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約束のお茶会㊳



 アリスから貰ったブドウジュースを一口飲んでみるが、これはまたスッキリとした味わいで非常に美味しい。


「かなり美味しいブドウジュースだな」

「ちなみにこのブドウジュースは、リッチ男爵家のブドウで作ってますよ。まぁ、ブドウジュースとして売られてるわけじゃないので、ブドウからジュースにしたのは私ですが」

「え? そうなの? マリーさんのところは、リプルだけじゃなくてブドウも育ててるのか……」

「ラズさんのところほどじゃないですが、何種類かの果物は育ててますね。一番多いのはリプルですが……リッチ男爵家の領地は、土壌とか気候はいいんですよね。果物を育てるのにはかなり向いてます」


 リプルを食べた時も思ったが、マリーさんのところの農園の果物はかなり美味しい。もちろん世界一の味とか、そういうレベルで飛び抜けているというわけではないのだが、高品質で手間暇をかけて大切に作られた感じが伝わってくる感じだ。


「リプルもかなり美味しかったし、高品質なのは間違いないよな?」

「ええ、それこそ品評会とか出せば賞も取れる可能性はあるかもしれませんね。けど、あそこはとにかく物流が悪いんですよね。領地の周囲に標高の高い山や魔物の生息地が多くて、最寄りの大きな交易都市に行くのにも結構大回りしないといけないので……」

「ふむ、そういうのって飛竜便とかがよさそうだけど……シンフォニア王国とは違ってアルクレシア帝国にはあんまり飛竜便はないとか?」

「いえ、アルクレシア帝国にも普通に飛竜便はありますよ。ただ、リッチ男爵家の領地は飛竜便の飛行不可地域に該当するんですよ」


 俺の疑問に対して軽く答えつつ、アリスはどこからともなくホワイトボードのようなものを取り出して、フリーハンドで地図を描いた。

 その中心にリッチ男爵家領地と書いてあり、その周囲に赤い円をいくつか作る。


「飛竜便はその名の通り、竜種が引くわけです。マグナウェルさんと契約を結んで配下を派遣してもらってるメアリさんのところは特例として、それ以外は魔族認定されていない竜種を使います。で、空を飛んで移動するって性質上、当然注意するのは飛行可能な魔物に関してです」

「あ~そっか、襲い掛かってこられたら乗客とか荷物もあるから、迂闊に応戦もできないのか……」

「ええ、とはいえ竜種は基本かなり高位の魔物なので、大抵の魔物は逃げるので襲い掛かってくることは無いですが……例外になるのがワイバーンです。ワイバーンは人界ではトップクラスの強さの魔物ですし、知能が低くて気性が荒いので、生息地近くを飛竜便が飛んでたりすると襲い掛かってくるので、飛竜便業者としては一番注意しなくちゃいけない存在ですね」


 そこまで言われて、少し前にアリスが言っていた「周囲に標高の高い山が多い」という言葉を思い出した。ワイバーンが生息するのは、標高の高い山であり……つまるところ、リッチ男爵家の領地近くにはワイバーンの生息地があるわけだ。


「その様子だと気付いたみたいですが、その通りです。リッチ男爵領の近くにはワイバーンの生息してる山が複数あります。まぁ、そうはいっても街とかからはかなり離れているので、街や村が襲われたりってのは無いですが、飛竜便はワイバーンの生息地から一定範囲内は飛行不可地域に定めているので、リッチ男爵家の領地に飛竜便は来れないって感じですね」

「なるほど、その上転移ゲートもないから、果物とかを出荷するのも大変なのか……」

「ええ、カイトさんも何度か転移ゲートは見てると思いますが、アレはかなり大掛かりな施設なので当然建造コストはバカ高いです。なのであまり利益が見込めない状態で、大金払って転移ゲートを作ろうって商会とかも無くってやつですね」


 イメージとしては、一種の電車の駅のようなものかもしれない。作る方も慈善事業ではないので、利用客などによる利益が期待できないのであれば、転移ゲートも作らない。結果として色々不便なままで、その地域にはそれ以上人が増えていくこともないっていう一種の悪循環か……。


「なるほど、マリーさんもいろいろ大変なんだな」

「ええ、まぁその問題はもうすぐ解決しますし、マリーさんが大変なのはそれに関してじゃないでしょうけど……」

「うん?」

「いや、なんでもないです。ブドウジュースが美味しいなぁって感じですね」


 どこか楽しげに笑いながらワイングラスを傾けるアリスに首を傾げつつも、疑問を上手く言語化もできないので深くは聞かないことにして、他愛のない雑談を続けていった。




ワイバーン先輩「久しぶりの出番だ、やっほい!」

シリアス先輩「いや、出番って言うか話題に出されただけだし……話題に出るたびに、食肉だとか邪魔者だとかの扱いされてるんだけど……」

ワイバーン先輩「光の部分は姐さんに任せてるので、闇の部分でも出番があればOKです。竜種用の専用ブラシも依頼するって話だし、そこから姐さんの出番に繋がったりしたらいいなぁとは思ってる」

シリアス先輩「……あっ……そ、そうじゃないか……快人、竜種の知り合いヤバいぐらいいるだろ……竜種の専用ブラシ作れて、快人が気に入った場合……どうやら、コーネリアの胃もちゃんと破壊されるみたいだ」

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― 新着の感想 ―
高級なワインやブランデーが高級になる期間って人間目線だと長いが長命種の魔族や神々からしたら誤差レベルなんだよなぁ…。
一瞬ワイバーン絶滅計画かと思ったけどさすがにそこまではしないかw
マリー嬢のお家、結構試される大地だった。
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