表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2281/2426

続・宮間快人生誕記念パーティ㉕



 ロズミエルさんからプレゼントを受け取り、また新しい平行世界に移動して次の方からプレゼントを受け取る。続いての相手は……。


「今日は素晴らしき日だね。星々も瞬き、祝宴は華やかに彩り、盟友の生誕祭を讃えている。集いし数多の星々も、盟友を祝福している。もちろんボクもまた煌めく星のひとつとして、盟友を祝福しているよ」

「ありがとうございます、アメルさん」


 そう、アメルさんである。どことなくドヤッとした感じのテンション高めの様子で祝福の言葉を述べてくれる姿から微笑ましさを感じるのは、感応魔法を使わなくてもウキウキしてる感じが伝わってくるからだろうか?

 あくまで予想ではあるが、アメルさんは人族だから誕生日を祝うというということに関しては知っている……というか、たぶん友達の誕生日を祝うというのに憧れのようなものがあるんじゃないかと思う。

 俺を家に招いた時もかなりはしゃいでいたし、そういう時のアメルさんはなんというか背後に全力で尻尾を振る子犬が見える気がする。


「アメルさんは、ゲーム大会ではかなり惜しかったですね。決勝までは何度も進んでましたが……」

「ああ、もちろん悔しさが無いと言えば嘘になる。だが、ボクは勝敗よりも普段関わることのない数多の星々と競い合えたことを喜ばしく思うよ。栄光の席には限りがある以上、勝者と敗者は生まれる。皆もまた栄光を掴まんと邁進する以上、勝者と敗者が生まれるのは必然。重要なのはその過程においてなにを煌めきをするかだ」

「ああ、あの手のゲームは大人数でやると楽しいですよね」

「うん! 皆でワイワイとやれて楽しかっ……んんっ!? ボク自身得るものも多かった」


 ゲーム大会でアメルさんは何度も決勝には進んでいたが、残念ながら優勝することは無かったのだが、本人的にはあまり気にしていないというか、勝ち負け以上に皆とワイワイ遊べたことに喜んでいる様子だった。

 確かに、前回の船上パーティでもイリスさんを紹介するまでは若干浮いていたし、どうにもアメルさんは喋り方が独特かつ難解であるために、この手の場では浮きがちになってしまう感じだった。


 俺はもう慣れたので、長文であっても余裕で読み取れるが、確かにあまり多く話してない人にはなにを言っているか理解し辛い部分はあるだろう。


「さて、盟友とさらに絆を交わしたいところではあるが、ここはボクたちだけのために用意された場ではない。無為に時を引き延ばすべきことは得策とは言えない。だからさっそく、盟友に宝具を手渡そう」


 プレゼントを宝具と表現してきたか……ちなみにアメルさんの言い回しに明確な法則は無く、単に本人がカッコよさそうな言い回しをその場で適当に言ってるだけなので、次の別の表現に変わってたりすることも多い。


「盟友は覚えているか、ボクと盟友が運命的会合を果たした場で、有翼族にとって己の羽根を使った品を贈るのは特別であると語ったことを……」

「ええ、覚えてますよ。親愛の証みたいな感じなんですよね」


 ハーモニックシンフォニーの打ち上げのお茶会で、アメルさんに始めて会った際に黒い羽根で出来たアクセサリーを貰った覚えがある。


「ああ、その通りだ。だが、有翼族に伝わる文献を読んでいたところ、さらに上位であるアクセサリーの存在を知った。そのアクセサリーは有翼族の中でも地位の高いもののみに作成が許された品、作り方がかなり複雑で有翼族の歴史からは消えてしまった品ではあるが、有翼族が他者に贈るものとしては最上位の品と言っていい……らしい」

「作り方が難しすぎて廃れてしまった秘伝のアクセサリーって感じですかね?」

「ああ、盟友に贈るにはそれ以上に相応しいものは無いだろうと、試行錯誤をして作ってみた。これがその宝具だ」

「ありがとうございます。これはまた、綺麗ですね。それにかなり形が複雑というか……二枚の羽根が絡み合うような形状になってるんですかね? よくこんな複雑な形に加工できましたね?」

「それこそこの宝具が失伝していた要因だったんだが、以前に虚ろなる幻影の王がアクセサリーを制作するための神秘の品を下賜してくれた際の物体の軟性を変化させる術式……アレを用いれば加工が可能ではないのかと考えて、実行した結果、失われた宝具を再び作り出すことが出来たというわけさ」


 アメルさんから受けとったアクセサリーは、ふたつの羽根が複雑に絡み合う構造になっており、通常であればこんな形に加工しようと思えば羽根は折れるし、単純に切り貼りしたとしてもこの形にはならない。

 アリスがアクセサリー制作キットに用いていた。金属などでも粘土のように柔らかくする術式を参考にして、秘伝のアクセサリーを完成させたらしい。


「なんでもそのアクセサリーは永遠の絆を象徴する品らしくて、古い時代には当時の有翼族の長などが本当に特別な相手に対してのみ贈ったらしい。ボクと盟友の絆に相応しい品だ」

「……永遠の絆? 特別な相手に贈る……えっと、アメルさん……それもしかして婚約する相手に贈る品なのでは?」

「はへ? こ、ここ、婚約? え? 特別ってそういう……ち、ちがっ、ボ、ボボ、ボクはそういう意図じゃなくて、あ、あくまで深い絆のある盟友に特別な品をってことで、だだ、だから婚約とかそういう話じゃなくて……そ、そう! ボクと盟友の絆はそんな浅いものじゃなくて、だからその……か、風が悪い! 時間をかけすぎた! ボ、ボクはこれで失礼するよ……あっ、盟友、改めてお誕生日おめでとう! それじゃ!!」


 どうにも説明的にエンゲージリング的なアクセサリーなんじゃないかと思って尋ねると、アメルさんにその発想は無かったらしく、分かりやすいほど動揺して顔を真っ赤にして逃げるように去っていった。以前もトーレさんに変なことを言われて逃げていたので、この手の話題は苦手っぽい感じである。




シリアス先輩「薔薇のチワワから漆黒のポメラニアン(鳥)か……犬系が続けてきたな」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
 ロズミエルさんの次はアメルさん!ゲーム自体は快人さんとやっていたみたいだけど、大人数で遊ぶのはまた別の面白さがあるよね。アメルさんは特に皆でやるのが好きそうだし、楽しそうで嬉しいね!  アメルさん…
更新お疲れ様です!次はアメルさんで黒い羽根のアクセサリーで内容を聞いた後でのアメルさんの反応が可愛い過ぎる! こちらもフラグが深まったなw 次も楽しみに待ってます!
まぁ大丈夫だ!そのうちそうなるから。うん!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ