続・宮間快人生誕記念パーティ㉟
ルナマリアさんのそれなりの羞恥心と共に平行世界を利用したプレゼントの受け取りは完了となった。いやしかし、この形式は本当によかった。
平行世界を利用しているので時間を気にして流れ作業のように受け取る必要もなく、ひとりひとりとのんびり雑談する余裕もあったので個人的には大満足である。もし次の機会とかがあるなら、プレゼントは次もぜひこの形式でやって欲しいものだ。
そしてプレゼントを受け取り終わってもパーティは終了というわけではない。余興があとひとつ……人界の代表者たちが考えたものが残っているので、次はそれに移行する形だろうか?
『はいそれでは、カイトさんも無事にプレゼントを受け取り終わったので……休憩挟みますか。いや、多くの方にとってはさっき休憩して即また休憩となりますが、カイトさんはずっとプレゼント受け取ってましたしね』
『というか、カイちゃんってどのぐらいの数の平行世界を行き来してプレゼントを受け取ったの?』
『カイトさんがこの平行世界を利用したプレゼント受け取りで受け取ったのは423人からのプレゼントで、ひとり辺り雑談込みで平均7分ほど、時間にしておおよそ50時間ですね』
『えぇぇ、丸二日以上かかってるじゃん。うへぇ、私には絶対無理だよ。一人目の途中辺りでギブだね』
『……いや、なんで途中で打ち切ってるんですか……まぁ、フェイトさんが極端な面倒臭がりなのは置いておいて、かなり時間はかかってるわけです。平行世界を利用した受け取りなので、平行世界を移動するごとに肉体的な疲労は回復しますし、その気になればいくらでも休憩は挟めるんですがね』
改めて数字で聞くと結構な時間である。とはいえ俺にしてみれば、楽しく雑談していたら終わった感じなので、そんなに大量の時間がかかった気がしない。やっぱり肉体的な疲労が無いというのは大きい。
『そうだね~精神的に滅茶苦茶疲れそうだし、カイちゃんもしっかり休憩……休憩……う~ん。シャルたん、私記憶ちゃんと引き継げてないかも? カイちゃんが休憩取ってる記憶が見つからないよ』
『……取ってねぇんすよ休憩。結局50時間ノンストップで受け取りました』
『いや、それカイちゃん大丈夫なの? ああ、だから休憩を……』
『それがですね……仮にカイトさんが無理してたり、平気そうに装いつつも疲れてたりって場合には、私やクロさんや他の方々が動いで強制的にでも休憩を取らせてたんですよ。ほら、クロさんを見てください、珍しく呆れた顔してるでしょ』
アリスの言葉を聞いてクロの方を向くと、確かにどこか呆れたような顔で苦笑していた。なんというか「カイトくんはしょうがないなぁ~」みたいな声が聞こえて来るかのような顔である。
『カイトさんメンタル面は文句なしに化け物なので、マジでまったく疲れてなくてケロッとしてるんですよ。それどころかたぶんカイトさんの思考を考えると、平行世界を利用したおかげでひとりひとりとしっかり話ができてよかったなぁ~また次もこんな感じでやって欲しいなぁ~って喜んでるぐらいですよ』
『……やっぱ、カイちゃんはすげぇや』
『まぁ、そんなわけでカイトさんは疲れてないと思うんですが……でもこっちが気になるというか、心配してる人も多いと思いますし、気分転換もして欲しいので休憩は挟みます』
アリスは俺が精神的に疲労していないのは理解しつつも、休憩を挟むと断言した。確かにトーレさんや茜さんや、他にも結構の数の人がプレゼントの受け取りの際に疲れてないか聞いてきていたので、その方が無難かもしれない。
『なるほど、納得だね。そうだシャルたん、せっかくだし他にもなんか《カイちゃんすげぇエピソード》頂戴』
『……うん?』
おっとなんか、フェイトさんが変なことを言い始めたぞ……。
『いやほら、カイちゃんがすげぇって話を聞くと私も恋人として誇らしくなるし嬉しいし、つまるところ私がなにもしなくても幸せな気持ちを体験できてとても楽だから、もっとなんか頂戴。いまみたいに、私じゃ気付けてないけど的なのあるでしょ?』
『……う~ん。じゃあ、この誕生日パーティ内の話でひとつ。パーティ中盤にイレクトローネさんが登場したわけですが、フェイトさんは最初にその姿を見てどう思いました?』
『え? いや、流石シャローヴァナル様とかと同格の神様だけあって、圧力というかオーラというかとんでもないなぁって』
うん? イレクトローネさんが登場した時にそんな圧力みたいなのあったっけ? なんかライブ的な感じで登場して、見た目のインパクト凄いなぁって感じの覚えしか……。
『ええそうですね。魔力と表現すべきなのか、神力とかオーラとか存在圧とか、どう表現すべきなのが適切かは分かりませんが、やはり全知全能級の神だけあって、顕現しただけでとんでもない圧力でした。精神が押しつぶされたりとかそういう類じゃないですが、存在そのものの圧力みたいなのは感じましたよね。会場の皆さんも感じたと思います……まぁ、イレクトローネさんはこちらの反応を見てすぐに調整してくれたようで、圧力を感じたのは一瞬だけでしたがね』
『うん。それで?』
『ところがカイトさんは、なんか神たちと接し過ぎて感覚バグってるのか知りませんが、明らかにまったく圧を感じてなかったんですよね。感応魔法で適応したんじゃなくて、普通に問題なさそうな感じで……イレクトローネさんが現れた時も、インパクト凄いな~程度の感想だったと思います』
『……やっぱ、カイちゃんってすげぇや』
それに関しては本当に寝耳に水というか、マジでまったくそんな圧力は感じてないのだが……フェイトさんとかアリスの反応を見る限り、本当に俺が鈍感でスルーしていただけで、他の皆も感じていたっぽい。
シロさんやマキナさんとよく話してるせいで、そういう神のオーラに慣れてしまったのかもしれない……。
~真相~
神のオーラ(全知全能)「まぁ、いくら凄い適応力があると言っても、こっちも全知全能級の神のオーラとしての面子とかそういうのがあるわけだし、仕方ないよね。適応するまでの間だけではあるけど、ちょっと上位存在の圧ってのを感じてもらわないとね。それじゃ、軽い威圧いっちゃいますか!」
小さな物語の終わり(論外)「……は?」
神のオーラ(全知全能)「--快人様以外のやつらになぁ!!!! あ~駄目駄目、神のオーラだからってやっていいことと悪いことがあるわけで、快人様を威圧するとか短い時間でも許されるわけがないよね! むしろ、適応を待つとかいう姿勢自体も大問題!! こっちの方が適応させていただきますって姿勢で感応魔法に自分から適応していかないと!!」




