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専用ブラシの購入㉓



 ニフティの店舗から出てきたトーレさんとゼクスさん、珍しい組み合わせだと思ったらそれだけではなく後ろからさらに4人出てきた。


「チェントさんとシエンさんに……ノーヴェさんとテトラさんまで? こんなところで会うのも驚きですが、組み合わせも珍し……ああ、いや、もしかして……」

「カイトじゃん、こんなところで会うなんてビックリだ。なんだったっけ? 青天の霹靂ってやつかね?」

「……彼の店だし別に不思議じゃない。普通に奇遇でいいと思う」


 ノーヴェさんとテトラさんは、クロの家族であり両名とも伯爵級高位魔族だ。フィーア先生の一件の際にノインさん側として加勢していたふたりで、そのあと謝罪を受けたりなんだりして仲良くなった。

 赤髪のショートヘアで高身長の明るい女性がノーヴェさんで、普段の姿からはまったく分からないのだが、ハーピー族らしい。手が翼になっているような形状らしく、普段は使いにくいので普通の手にしているらしい。


 黄金のような金髪のロングヘアで、目深くバケットハットを被っている小柄で物静かな雰囲気の女性がテトラさん。かなり珍しい種族で、貴金属を自身の体から生成できるとかそんな話を聞いたことがある。

 まぁ、そんなおふたりなのだがそれぞれノーヴェさんがセーディッチ魔法具商会の人事部の特別顧問で、テトラさんが経理部の特別顧問なので、よく見ればセーディッチ魔法具商会の特別顧問が集合している感じだ……ひとり、営業部の特別顧問が足りないが……。


「……組み合わせを見ると、セーディッチ魔法具商会関連っぽいですが……トロワさんはいないんですか?」

「あ~旦那は来てないよ。今回の件には、営業部は関係ないからね。そもそも本来の予定は終わってるんだよ。せっかく首都に来たからカイトの店にでも寄って行こうか~ってノリで来た感じだしね。カフェは予約制だけど、店舗はいまは予約なしで入れるしね~」


 もうひとり、営業部の特別顧問にトロワさんという方が居て、ノーヴェさんの旦那で知的な雰囲気の男性だ。そして、トロワさんを加えた5人がセーディッチ魔法具商会の特別顧問である。

 するとそのタイミングで、トーレさんが明るい笑顔で口を開く。


「私たちがここに来たのは、ほらカイトは知ってると思うけど、クロム様が進めてる人界の魔法具技術の発展プロジェクトの関係だね。船上パーティの時にちょっと言ったけど、アルクレシア帝国の魔水晶鉱脈を購入して、人界は人界で製造拠点とかも作る予定で、人事部とか経理部にも来てもらってるんだよ。販売関連は元々ある支店を使う予定だし、営業部はあんまり関係ないからトロワは来てないけどね」

「……内情ペラペラしゃべるよね、トーレ」

「カイト相手なら別によくない?」

「……うん、彼は問題ない。でも、実際やらないとは分かってても、なんか他でも喋りそうに感じて不安だ」


 詳しく事情を説明してくれるトーレさんに、テトラさんが若干呆れた声でツッコミを入れていた。まぁ、トーレさんは仕事関連は真面目なので、本当に喋っちゃいけないことは喋らないのだろうが、分かってても不安になるという気持ちは理解できる。


「ところでミヤマ殿、そちらは……シャロン伯爵家のご令嬢では?」

「え? あ、はい。一緒に来たんですが……もしかして知り合いだったり?」

「ああいえ、ワシはクロム様の代理で行事などに出ることも多いので、人界の貴族家の当主と家族の名前と顔程度は、頭に入っておるだけですな」


 物凄く当たり前のことのように言うが、全貴族の当主と家族の名前と顔を覚えてるってのは凄いと思う。さすがは死霊の大賢者と呼ばれるだけのことはある。


「じゃあ、ゼクスさんは知ってるみたいですが、紹介しますね。友人のコーネリア・シャロンさんです」

「お~シャロン伯爵家ってことは……シャロン商会の子なんだね」


 とりあえずコーネリアさんを紹介しつつコーネリアさんの方を向くと……白目むいてる!?


「コ、コーネリアさん? 大丈夫ですか?」

「はっ!? あ、は、はは、はい。大丈夫です。少々驚きで硬直してしまいました。ご紹介に預かりました、シャロン伯爵家の長女、コーネリア・シャロンと申します。セーディッチ魔法具商会には、日頃から当家の商会がお世話になっております」


 声をかけるとコーネリアさんはすぐに立ち直って、綺麗な礼をして挨拶をしていた。もしなにかあったらフォローしようと思いながら、自己紹介を見ていると……不意に服の袖が引かれ、振り向くとテトラさんが軽く手招きをしていたので身をかがめると、テトラさんは俺の耳元に口を寄せて小さく呟く。


「……デートかい? 妬けるね。ボクの誘いは袖にするのに……」

「……いや、とくに誘われた覚えがないのですが?」

「……言ってみただけだからね。もし誘ったら、夜明けの一杯まで付き合ってくれるのかな?」

「当日解散なら付き合いますよ」

「……つれない子だ。でも、そんなところも可愛いね」

「テトラさんはどこまで本気で言ってるのか分からないんですよね」

「……ふふふ」


 テトラさんは物静かで落ち着いた雰囲気の女性なのだが、なんか時折変なからかいというか……こちらの反応を楽しんでいる感じなのだが、どこまで本気か分からないようなことを呟いてくる方だ。

 あとたぶん今回の発言に関しても、本題とは関係ない。


「ところで、結局なんの御用ですか?」

「……彼女とはこれからも交流を続ける予定かい?」

「え? ええ、それがなにか?」

「……いや、経理として把握しておいたほうがいい話だからね。シャロン商会との今後の付き合いに関して、大事な情報だからね」

「う、う~ん。よく分からないですが、コーネリアさんとはこれからも仲良くできたらとは思ってます」

「……うん、参考になった、ありがとう。君はいつも刺激的だね……愛してるよ」


 俺の返答に満足したのか、テトラさんはバケットハットの縁を指で軽く押し上げ、普段は見えなくなってる銀色の目を俺に見せて、パチンとウィンクをした後で体を離した。




【ノーヴェ】

セーディッチ魔法具商会人事部の特別顧問であり、明るく軽快な女性。ハーピィ族であり、伯爵級高位魔族でもある。

特に裏表はなく、人柄のいい女性。名前はイタリア数字の9から。


【テトラ】

セーディッチ魔法具商会経理部の特別顧問。金獣と呼ばれる希少生物が、ノインと同じように別種に生まれ変わる魔法によって、魔族へと進化した存在。物静かで普段はクールなのだが、気に入った相手はからかいたくなるようで、快人に対しては時折からかうような言動をしている。名前はギリシャ数字の4から。


【トロワ】

セーディッチ魔法具商会営業部の特別顧問であり、ノーヴェの旦那でもある知的なハイトレントの男性。快人がベルやリンのシャンプーに使ってるハイトレント関連の品は、トロワから貰っているものである。

名前はフランス数字の3から。

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― 新着の感想 ―
 もしかしたら、白神祭でクロの同行者としてゼクスさんと一緒にいた名前の分からない伯爵級が3人の内の誰かかな?
テトラちゃんかわいい
なんか、テトラさんは初期のクリス皇帝みたいな軽い色仕掛けみたいなやり取りしてんなぁ。 最近のクリス皇帝は胃痛ばっかだけど。
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