続・宮間快人生誕記念パーティ㊱
とりあえず二回目の休憩が確定となり、最初の時と同じように30分。その場から自動的に休憩室に転移されて休憩する形に決まった。
まぁ、今回は前回のようにシロさんと一緒というわけでもないだろうし、のんびり気分転換をすることにしよう。
そう思っていると景色が変わり休憩室に移動して……目の前に居る人物と目が合った。
「……あれ? リリアさん?」
「あ、あはは……」
休憩室に到着すると、同じ部屋の中になんとも言えない表情を浮かべたリリアさんの姿があって首をかしげる。これはアレだろうか? 今回はリリアさんが一緒に休憩ということだろうか?
そういえば、シロさんがそんなことを言っていた覚えがある。なんだかんだで二日ぐらいの時間が経過したので失念していた。
「そういえば、シロさんがそんなことを言ってましたね。じゃあ、今回の休憩はリリアさんが一緒ってわけですね」
「ええ、シャローヴァナル様が気を遣ってくださって……いやしかし、こうして一緒に休憩と言ってもなにをすればいいのか? 恋人らしいことをしていないからという理由で割り振られたということは、恋人らしいことをする必要があるのでしょうか……だとしてもなにを? ちなみに、シャローヴァナル様と過ごされた際にはなにを?」
「一緒に海で遊びましたね」
「……う、うん?」
俺の言葉を聞いたリリアさんが、突然宇宙の話を振られたかのような表情になったが、それも仕方が無いだろう。
海に行ったのは事実なのだが、一種の夢の中と言えるような状況だったし……う~ん、説明が難しいなこれ……。
「えっと、なんというか、休憩自体は仮眠してたような感じですが、夢の中というか精神世界でシロさんと一緒に海に行って、時間が引き伸ばされた状態でそれなりの時間遊んでました」
「……な、なるほど、あまりにも理解が及ばない内容ですが、シャローヴァナル様であればできても不思議ではありませんね。ただ、私がどうすればいいかの参考にはなりませんね」
「それはまぁ、その通りですね。でも別になにかしら特別なことをしなくちゃいけないってわけでもないですし、一緒にお茶でも飲みながら休憩すればいいんじゃないですかね? マジックボックスの中に紅茶とかもありますし、テーブルやソファーもありますからね」
「そうですね。それでは休憩時間の間、話し相手にならせていただきますね」
元々の発端が、恋人らしいことをプレゼントを渡す際にしていなくて不公平というシロさんの発言から始まったらしいので、リリアさんもなにかをすべきという意識が強かったみたいだが、別に無理やりなにかをする必要も無いだろう。
時間的にもシロさんの時のように時間がずれてたりというわけではなく、30分しかないわけだし普通に雑談をするぐらいでいいと思う。
そんな俺の言葉にリリアさんもホッとした様子で微笑みを浮かべ、休憩室内にあったテーブルに向かい合う様な形で座る。
あとはマジックボックスから紅茶とかお菓子を出して雑談をと、そう思ったタイミングで異変は起こった。
「……あ、あれ? なんか急に眠気が……」
「カイトさんも、ですか? 私もいま急に……眠気……が……」
椅子に座った直後いきなりとてつもない眠気に襲われた。なにが起こっているのかと疑問に思う暇もないぐらいに強烈な眠気であり、抗うこともできずに瞼は落ちて意識はまどろみの中に沈んでいった。
そして気が付くと……なぜか俺は全裸で腰にタオルを巻いた状態で露天風呂の前に居た。
「……え?」
「こ、ここは――きゃぁ!? え? な、なんで私、こんな姿に……」
「リリアさん?」
「カ、カイトさん、いまはこっちを向かないでください!」
リリアさんの声が聞こえてそちらを向くと、リリアさんも俺と同じように服を脱いでタオルを体に巻いた……いわゆる風呂に入る前の姿であり、突然そんな姿に変わっていたことでリリアさんは顔を真っ赤にして慌てていた。
するとその直後に俺たちの目の前……露天風呂の上に光り輝く文字が浮かび上がった。
『私の時と同じように外との時間はズラしてあるので、リリアも快人さんと恋人同士のひと時を存分に楽しんでください。シチュエーションは、私が海だったので温泉にしておきました』
なんてことをしてるんだシロさん……いや、本人は間違いなく善意100%というか、自分がそうやって過ごしたのだからリリアさんにも同じような機会をとサポートしてくれたつもりなのだろう。
「……あ、あれ? つまりこれ夢の中ってことですよね。お、おかしいですね? 夢の中なのにお腹痛い……」
なお手厚いサポートを受けた当人であるリリアさんは、なんとも言えない顔でお腹を押さえていた。
シリアス先輩「やりやがったッ!! マジかよあの神!? やりやがったッ!! いきなり力技で温泉混浴回を始めやがった!?」




