続・宮間快人生誕記念パーティ㊿
クイズ大会の終了ですべての余興も終了となり、長かった誕生日パーティもいよいよ終わりという雰囲気になってきた。
『さて、タイミング的にも区切りがいいですし、そろそろパーティも終了となりますが……ここで、前回と同じように集合写真を撮ろうと思います』
『まぁ、前回の時は絵だったけどね~』
『今回は記録魔法具があるので普通に写真が撮れますね。前回参加してない人に説明をすると、皆で並んでそれを記録に残そうって、まぁ、そんな感じです』
『でもさ、シャルたん。この人数で写真撮ると一人あたりはかなり小さくなっちゃわない?』
『いや、まぁ、前回もマグナウェルさん居たんで、構図はかなり引き気味でしたけど……その辺はちゃんと考えてあります』
確かに今回は前回と比べて参加人数がかなり多く、500人近い数なので写真を取るとかなり引き気味になるし、ひとりひとりの顔とかはよく見えない気がする。
それでも思い出としてはまったく問題ないので、そういう集合写真でもいいかと思っていたが……どうやらアリスにはなにかそれを解決する案があるみたいだ。
『というわけで、マキナ。撮った写真をなんかいい感じに指でスワイプや拡大縮小もできるようにしてください』
「……雑だよ。私への指示がとても雑だし、とりあえず全知全能で解決できそうだから放り投げられてる感が凄いよ」
『写真立てサイズの写真で、卓上に置けるサイズを想定した上で写真立てのカバーの上から触っても操作できて、不意に触れてしまった時とかに誤作動はせずに、なんならカイトさんが拡大して見たいと思った時に拡大できるような仕様で、指での操作以外に遠隔の思考でも操作できるようにして、ついでに状態保存とか面倒なので劣化しないようにして、写真立ての外枠も気分転換とかでデザインを変えれるようにしてください。ああついでに、マキナがプレゼントに使ってた写真を手にしたときに頭にイメージが思い浮かぶ機能を使って、手に取ると今日の誕生日パーティの思い出を鮮明に思い出せるようにしてください』
「……雑な方がよかった!? 出来るけどさ、出来るけど、私のことを雑にこき使いすぎじゃないかな!?」
と思ったら、全知全能であるマキナさんに便利な仕様に加工させる気満々だった。いやまぁ、確かにマキナさんならどうとでもできるだろうが……。
『……いや、ほら、やっぱり私にとって頼りになるのは親友であるマキナですからね。難しいことを依頼しようと思うと、どうしても最初に頼ろうと思っちゃうんですよね』
「そ、それならしょうがないなぁ~まぁ、そうだよね。困った時に頼ろうって思うのはやっぱ親友なわけだし、実際私は全知全能だから余裕で出来ちゃうしね。仕方ないな~親友に頼られちゃったら、私も嫌とは言えないしなぁ~」
ちょっっっろ!? さっきまでの不満顔はなんだったのかというほど、マキナさんは一瞬で嬉しそうな笑顔に変わってアリスの依頼を快諾していた。
マキナさんは基本的にアリスには甘々対応というか、かなりデレデレな感じなのでアリス側としても面倒なことを頼みやすいんだろう。まぁ、親友として普通に信頼してる部分も大きいんだろうが……。
とりあえず写真の構図問題は解決したので、全員で写真を撮ることになったのだが……前回は城の外に出てアリスの指示で整列したのだが、今回はなんでもできる神がいくらでもいるということで、あらかじめ決めた並びで転送されるらしい。
俺の周囲には恋人が集まる形になる様子で、俺の両側にシロさんとクロ、周囲に他の恋人たちという形で固まって、その他は体のサイズなどで振り分けられている様子だった。
『では、撮影は当機が行います』
「あれ? イレクトローネさんは一緒に映らないんですか?」
『当機も入ってもよろしいので?』
「ええ、もちろん」
『感動を出力……《推しのファンサが凄い、涙出てくる。快人様のお誘いとあれば喜んで~!》……というわけで、撮影は当機の端末が行います』
途中参加ではあるとはいえ、ライブの演出とかにも協力してくれたイレクトローネさんもできれば写真に入って欲しかったので誘うと、喜んで集合写真に参加してくれてイレクトローネさんの猫耳型のデバイスが空中に浮かぶ形でその場に残った。
『それでは、当機のデバイスの上にカウントが表示されます。0で撮影されますので、それぞれ準備を』
イレクトローネさんがそういうと、猫耳型デバイスの上空に巨大な電子文字で10と表示されて、そのカウントが減り始めた。
丁寧にカウントの下に『この位置を見てもらうと綺麗に映ります』と文字も表示されていたので、その位置に視線を向けた。
そして、ほどなくしてカウントは0になり、写真撮影は完了……マキナさんの手によって、すぐに写真が現像されて写真立てに入った状態で俺の手元に届いた。
それを手に持つと、なんだかんだ騒がしくも楽しかった今日のパーティの思い出が鮮明に頭に思い浮かんできて、心が温かくなるような気持だった。
そしてせっかくだからということで、アリスから拡声魔法具を借りてこの場に集まっている人たちに完結にお礼を伝えることにした。
『皆さん、今日はこんな盛大なパーティを開いてくれて、本当にありがとうございました。戸惑うことも多かったですが、それ以上に楽しく幸せな一日でした』
うん。本当に驚きや戸惑いも多かったが、参加者ひとりひとりと話す機会もあったし、本当に楽しくて幸せだった……まぁその、規模だけは……もうちょっと控えめがよかったのだが……でももうこれ、無理だよな。専用の世界作っちゃったわけだし……絶対次もこの世界でやるよね?
……う、うん。まぁ、次のことは、その時に考えよう。とりあえずは、今日は凄く楽しくて幸せな思い出ができてよかった。
シリアス先輩「パーティは終わったわけだけど、気になる部分が何点か……胃痛戦士たちへの追加攻撃、ゴリラに襲われることがほぼ確のイレクトローネの安否、ネピュラが言っていたささやかな祝い……その辺か」