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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした  作者: 灯台


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広がる余波⑮



 マリーさんと一緒に店内に入ると、さすがに高級店らしく広々とした店内だった。俺が何度か行ったことのあるシンフォニア王国の服屋とは違ってここはどうやら女性服の専門店のようで、女性ものの服しかなく店員や他の客もほぼ女性であり、僅かに見える男性の姿は俺と同じく女性の付き添いでの来店だろう。


 パッと見た感じだと、店内にいる客一組一組に店員がひとり付いて案内をしている様子で、貴族向けの店って雰囲気が強い。俺とマリーさんの元にもスーツっぽい服をビシッと着こなした女性店員が近付いてきて一礼する。


「ご来店ありがとうございます」

「彼女に服を買いたいのですが……」

「畏まりました。ご予算のほどは?」

「……そうですね……えっと……」


 あ~なるほど、そういう感じなのか……ここでいくらぐらいというのを伝えると、店員がそれに応じた価格帯の服の場所へ案内してくれて、服を選ぶのをサポートしてくれる感じか……。

 さて、いくらぐらいだろう? なんか偉そうにある程度は慣れてるとか言った上に、服をプレゼントすると押し切った手前、ここでマリーさんに「いくらぐらいの服がいいですか?」とは聞き辛い。というか、たぶんそう聞くと、マリーさんはかなり遠慮して低い金額の品を希望しそうな感じがする。


 あと単純にチラリと隣を見るとマリーさんは、完全に高級店オーラに尻込みしてる感じで、話振ってもまともに返答できない可能性もあるので、ここは俺がしっかり考えるべきだろう。


 さて、貴族の服がどのぐらいの価格が相場なのかという話だが、幸いなことに俺には参考にできる過去の経験があった。

 六王祭の前にリリアさんと一緒に服を買いにいって、その時にリリアさんが購入した服が礼服やパーティ用ドレスほど派手ではないが、しっかりとした高級感のある服であり、今回マリーさんが購入しようとしている服に近いと思う。

 あの時は俺がリリアさんに服を一着プレゼントしたので、金額は覚えている。


 ……だが、俺も馬鹿ではない。リリアさんは公爵家の当主でありマリーさんは男爵令嬢だ。リリアさんの購入した服の金額をそのまま参考にしてしまっては、恐らくマリーさんの想定をはるかに超えた高級品という形になってしまうだろう。

 ここで重要となるのは、あの時偶然ではあったがもうひとり……ジークさんもあの店に来て、ジークさんの服も俺がプレゼントしたため金額を把握している。


 ジークさんは一般人寄り稼いているとはいえ平民であり、貴族であるマリーさん用の服はあの時ジークさんに買ったものよりは上の価格の品が相応しいだろう。

 つまり、ジークさんに購入した服の価格以上、リリアさんに購入した服の価格未満という価格帯が、マリーさんに適した価格帯というわけだ。


 ……まぁ、強いて問題を上げるとすればあの時買ったリリアさんの服の90000R……日本円で約900万円であり、ジークさんの服が15000R……日本円で約150万円なので、価格の差がかなり広いのでどのぐらいかというのが悩ましい部分ではある。


 安直に考えれば、間を取って50000Rぐらいがいいのでは無いかと思えるが……過去の経験上そのパターンは失敗する。なのでここは、思い切ってジークさん側に寄せるのがいいのではないかと思う。

 それで店員やマリーさんの反応を見つつ、感応魔法も使って……なんか駄目そうなら金額を訂正する感じでいこう。


「……装飾品は含まず、服だけで金貨3枚ぐらいでお願いします」

「!?!?」

「畏まりました。ご案内いたします」


 俺の予想金額の金貨5枚……50000Rをさらに半分近く減らして、金貨3枚……30000Rの想定を伝えると、店員の反応は特になく、一礼していて、マリーさんは一瞬驚いたような表情を浮かべたが、すぐに表情は元に戻ったし、感応魔法で伝わってくる感情も落ち着いてきている感じだったので、たぶん大丈夫かな?


 マリーさんの反応を見る限り、もしかしたら金貨2枚ぐらいが丁度よかったのかもしれないが……まぁ、いいだろう。少なくともマリーさんから、間違ってるけど訂正しにくいとかそんな感じの遠慮してる感情は伝わってこないので、たぶんマリーさんの想定よりは少し上だったが納得できる感じの金額だったと思う。


「……聞き間違え……銀貨3枚の……聞き間違え……」


 いい感じの金額提示が出来たと思い込んでいた俺の耳には、マリーさんが己に言い聞かせるように小声で呟いていた言葉は聞こえてこなかった。




シリアス先輩「おっとこれは、今回は珍しく短絡的な選択ではなく、しっかり考えてちゃんと根拠と共に金額を選んだ賢い快人なわけですが……なんか駄目そうな雰囲気ですね。これは、なにが不味かったのでしょうか、解説の???さん」

???「これは、参考にする案件を間違えましたね。カイトさんがここで参考にすべきだったのは、セイギさんの結婚式用の服を後輩ふたりと買いに行った際の価格ですね。そっちならよかったんですが……リリアさんと購入に行った際は、初開催の六王祭かつリリアさんは5人の六王に招待を受けて最終日のパーティにも参加する。他の参加者から多くの注目を集める中で、公爵として相応しいランクの服を買いに行ってたので、そもそも並みのパーティドレスより高い服買ってます」

シリアス先輩「ほうほう……」

???「しかも、ジークさんの服の価格を参考にするという考えは良かったんですが……カイトさんはすっかり大事なことを忘れてるんですよね。それは、あの時カイトさんがジークさん相手に買った服は、ジークさんが金額を見て『高すぎて無理』となった服で、ジークさんが想定していた金額を遥かに超える服だったわけですよ」

シリアス先輩「……つまり、ヤバいと?」

???「参考までに、リッチ男爵が多めに渡すから使い切ってもいいよって、マリーさんに渡したのが『銀貨5枚』です」

シリアス先輩「おぅ……」

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― 新着の感想 ―
カイト!!なんで自分で判断したーーーww アリスちゃんに問いかけろよw お前が判断すると決まって胃にダメージ与えるといい加減に気付いてくれw
まぁどんだけ考えてもこのチャンスに胃を殴らないわけがないわな
マリ胃に更なる胃痛を追加!! 胃痛の悪魔のデンプシ胃ロール継⋯⋯
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