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続・宮間快人生誕記念パーティ㊲



 さて唐突に温泉に放り出されてしまったわけだが、ここはシロさんの時と同じように夢の中であり、感覚などは現実と変わらないのだが大きく違う部分もある。

 まず、温泉には居るのだが脱衣所を経由したりしてこの場に居るわけではないので、俺やリリアさんに着替える服などは無いしマジックボックスも夢の中では使いようがない。ついでに言えばそもそも脱衣所というか……この温泉のある浴場から外に出る方法もなさそうである。


「……えっと、リリアさん、大丈夫ですか?」

「ちょ、ちょっと待ってください。今自分に必死に言い聞かせてます……ここは夢の中……ここは夢の中……」


 アリスほどとは言わないが、恋愛関連に弱く恥ずかしがりやなところがあるリリアさんは、やはりいきなり覚悟も何も決まってない状態でタオル一枚で温泉にという状況は厳しいらしく、もう既のぼせているのではないかというほど顔を赤くしながら、必死に己に自己暗示のように夢の中だと言い聞かせていた。


 ただある意味幸いだったのは、過去にリリアさんと俺は混浴をした経験がある。ルナさんにリリアさんが騙されるような形ではあったが、それでも一度そういう経験を経ているというのは精神的に大きいとは思う。

 それこそ、その経験が無く唐突にこの状況であれば、リリアさんは夢の中で気絶するというような器用な芸当を……。


「……リリアさん、ふと思ったんですよ」

「なんでしょうか?」

「いえ、蒸し返したりするようで申し訳ないですが、リリアさんって過去に恥ずかしさで気絶したりってしてましたよね?」

「え、ええ、お恥ずかしい限りですが、極度の恥ずかしさに思考が停止したと言いますか、そんな感じですね」

「……そしていまもかなり恥ずかしい思いをしているとは思うんですが、ここって夢の中なのでそもそも気絶とかってするんですかね?」

「…………そうですか、私には気を失うという逃げ道もないのですね」


 実際にどうかは分からない。夢の中でも気絶が出来るのかもしれないが、そもそも気絶なんて狙ってするものではないので検証しようもないし、よく分からないが……たぶんできないと思っておいたほうがいいとは思う。


「というより、ここは本当に夢の中なのですか? 現実とまったく区別がつかないですし、普通に感覚もあるのですが……」

「正しく言うと、精神だけを特殊な空間に引っ張ってきてる感じらしいです。まぁ、いろいろとよく分からない部分はありますが……ここにずっと立っているのもなんなので、とりあえず温泉に入りますか?」

「そ、そうですね」

「あ、別に温泉宿とかの温泉とかってわけでもないですし、タオルとかは巻いたままで大丈夫だと思います」


 温泉にタオルを浸けるのはマナー違反ではあるが、公共の施設とか一般の温泉宿とかってわけでもなく、夢の中の温泉であるわけだし、その辺りはリリアさんの精神安定を優先して問題は無いだろう。

 そんなわけで俺もリリアさんもタオルを巻いたままで温泉に入ることにした。


 温泉に浸かってみれば……海の時も思ったが、本当に夢の中とは思えないほど感覚がリアルであり、本当に温泉に浸かっているようだった。


「あ~でも、体感だとそこそこ長い時間が経ってたので、温泉に入るのはいい気分転換になりますよ」

「私たちにとっては短い時間でしたが、カイトさんは丸二日以上経過しているのでしたね。大変ではありませんでしたか?」

「いや、本当にまったく疲れてないというか、俺としては楽しく雑談をしながらプレゼントを受け取ってただけですしね。時間とかも気にしなくてよかったので結構気楽でしたよ」

「ふふ、その辺りは流石カイトさんですね。私も貴族なのでパーティなどで多くの挨拶を受けたりしますが、やはり精神的な疲労は大きいですね。まぁ、貴族のパーティとは少し違うのでしょうが、それでもその精神面の強さは羨ましいです」


 勝手なイメージではあるが貴族同士の挨拶だと腹の探り合い的な部分もありそうだし、気疲れするというのは理解できる。

 そして余談ではあるが、やはりリリアさんはかなり恥ずかしい様子で、顔を赤くして目線を泳がせながら会話をしており、なんとか会話に集中して恥ずかしさを誤魔化そうとしているみたいで……いや、本人は大変なんだろうが、見ていることらとしてはなんだか可愛らしく感じた。


「リリアさんは、なんというか……今回もいろいろ大変そうでしたね。いや、大半の原因が俺ですが……」

「本当になぜあんなことになるのか……いえそれでも、大変なところは乗り切ったわけですし、これ以上なにかが起こる心配は無い筈です」

「……なんか、リリアさんがそういってると、またなにか起こりそうな……」

「……そうですね。私もそんな気がしたので、最後まで気を緩めず警戒しておきます」


 俺の言葉を聞いたリリアさんは、過去の経験からなにか起こりそうな気配を察したのか警戒を緩めないと答えた。

 まぁ、身構えてる時や警戒してる時は意外と予想外の事態って来ないものだし、大丈夫そうな気はする……けどなんか、誕生日パーティが終わった後で気を抜いたりしたタイミングになんかありそうなというか、そういう不安はある。




シリアス先輩「おっ、楽観視しなかったことで追撃を回避か……しかし、胃の殲滅者によって死の宣告がされたから、パーティ後に別件でなんか胃をぶん殴られそうではある」

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― 新着の感想 ―
 そっか、夢の中だから気絶という逃げ道も無くなったのか。確実にこの空間を創ったシロさんが善意100%でやったんだろうね。  たしかに、知り合いがプレゼントを渡しに来てくれた形だったから疲れが無かった…
こういう時のカイトの予想は、フラグ建てと同義語である
そういえば今絶対者のところに…
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