誕生日パーティの後で⑭
誕生日パーティの開催された世界に出発したのが朝だったが、帰ってきたら昼過ぎだった。パーティで飲み食いした分は昼食として考える感じだろうか?
実際向こうの世界に居た時間を考えると三日ぐらい経過してる気もするが、その辺はどうとでもできる方々の集まりだし、大半はプレゼントの受け取りだったので気にしないことにする。
とりあえず貰った拡大機能付きの写真を飾ってたあとは、これといった用事もないのでのんびり過ごすことにした。
途中の休憩で仮眠を取ったりもしたし、疲れは全然ないのだがいまの時間から出かけるという気にもならないし、本でも読んでまったり……そういえば、カナーリスさんに貰ったプレゼントで映画が見れたんだっけ?
それならせっかくだし映画でも見ることにするかと、カナーリスさんから貰った道具を取り出して触れてみると、空中にSFチックなモニターが浮かび上がった。
ヘルプとかもついてるっぽいので一通り目を通してみたが、空中にでも部屋の壁にでも映せるし、サイズとか音量とかの調整も自在っぽい。
さらに範囲を指定すれば、その範囲外に映画の音などが漏れない機能などもあって至れり尽くせりといった感じである……あっ、この映画って最新のやつか……いま映画館で上映してるような映画も見れるのか、じゃあこれを見よう。
久しぶりに見た映画は面白く、ついつい二本続けて見てしまったので、気が付いた時には夕方だった。この映写機? 端末? どう呼ぶべきかは迷うが、プレゼントは凄くいいな。
マジックボックスに入れて持ち歩けば、出かけた先でも見れるし、恋人や友人と一緒に見るのも楽しそうだ。
そんなことを考えながら、そろそろ夕食の時間だったのでリリアさん宅の食堂に移動する。基本的に夕食はリリアさんとかも含めて、都合が合う人は一緒に食べるような形になっている。今日は誕生日パーティの関係で皆予定を開けてただろうし、葵ちゃんや陽菜ちゃん、俺の両親も含めてほぼ全員が集まりそうな気はする。
「おや? 主様、誕生日パーティはいかがでしたか?」
「いろいろあったけど、本当に楽しかったよ」
「それはなによりですね」
食堂に向けて移動していると、偶然ネピュラと会ったので軽く雑談をする。ネピュラは食事は必須ではなく、趣味趣向の範疇なので茶と一緒にお菓子を食べたりはするが、本格的な食事をすることはほぼ無いので夕食も基本食べない。
「主様、夕食の後に少しお時間を貰ってもいいですか?」
「大丈夫だよ」
「それでは、その際に妾からの誕生日プレゼントを部屋にお持ちしますね」
「ああ、なるほど……楽しみにさせてもらうよ」
一瞬なんの用事だろうと首をかしげたが、ネピュラの言葉を聞いてすぐに納得した。そういえば、朝に準備を手伝ってくれた時にも、後でお祝いの品を渡すと言っていた覚えがある。
もちろん時間を作るのはまったく問題ないし、夕食後に大きな楽しみが出来たといっていい。なにを用意してくれたのかは分からないが、ネピュラならきっといい物を用意してくれてるだろうし、本当に楽しみだ。
「そういえば、ネピュラはどうだった? 知り合いが遊びに来たんだよね」
「こちらも楽しく過ごせましたよ。元々カナーリスさんに協力してもらって簡単な連絡だけはしていたので、話もスムーズでしたし、今回訪れた者はとても穏やかで心優しい性格なので、妾もリラックスして過ごせました」
「へぇ、優しい人なんだ」
「ええ、ちょっと時々視野が狭くなって短絡的な思考になってしまう欠点もありますが、社交的で話題も広いので、主様とも気の合うと思いますよ」
「ネピュラがそう言う相手なら、俺も是非一度会ってみたいね」
「すでにシャローヴァナルとの話は終わっているようで、いずれ正式に訪ねてくるとのことなので、それほど時を待つことなく会えると思います」
ネピュラは人を見る目も凄いので、そんなネピュラが「俺と気が合う」というのであれば、本当に性格的な相性がいい人だと思うので、ぜひ会ってみたい。
ネピュラの話ではそう遠くないうちに訪ねて来るらしいので、その時を楽しみにさせてもらおう。
シリアス先輩「ここまで理不尽バーサークゴリラに関して、散々不安になるような情報しか得てなかったはずの快人の初期好感度が爆上げるであろう要素……『ネピュラのお墨付き』……これもう、双極神が自由にトリニィアに来れるようになる確定演出では?」




