幻の品ランキング①
ある日の昼下がり、俺はのんびりと最新の雑誌を読んでいた。まだまだ一部ではあるが写真等が使われる雑誌も増えてきたので、雑誌の面白さも上がっているような気がする。
今回の雑誌は高級品特集という……俺の居た世界でもよく見かけた皆が好きそうな企画をやっており、今回は『一般市民では目にすることさえ敵わない幻の品ランキング』と銘打たれて特集されている感じだった。
確かにそういう品は見ていて楽しいし、ランキング形式だと凄さも伝わってくる気がする。えっと、どれどれ……。
『第10位ニフティのティーカップ(初期ロットA)』
……なんかいきなり滅茶苦茶見覚えのある品が出てきたんだけど、え? マジで? 確かに、ネピュラが直接制作に関わってる初期ロットは凄い人気だとは聞いたが、幻の品として紹介されるレベルなのか……というか、この最後の「A」ってついてるのはなんだろう? そんな分類は無かったと思うが……解説を読んでみるか。
『高級紅茶ブランドとしてこの雑誌でも数度特集を組んでいるニフティの最初期販売のカップ。俗に初期ロットと呼ばれるそのシリーズは極めて貴重で貴族からの人気も高く、現在の取引相場では4個セットの品で白金貨50枚を超えるというほどに貴重な品』
白金貨50枚!? 確か店舗で限定販売されてた時は白金貨12枚のはずだから、4倍以上の価格になってるのか……希少性が価格を上げてるって感じかな?
『しかし、その貴重な初期ロットの中でもさらに幻とされるのがタイプAと呼ばれる品である。こちらは極めて特殊な品であり、ニフティの店舗ではなくアルクレシア帝国の建国記念祭において少数のみ販売されたと言われており、特徴としては裏面のブランドマークが後発のものと違う。後発のものは三つの山のマークが円で囲まれているが、タイプAのマークにはその円が無い。数も世界に10セットも存在しないと言われており、まさに幻の一品と呼ぶにふさわしい価値のある品である』
お、おぉ……あっ、そっか、そういえばアルクレシア帝国の建国記念祭で売った陶磁器類は、とりあえず仮って感じにマークを入れてたので、三つの山が並んでるだけの模様だった。
紅茶ブランドを作るにあたって、袋などに印として押したり書いたりしやすいように若干デザインを修正したという経緯があるので、言われてみればアルクレシア帝国の建国記念祭で売ったのは超レアと言えるかもしれない。
『第9位ミッドナイトダイヤモンド』
……また知ってるのが出てきた。セラの作り出すダイヤモンドじゃないか……ああでも言われてみれば、ジークさんは宝石商というわけでもなく商会などを持っているわけでもない。直接買い付けに来ているアリスぐらいしか仕入れてないだろうし、貴重なのは間違いない。
『夜のような色合いの中に角度によって色合いの変わる光が見える宝石。夜空のオーロラを閉じ込めたかのような美しいデザイン宝石であり、宝石愛好家たちの間では噂になることも多い品だが……どこで採掘できるのかが一切不明な宝石であり、極々少数しか存在しないと言われている。また宝石自体の強度もオリハルコンに匹敵するほど硬く、加工するも極めて難しいため、美しくカットされている宝石の出所などを知りたいと思っている宝石愛好家は多いが、これまで詳しい情報が判明したという話は聞かない』
う~ん、これ、もしかしてアリスが情報隠蔽してるのかもしれない。ミッドナイトダイヤモンドが超高価と分かればジークさんの元に訪れる人も爆増するだろうし、あまりそう言ったことでお金稼ぎをする気が無い……というか、アリスから受け取ったお金でさえ持て余して大半をレイさんとフィアさんに仕送りしている現状なので、ジークさんも困るだろうから情報を隠してくれているのだろう。
たぶん極小数市場に流したのも情報操作の一巻かもしれない、シンフォニア王国とは別のところで少数だけ流しておけば、そっちの方で採掘できるのではって感じに思われるだろうし……。
しかし、それにしても立て続けに知ってる品が出てきたな……意外と幻の品に縁があるものである。
『第8位絵画セブンプラネットシリーズ』
……8位も知ってるやつが出てきた。
シリアス先輩「なんなら1~10位まで、全部快人が知ってる品でも驚かないレベル……ただ1位はなんだろう? 他に入ってきそうなのはワインのKとかその辺も予想できるが……1位かと言われると、たぶん違いそう」