約束のお茶会⑬
貴族の茶会とは一体どんなものかと、想像の上ではいろいろ考えていたが、実際に始まってみればそれほど特別なことをするわけでもなく、基本的には紅茶を飲みながらの雑談を言った印象だった。
もちろん通常であれば貴族特有の腹芸というか、互いに笑顔で話しつつも胸の内を探り合ったり牽制したりとかそういうのもあるのかもしれないが、今回は普通に雑談しているだけっぽい感じだ。
「かなり綺麗な庭ですね。花とかも色鮮やかで、けどあんまり見た覚えのない花が多いですね」
「こちらの別邸にある花は少し特殊でして、特殊な結界魔法で気圧などを調整しておりまして、高山地帯などのみに生える花を集めている形になります」
「へぇ~それは例えば天空花とかもですか?」
「ああいえ、天空花は流石に他の花と一緒に育てるのは難しいので、この中にはありませんね」
高山地帯にのみ咲く花を集めているということで、エリアルさんの本体でもある天空花もあるのかと思ったが……どうやら天空花はないみたいだ。
エリスさんが答えてくれたタイミングで、クロが軽く補足を入れて説明してくれる。
「天空花は基本的に標高が5000mを越えるような山の山頂付近にしか生えないんだよ。魔力濃度とかも関係してるんだけど、もの凄く希少ってわけじゃないけど結構珍しい花だね。魔界で言えば、マグナウェルがいる南部の山とかによく咲いてるよ」
「へぇ、確かにマグナウェルさんの住んでるところには高い山が多かった気がする」
「もしかしたら、マグナウェルの背中にも何本か生えてるかもね。高さとかの条件は満たしてるし……」
そういえばマグナウェルさんは体高も6000m越えだったな……そう考えてみると改めて常識外れのサイズである。
「カイト様はやはり魔界にも多く足を運ばれるのですか?」
「知り合いが多いので行く機会は多いですが、あちこち行っているかというと微妙なところですね。いちおう六王の方々が住んでるとこは全部行ったことはありますね」
コーネリアさんが尋ねてきたので少し考えながら解答する。確かに魔界には足をよく運んではいるが、あちこちの観光地を回ってたり、いろんな土地に行ったりというわけではなく、基本的に知り合いに会いに行くことが多いので、行く場所は限られてる気がする。
なんなら一番多く足を運んでるのは死の大地かもしれない。
「皆さんは、魔界に行ったりするんですか?」
「私は最初の六王祭などに、ありがたくも招待をいただきまして参加させていただきましたが、それ以外で足を運ぶ機会はなかなか無いですね」
「私もエリス様と同じく六王祭には参加した経験があるのと、当家が魔法具を取り扱う商会なので、クロムレイクには何度か足を運ばせていただきました」
俺の質問に最初にエリスさんとコーネリアさんが答えてくれたが、そこでふと気になる単語があった。
「……クロムレイク?」
「ボクの家の近くにある街の名前だよ」
「ああ、あの街ってクロムレイクって名前なんだ。クロの名前からとって付けた感じかな?」
「みたいだね。いつの間にかそう呼ばれてたよ」
俺の疑問に対し、クロが少し気恥ずかしそうに苦笑しながら答えてくれた。
クロの居城の近くにある、クロの雛鳥やその家族が住む街の名前はクロムレイクと言うのか……そういえば何度も足は運んでいたが、街の名前を聞いた覚えは無かった。
看板とかで目にしそうなものだが、よくよく考えてみればクロの居城にはよく行くけど、街の方にはあんまり行ってないな……ジークさんと一緒に回った時とかぐらいか、また今度ゆっくり見て回ろう。
「私は一度も足を運んだことは無いですね。なにかしらの行事にウチの家が呼ばれるとしても、四女の私が参加することはまずありませんから」
「ふむ、貴族関連に無知で申し訳ないんですが、やっぱりそういう招待された行事だとかパーティだとかっていうと、長男長女あたりが参加するんですかね?」
「決まりがあるわけではないのですが、基本的には嫡子が参加するかと思います。社交の場には顔繫ぎなども含めて、跡取りとなる者が参加したほうがいいですからね。ただ嫁ぎ先などを探す名目で嫡子以外を優先して連れていく場合もありますし、金銭的に余裕のある家などでは複数連れていく場合もありますね。当家の場合は貧乏子沢山な弱小貴族なので、単純に四女の私までパーティなどに参加する余裕は無いので、社交の場の空気を経験するために、数度連れて行ってもらった程度です」
「なるほど、貴族もいろいろ大変なんですね」
茶会の参加も初めてだと言っていたマリーさんは、パーティなどにもあまり参加したことは無い様子だった。確かに四女ということは、最低でも上に姉が3人は居るわけだし、兄も含めたりすれば全員をパーティなどに連れて行くというわけにもいかないのか……。
あと貴族的なパワーバランスとかもいろいろあるのかもしれないし、なかなかどうして難しいものである。
……ああでも、俺が主催したパーティとかに呼ぶ分には問題ないのか、船上パーティの時とかもそうだったし……またいつかのタイミングで開催してみるのもいいかもしれないな。
~胃痛戦士列伝②~
【クロノア】
胃痛力:★★★★
吸引力:★★
耐久力:★★★
不憫さ:★★★★★★
胃薬量:★
胸囲の格差:★★★★★★★★★★
神界の胃痛担当、上司(巨乳)、同僚(巨乳×2)に苦労させられている絶壁の戦士……だったのだが、主なトラブル要因だったフェイトが、快人の影響で行動が改善されており、基本的に胃痛を受ける機会は減っている。
ただし、彼女がなんらかの胃痛展開になる場合はほぼ原因はシロであるため、一撃の胃痛力はかなりのものである……尚、だいたい毎回リリアは巻き込まれる。
【リリウッド・ユグドラシル】
胃痛力:★★
吸引力:★★
耐久力:★★★
不憫さ:★★★★
胃薬量:★
胃痛を与える側になる割合:★★★★
魔界の胃痛担当。被害を受ける主な要因は、アイシスかメギドだったが、こちらもアイシスが精神的に大きく成長したこともあって、主に頭を悩ませる原因になるのはメギド。
普段穏やかで心優しいが、メギドに対しては割とキレ気味の対応をするため、普段から相当苦労をかけられているのが伺える。
とはいえ、彼女自身も魔界の権力者であり六王の一角ということもあって、胃痛を与える側に回ることもある表裏一体の存在。
なんだかんだでメギドさえ大人しくしていれば胃痛になる機会は少ないので、胃痛力は低め……尚、メギド関連も大体リリアは巻き込まれる。