続・宮間快人生誕記念パーティ㊹
クイズ大会は進んでいき、全問題の半分は超えて15問目が終わった。かなりいろいろ考えられているというか、本当にジャンルが広く答えを聞いてなるほどと思ったりするので、面白い。
人界ジャンルではハイドラ王国が出たが、観光地に関する問題であり国の宣伝にもなってる感じだった。正解は以前恋人たちといったプライベートビーチだったのだが、他の選択肢もハイドラ王国に存在する観光地であり俺が知らない場所ばかりだったので、行ってみたいなぁという考えも浮かんだ。
俺はいまのところ全問正解とかなりの好成績だ。高難度以外はちゃんと考えた上で答えられて正解しているし、高難易度に関してもある程度は絞って運に頼る部分は極力少なくしているので上出来と言える結果だ。
このまま全問正解が理想ではあるが……高難度は本気で難しいので、果たしてどうなるか……。
『次は~異世界の4だね』
『はいはい。それでは問題です。トリニィアにおいてはリプルと呼ばれる果物は、異世界ではなんという名前でしょう? 1リンゴ、2ドラゴンフルーツ、3リコピン、4ドリアン』
異世界関連の問題は俺たち異世界人にとってはかなり簡単なものが多いのだが、会場内の人たちを見てみると他の問題に比べて悩んでる人が多い印象だ。
今回の問題に関しても、リプルが異世界の名称に変更されていないということを知っている人は結構いるのだろうが、じゃあ異世界ではなんと呼ぶと聞かれると正解を知る人は、そんなに多くない気もする。
ただしある程度似た名前であると知っているとか、頭は同じリから始まるのではとか予想すれば、ある程度選択肢は絞れるようになっているので、その辺りも含めて結構練られていると感じた。
『……では、正解の発表です。正解は1のリンゴですね。基本的に多くの食材は勇者役が混乱しないように、異世界の名称に変更されていますが、リプルは一部の地域で祭事に用いられていたり、魔界にリプルの木をご神木として信仰している種族が居たりする関係で、名称がそのまま変更されていません』
『あ~聞いたことあるような気がするね。なんだっけ、砂漠に住んでてリプルが生る奇跡のオアシスだったかってとこを聖域にしてる種族だっけ?』
『ええ、幻惑の民と呼ばれるフェルナートという種族ですね。いちおうこの会場にもひとり、少し前に隠し芸大会に出てたアカネさんの補佐のフラウさんがフェルナートですね。たぶん彼女も年の決まった日には、種族の習わし通りにリプルを食べるんじゃないでしょうかね』
そういえば、メイドオリンピアの時にリリアさんがフラウさんが魔界の砂漠に住む部族の出身じゃないかって言ってたっけ? その時はリリアさんも詳細を知らなかった様子だったが、フェルナートという種族なのか……やっぱりこうしてアリスが補足の解説をしてくれるので、いろいろためになって面白い。
『さて、次に行きましょう』
『ほいほい……高難易度の1だね』
『おっと、ついに来ましたね。こちらの高難易度問題ですが、問題作成を担当した私的に……最難関です。滅茶苦茶難しいです。なんなら私でも、知らずに出題されたら間違うかもってレベルですね』
『えぇぇ、シャルたんが間違うレベルって……いやでも、いちおう4択だから4分の1では当たるのか……』
おいおい、アリスが間違う可能性があるレベルって相当だぞ。ここまでも高難易度問題はマジで難しかったし、これはついに運任せに答えるしかない問題が来てしまうのかもしれない。
『さて、この問題は少し形式が違いまして、ステージ上の大きなモニターを見てください。こちらに記録魔法具による1~4の番号が振られた写真が出ますので、そちらから選んでいただく形になります』
『なるほど、そういう形式もあるんだね。いろいろ考えるもんだねぇ~』
いわゆるパネル選択系の問題ってことか……相当難しいらしいし、一部の写真だけで場所を当てるとかだろうか?
そんなことを考えつつステージ上のモニターを見ると……番号が振られたシロさんの顔のアップ写真が表示された。
『はいこちら、微笑んでるシャローヴァナル様はどれでしょう? 解答時間は3分です』
『よ、よがったぁぁぁぁ……私、クイズに参加してなくて、ほんっとうに……よかった。いや、シャルたんの言う通り物凄く難しい。とんでもない難易度だけど……これ仮に答えて外したら、精神的なダメージというか自己嫌悪が酷いことになりそうだから……』
『なんならこの問題だけ参加してもいいですよ?』
『やだ! 絶対やだ!! もし外したら、私クイズ大会中には立ち直れないから……ほら見てよ、私以外の神族やオリびんの顔……必死じゃん、血眼じゃん……分かるよ。尋常じゃないぐらい難問だけど、外すわけにもいかないから必死に考えてるんだろうね』
フェイトさんの言葉に導かれるようにクロノアさんとかライフさんの方を見てみると、確かに鬼気迫るというか、写真から得られるヒントはひとつも逃さず見つけて見せるみたいな決意が凄い。
……まぁ、ただ、その……かつてない難問に良くも悪くも盛り上がってる感じの会場の空気ではあるが……『あまりに簡単な問題』だったので、問題聞いて即解答した俺としては微妙に乗り切れない空気ではあった。
シリアス先輩「相変わらずよく分からない場面で強キャラ感出す主人公である」
???「まぁ、カイトさんはマジでシャローヴァナル様の表情を見分けるのは世界一レベルですからね。カイトさんのモノローグで『シロさんが楽し気』とか語られてても、傍目に見ると表情の変化ゼロですからね」