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専用ブラシの購入⑮



 当然ではあるが、六王配下幹部と六王は違う。六王配下幹部であっても、世界の上澄みといっていい実力者揃いであり、知名度や影響力も相応に凄まじく、貴族であっても迂闊に対応してしまえば立場を失う可能性がある相手だ。

 しかし、それと比較しても六王はまた次元が違う。友好条約により魔族側が人族側を尊重していること、神族が比較的人族に対して交流が多く、祝福や加護で手を貸していることもあって公式の場においては人界の三王と対応の立場という事にはなっているが、実質的には人界の王より六王の方が立場は遥かに上である。


 もちろんただの貴族令嬢であるコーネリアにとっては、まさに雲の上の存在と言えるような相手であり、貴族家の当主ですら六王とまともに話したことがある者も少なく、六王と交流があるというだけで貴族としては一種のステータスにすらなりえるとてつもない存在だ。


(ろ、ろろ、六王様がふたりいらっしゃるのですか? し、しかも、戦王様と竜王様……)


 凄まじい能力も権力も持つ六王ではあるが、その六王の中でも比較的交流を持ちやすい相手とそうでない相手が存在する。

 まず、基本的に交流を持つこと自体が不可能なのが死王と幻王だ。死王アイシスに関しては当然と言えば当然だろう。つい最近になってカナーリスに貰った制御アクセサリーによって交流も可能とはなったが、それまでは爵位級クラスの能力が無ければ近づくことすらできない相手だったので、爵位級レベルの力を持つ者が種族全体で見ても4人ほどしか存在しない人族では、基本的に交流が不可能だったのも必然である。


 幻王に関しては、幻王が貴族の前に姿を現すというのは、ほとんどの場合その貴族を始末する判断をしたということであるため、交流など持ちようもない。いまでこそ、快人の影響によりたびたび姿を現しているが、快人がトリニィアに来るまでは、勇者祭以外で姿を見ることすら稀な存在だったのでこちらも必然と言える。


 比較的交流を持ちやすいのは、温厚で知られる冥王と界王である。冥王クロムエイナは実質的に魔界の代表という事もあって公の場に出てくることも多く、本人も様々な商会を経営していることもあって人族との関りも多い上、食べ歩きなどであちこちの街を訪れているので、六王の中では最も交流を持ちやすい相手と言える。

 界王リリウッドは、クロムエイナほど頻繁に人界に来るわけではないが、他の六王と比較すると人界の行事などに来賓として来ることも多く、性格も優しく穏やかなため交流が持ちやすい相手と言える。


 対して、交流自体は可能ではあるが困難なのが戦王と竜王だ。戦王メギドは言わずもがな、あまり貴族自体を好んでいない上に気に入らない者は殺すというスタンスが一貫しているため、貴族が交流を持つのはかなり難しい相手と言える。人界自体にはたびたび訪れているので、気に入られれば交流を持てる機会もあるのだが、迂闊に話しかけるにはリスクが大きい存在だ。


 竜王マグナウェルに関してはメギドのような危険性は無いものの、そもそも体躯が巨大すぎて勇者祭以外に人界を訪れることは無く、魔物が非常に多く魔界でもかなり危険な地域と言える南部の山岳地帯に訪れるしか会う方法がないため、直接的な交流を持つのは難しい。

 いまは特殊な分体を手に入れたことで、たびたび人界を訪れているので今後は変わってくるかもしれないが、現時点で言えば戦王と並んで貴族が交流を持ちにくい六王ではある。


「……あ、あの、ニーズベルト様、エインガナ様。質問をお許しください。六王様がいらっしゃる場に、わ、私が同行しても大丈夫なのでしょうか?」

「ああ、問題ない。というよりは、仮にこの場で別行動を取ったとしても、すぐに会うことになるであろう」

「メギド様はミヤマカイトさんを非常に気に入っておりますので、近くに居ると分かったら間違いなく大声で名前を呼びながら近づいてくるかと……」


 エインガナが告げた言葉を聞いて、コーネリアはゾッとした。大勢の人がいる中で、大声で快人の名前を呼びながら近づいてくる戦王、注目はすさまじく当然快人と一緒にいる己にもその注目は注がれる……そう考えれば、むしろこちらから会いに行く方が安全な気さえした。


 そして悲しいかな、覚悟とは……一種の心の防波堤だ。


 もし仮に、コーネリアがなにも知らないまま唐突にメギドとマグナウェルが現れた場合は、エリスほどの精神的な耐久力を持たない彼女であれば、あまりの衝撃に気を失ってしまう可能性も高い。

 だがいまは、事前に情報を得たことでこれからメギドとマグナウェルに会うという事が分かっており、胃に関しては中身が全部鉛に変わったのではないかというほど重く苦しいのだが、覚悟ができてしまっている分、気絶することは無いだろう。


 ……気絶という逃げ道も塞がれた状態と考えれば、むしろ先に知ってしまったのは不幸だったかもしれない。




シリアス先輩「はっ!? そ、そうじゃないか! 前回の話、シリアスじゃないか!!」

???「え? いまさら?」

シリアス先輩「い、いや、私がここにいる状態でシリアス展開が来るって状態に半ば諦めの気持ちがあったから……ほ、ほら、どうせタイミングよく私が居なかったり見てない時にだけ発生するんだって……だからうっかり気付くのが遅れてしまった!?」

???「……まぁ、でもこれで、シリアス先輩がシリアスの化身だから本編がシリアスな時にはこっちには居ないとかって説も否定されましたし、あとがきにシリアス先輩が居るかどうかはシリアス展開になんの影響もないことが判明しましたね」

シリアス先輩「………………」

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― 新着の感想 ―
このまま二王とエンカしてしまうと本当にコーネリア嬢の心は再起不能になるやろな。 まぁ、感応魔法でコーネリアの精神状態をカイトが察しているはずだから、手遅れになる前に助けてくれるだろうし、アリスも控えて…
強く生きて、シリアス先輩! 読者の皆さんはきっと、たぶん、おそらく、あとがきにシリアス先輩がいないと物足りなくなってますから (シリアス回を除く)
更新お疲れ様です!連続で読みました! 今回は悪巧み的な考えていた子爵の方が一緒に妻と語るタイミングで急な警告は怖すぎる汗) 妻がもともとの配下というのもヤバい!アリスさんも幻王としての働きになると凄み…
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