し飛ぶやろ!
すごい!世界からカイト君への愛がすべて胃に対する攻撃力に変換されている! 多分、変換率100%じゃないかなこれ… 人類が追い求めた夢の無限エネルギーがついに見つかりましたね 汎用性?そこになければない…
そうだよなあ、この流れでシャローヴァナルが「創造りました」なんてするわけないよなあ
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