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広がる余波⑥



 結局茜さんとの契約に関しては、利益の1割を俺が貰う形で落ち着いた。茜さんは若干不満そうというか、俺の取り分をもっと多くしたかったような感じだったが、俺がそもそもそんなにお金を欲しがってないというか、現状でも所持金を持て余し気味というのは分かっているみたいで、最終的には納得してくれた。


「ここにサインして……印も押したほうがいいですか?」

「あるんやったら、押してくれた方がありがたいな。アニマさんが取引の時に使うてた印を、快人も持ってる感じか?」

「ええ、アニマが作って渡してくれましたね」


 アニマが資金運用して、出資などをしている関係上俺の家の印鑑というのも存在はしている。そしてアニマが使っているのは、当主代理としての印鑑であり、俺が持っているのはアニマの印鑑よりちょっと豪華な感じの当主本人のみが使える……という名目の印鑑だ。

 貴族とかだと定番みたいで、リリアさんもアルベルト公爵家の印鑑の他に、リリアさんのみが使える印鑑というのを持っているらしい。

 ともかくその印鑑を、サインの横に押して紹介状は完成である。


「おおきにな、これでガッツリ儲けれそうやから、快人も分け前期待しといてくれや」

「頑張ってください……ところで茜さん」

「おん?」

「シャロン伯爵家の方にはあんまり関わる気が無いって言ってましたけど、そっちの方は茜さんはどんな風に予想してるのか聞いてみたいんですが……」

「あっ、私も聞いてみたい。いまのところ、快人くんにお勧めされた竜王配下とかで流行するかなぁぐらいしか思い浮かばないよ」


 リッチ男爵家関連に関する茜さんの読みは、なるほど流石は一流の商人だと思うような鋭いもので、俺としてはまさかそんなことにはなると思っていなかったので、もの凄く参考になった。

 それこそ、マリーさんとかが大変だと思うので、場合によってはなにかしたて出すかとかした方がいい気もするんだが……でも、土地開発だとか商売だとか、素人が変になにか言ってもおかしくなるだけだし、難しいか……。

 まぁ、とりあえずリッチ男爵家の関連はいったん置いておいて、シャロン伯爵家関連がどうなる予想なのかも聞いてみたい。


「う~ん、そっちは現時点やと不確定な要素が多いよな。香織が言うた流行もやけど、要はそれって快人が完成したブラシを気に入って、快人からの商品評価を聞いてニーズベルト様やらが買ってみようってなって初めて発生するからな。実際に使ってみてイマイチやったらそうならんわけやけど……まぁ、とりあえず、いまは快人が専用ブラシを気に入って、ニーズベルト様とかにいい品やったって伝えた場合の形で話すで?」

「お願いします」

「パッと思いつくんは、需要の増加やな。竜王配下ってめっちゃ数多いし、どのぐらいが興味持つかまでは分からへんけど、仮に一割程度が興味持っただけでも結構なブームにはなると思うわ。ただ、どうなんやろうなぁ? 正直専用ブラシを欲しがる竜種の割合が想像できへんわ。魔法で綺麗にしてるのとかもおるやろうし、そもそも専用のブラシ作ろうって程まで拘りあるもんなんかな? いや、竜種の鱗に関する感覚はまったく分からへんけど……」

「要するに私たちで言うところの、自分専用の櫛とか、そういうのが欲しいかって話だよね? う~ん、私は別に市販ので十分かなぁ。そんな細かい違いなんて分かんないし……」


 確かに茜さんや香織さんの言う通り、果たして専用ブラシをどのぐらいの数の竜種が欲しがるのか謎な部分が多い。人間に当てはめてみれば美容グッズとかに該当するんだろうか? 俺も自分専用のが欲しいかって言われると……別に欲しいとは思わない。そうなると、思ったほど大勢が欲しがるって展開にはならないのかもしれない。


「仮に竜種がめっちゃブラシのフィット感が気になるって感じやとしたら、大流行りするかもしれんけど、そうなるとヴィクター商会の規模やと注文を捌ききれんやろうし、そこはやっぱシャロン商会が動いてくると思うわ。ヴィクター商会の権利を買い上げるか、シャロン商会に魔物関連部門を立ち上げて、そっちで注文受けるとか……そういう方向かなぁ? なんにせよ、他が入り込める余地はほぼ無いと思うんよな」

「でも、シャロン商会って魔法具関連の商会ですよね?」

「そうなんよな……そうなると、もしかしたらシャロン伯爵家が新しい商会作るかもしれんな。ヴィクター商会を完全に傘下に加えて、そっちに予算割いて最終的に魔物関連商会とするとかか……でも、さっきも言うたけど、快人の感想次第なところもあるしなぁ。いまの時点でそこまで動くかって言うと分からんなぁ……」


 コーネリアさんの方も大変そうで、なにか力になれるようならと思ったが……茜さん曰く、現時点では不確定な要素が多い感じだった。


「……ちなみに俺はブラシを気に入ったとしたら、積極的に勧めたりした方がいいんですかね?」

「う~ん、ヴィクター商会のままやったらキャパオーバーしそうな気がするな。けど、シャロン伯爵家が関わって、商会設立やらした場合はむしろ大規模な発注を見越しとるやろうから、宣伝したほうがええ気がするな。リプルとは違って、欲しがるもんが限定される品やし、快人があちこち広めまくってもそうそう予想外の状態にはならんよ」

「なるほど、ありがとうございます。参考にしてみますね」


 ふむ、とりあえず茜さんのアドバイスを覚えておきつつ……なんにせよ、専用ブラシの使用感を確かめてからになりそうだ。




シリアス先輩「そうか、竜王配下が多いとはいっても、対象が限定的だから一部界隈で大流行みたいな感じになるのか……でも、なんか落とし穴がありそうな気がしてしまう不思議」

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― 新着の感想 ―
「カイト個人の判子」=「カイト個人が認めた」→茜さんの商会を「カイト個人が認めている」→茜さんへ胃痛アタック
更新お疲れ様です!3話分一気に読みました!茜さんの読みは鋭いところ読んでるなぁ リッチ男爵家に関わる影響で改めて快人さんの影響が大き過ぎるw 快人さんのさりげない善意でこの影響だから本当に凄まじいとし…
「専用のブラシですか。この宝玉使って作ってくれますか?」 「これは?」 「快人さんの魔力波動を付与したものです。これでブラシを作るとブラッシングのたびに快人さんに撫でられてる感覚が生じます」 「は・は…
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