幻の品ランキング③
幻の品ランキングも5位まで見終えたわけだが、ここまでは全て知っているものだった。もしかするとこの先のランキングも俺が知っているものかもしれない。
『第4位MKロイヤル』
知ってるどころか、うちの商品じゃないか……まさか、世界樹の果実やシャローグランデを押しのけてここに入ってくるとは思わなかったので驚きだ。
『高級紅茶ブランドであるニフティの最高級ラインの品であり、毎月抽選で1名のみに購入権が与えられるという極めて貴重な茶葉である。ただ現時点での希少性を加味してこの順位にはしているが、月に1名とはいえ今後も供給が安定して続くため、後々であればもっと順位は下がるだろう』
ああ、なるほど時期的な部分も考慮している感じか……たぶんこの雑誌の記事をかいでいるであろう時期を考えると、その時は本当にまだMKロイヤルは売り出したばかりであり、希少性もかなり高かった。
今後ある程度供給されていけば、シャローグランデとかよりは下の順位に落ち着くような感じかな?
『ニフティの店舗は完全予約制ではあるが、逆に言えば順番待ちさえすれば確実に訪れることはできる。高級店とはいえ一般市民でも背伸びをすれば変える価格帯の商品もあるため、一度買い物をしてみるのもいいだろう。一度ニフティの店舗で買い物をすれば毎月行われるMKロイヤルの抽選に参加することが出来る。もちろんMKロイヤルは最高級の品なので、一般市民では購入権が当選しても購入することは不可能だろうが、購入権の辞退や譲渡も認められており、この購入権を求める貴族も多いため、仮に当たれば一獲千金のチャンスかもしれない。巻末にニフティの予約申し込みの魔力コードを掲載しておくので、興味のある方は応募してみて欲しい』
魔力コードというのは一種の電話番号みたいなもので、それをハミングバードの魔法具で読み取ることでハミングバードを送ることが出来て、それで予約を申し込む形だ。
ちなみにハミングバードの魔法具を持ってない人に関しては、それぞれの店舗がある都市の商業連合の窓口で予約申し込みができる形である。
『第3位幻のワインK』
そして、3位でKという名前のワインが登場したか、シャローグランデの記事でより上の順位にあることは仄めかされていたが、トップ3入りとは……。
『いま、世界中のワイン愛好家たちが血眼になって探している希少なワイン。シャローグランデ同様に創造神シャローヴァナル様が作成に関わっているらしく、シャローグランデを遥かに超える味わいに、通常では作成不可能な銀色のワインであり、神の奇跡と言えるワインであることは間違いない。現在では世界に数十本しか存在しないらしく、空の容器ですら参考資料として高値で取引されている状態だ』
これもある意味では、記事を書いたタイミングによる3位かもしれない。今回の誕生日パーティで、参加者にKは配られたので、いまとなっては世界に数百本存在するわけだし、このタイミングよりは希少性という意味では下がっているだろう。
とはいえ、シロさんが直接作成している貴重なワインというのは間違いないのだが……。
『そして不思議なことに、このワインの出所が不明である。創造神シャローヴァナル様が作成に関わり、国王などを始めとした高位者に配られたという話から、相応の場において配布されたのではないかと考えられるが、このワインの噂が出始めた時期に、これといって大きな行事などは無く、どのような場で配布されたのかが不明である。また参加者も、国王や六王様、六王幹部の方々と極めて高位な方々であり、容易に取材なども行えず、当雑誌でも詳細は掴めていない状態だ』
俺の情報が秘匿されている関係で、出所不明の幻のワインって認識されてるわけか……いやまぁ、確かに俺の家を新築した記念のパーティで配られましたとか、そんなの想像もできないだろうし、たぶんアリスとかの情報操作も入っているだろうから、詳細は不明なままの気もする。
まぁ、俺としては変に騒ぎになっても困るし、出来れば俺の詳細とかが雑誌に乗ったりしない状況を祈っているので、このままの感じでいって欲しい。
ともあれ、やはり俺の知っているものが多いし、この感じだと2位と1位も俺の知っているものかもしれない。
さてさて、第2位はなんだろうか……。
『第2位翼持つガンロックドラゴンの像』
………………あ~……えと……ちょっと待ってほしい。いままだ、心が現実を受け止め切れてない。
シリアス先輩「雑誌読んでて、自作の黒歴史が幻の品として掲載されていた時の心境やいかに……」