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専用ブラシの購入㉒



 アレグラシンフォニーの演奏は、なるほど確かに凄くよかった。俺はそこまで音楽に詳しくないので、他と比較してどう優れているかとかはあまり分からなかったのだが、大人数での迫力ある演奏と、ポップで楽しいリズムの音楽は聴いているだけで楽しい気分になれた。

 クラシックコンサートとポップミュージックのライブの中間ぐらいというべきか、また聞いてみたいと思える楽しい演奏だった。


「楽しくていい演奏でしたね」

「ああ、まだちと演奏が荒い部分もあるが、客を楽しませようとアレコレ工夫してるのはいいな。今後も伸びていきそうで楽しみだぜ……そういや、カイトたちはこれからどうするんだ?」

「いちおうこの街での目的は達成しましたし、そろそろ戻ろうかと思ってますよ。メギドさんたちは?」

「マグナウェルが観光に興味あるみてぇだからな。もう少しあちこち見て回って、飯でも食って帰ろうかと思ってるが……マグナウェルもそれでいいか?」


 俺個人としてはこの後コーネリアさんをニフティの店舗に誘うつもりではあるが、そういう予定を話し合ったりしたわけではない。

 まだあまり回れていない商業都市をもう少し観光してみたいという思いもあるが、コーネリアさんが精神的に疲れ気味なので、それはまたの機会だろう。いまも、俺が戻ろうと思ってると口にしたときに表情には出ていないが感応魔法で伝わる感情が安堵したものに変わっていたし、やはり精神的疲労はあるのだと思う。


「うむ、問題ない。酒が飲める店がよいのぅ、酒もそうじゃが……ワシはあの、酒と共に食べるツマミが好みでな。様々な種類があって面白い」

「ツマミか、この都市にあるわけじゃねぇから、今日はいかねぇが……カイトの女で、カオリってやつがやってる店のツマミも結構美味かったぞ」

「……ほぅ、それは興味深いのぅ」


 なんか、変なところから香織さんに悲劇が訪れそうな状況になってる。マグナウェルさんが来訪したら……いや、香織さんはマグナウェルさんの分体は知ってるのか? 知らなければ老紳士が来たとしか思わないかも……あっ、いや、でも、後から発覚したら大変か……。


「マグナウェルさん、香織さんの店に行く時は俺が案内するので連絡してください。営業時間とかもあるので」

「おぉ、そうか……では、訪れる際はミヤマカイトに連絡することにしよう」


 とりあえず来訪そのものを防ぐのは難しそうなので、俺が一緒に行ってフォローするというメギドさんが来店した時の方式で行くことにした。多少なりとも、香織さんの精神面の助けになれればいいな……。


「フレアさんと、エインガナさんも、今日はありがとうございました」

「いや、こちらこそ戦友(とも)と話せて楽しい時間が過ごせた。礼を言おう」

「マグナウェル様やニーズベルト共々、例のブラシの評価を楽しみに待たせてもらいます。私はサイズ的に発注することはありませんが、部下に美容に気を使ってるものも多いので……」


 たしかにエインガナさんの蒼海の鱗のメンバーは、ドラゴンカーニバルで見た時も鱗とか綺麗だった気がするし、美容に気を使っている人も多いのかもしれない。

 そんな感じに軽く雑談を交えつつ、メギドさん、マグナウェルさん、フレアさん、エインガナさんの四人と別れ、俺とコーネリアさんはアンネさんの案内で馬車に移動する。

 このまま転移ゲートに移動して解散が流れではあるのだが、ここでコーネリアさんをニフティに誘うことにした。


「コーネリアさん、もし時間があるようなら一度首都に戻ってニフティの店舗に行きませんか? いろいろありましたし、甘いものでも食べて一息つきませんか?」

「とても魅力的なお誘いですが、ニフティのカフェは予約制……ああ、オーナー席のようなものがあるのでしょうか?」

「ええ、専用の席みたいなのがあるので」

「なるほど、それでしたら、せっかくですしご一緒させていただきます。私個人としてもニフティのカフェのスイーツでまだ食べていない品も多いので……」


 コーネリアさんは、茶会の時にも言っていたが普段からニフティをよく利用してくれているらしい。カフェにも予約を取りつつ何度か行ってくらいにはファンになってくれているみたいで、俺としても嬉しい。

 お気に入りの店に行くからか、少し感応魔法で伝わってくるテンションが上がったような気がしたので、誘ったのは正解だった。


 そして、そのまま転移ゲート近くに到着したのだが、ニフティの店舗なら俺の持つ転移魔法具で移動する方が早い。アンネさんにコーネリアさんをニフティに誘った事を伝えると、首都で待つシャロン伯爵家の護衛や使用人に連絡してニフティの店舗に移動するように指示を出してくれた。

 アンネさんは、馬車を戻したりといった作業があるためここで別れる形になるので、お礼を言って移動完了の連絡が来てから転移魔法具でニフティの店舗前に移動する。


「おや? ミヤマ殿?」

「あれ? カイトじゃん、やっほ~」


 なんか、転移でニフティの店舗前に辿り着いたタイミングで、ニフティの店舗からゼクスさんとトーレさんが出てきたのだが……なんというか……凄い偶然である。




シリアス先輩「どうして! 香織に対して見せるフォローとかを、他の胃痛戦士ももう少し分けてやれないんだ!!」

???「ん~たぶんですけど、カオリさんは態度に明確に『胃痛で苦しんでる』っての出すからじゃないですかね? 他の方はある程度取り繕えますし、冷静になろうと頑張ったりしますから……」

シリアス先輩「……そういえば、同じように明らかに胃痛で苦しんでる感じのリリアとかにも、気を使ったり、事前に連絡しようと考えたりしてるから……表に出すのが正解なのか……」


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― 新着の感想 ―
思ってたツッコミを先に先輩にされちゃったw
同時刻に水原香織さんは、不意にビクっと肩が上がったと同時に嫌な予感がよぎっただろうな…。虫の知らせみたいに。
あのぉ〜 タイトルなんですが「専用ブラシの購入」じゃなくて、「特異点からの連続胃痛攻撃」とかの方が良いんじゃないかと。 あとタイトルの番号が「㉒」という事は、まだまだ攻撃があるんですよね・・楽し…げほ…
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