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続・宮間快人生誕記念パーティ㉓



 イプシロンさんからプレゼントを受け取り終わり、イプシロンさんがパーティに戻っていった……さてどうなるのだろうかと、そう考えたタイミングで……。


『それでは、次の余興まで少々時間がありますので、それまでは皆さん歓談を楽しんでおいてください』


 お? おぉ……これはつまり、もう平行世界に移動してるのか? 全然気づかなかった。となればもうガラポンを回して問題ない筈だ。

 さて、次は誰だろうか……。


『オリビア』


 次はオリビアさんか、隠し芸大会の時に凄い技術を見せてくれたけど……あっ、もしかすると彫刻品とかを用意してるのかもしれない。

 いやでも、オリビアさんの彫刻って……なんか本人的に必要な技術だから身に付けたってだけで、趣味でもなければ今回みたいな機会でもなければ人に披露することもない気がするので、彫刻品は無いかも……。


 程なくしてやってきたオリビアさんは、まず俺の前で祈りの姿勢になった。


「時間が限られる故、略式ですが祈りを……ミヤマカイト様、改めて誕生日おめでとうございます。偉大なるミヤマカイト様の記念となる日に立ち会えることはこの身にとってあまりある栄誉です」

「あ、あはは……ありがとうございます」


 さすがにオリビアさんとももう結構話をしているので、大げさに言っているとかではなくこれが素であり本心からのセリフだというのは分かる。


「今回はささやかではありますが、祝いの品を持参させていただきました。ミヤマカイト様に献上する品を選ぶというのは、未熟なこの身では非常に難しくはありましたが……参考文献によると、日常生活において使用できるものが好ましいと記述がありましたので、こちらをご用意させていただきました」

「ありがとうございます……細長い箱? ペンとかですかね?」


 オリビアさんが差し出してきたのは高級感のある細長い箱であり、一瞬ペンかと思ったのだが……ペンにしては少々大きい気もした。


「こちらは箸です。ミズハラカオリの店などでも、ミヤマカイト様が異世界食……和食を好まれるというのは把握していましたので、それを食す際などにご利用いただけたらと思い用意させていただきました」

「ああなるほど、箸ですか。確かにいい箸は持ってなかったので嬉しいです。大事に使わせてもらいますね」


 基本的にリリアさんたちとも一緒に食事をする関係上、洋食を食べる機会が多いのだが……イルネスさんとか料理長とかに言えば和食も作ってくれるし、なんならアリスにお願いすればラーメンとかも作ってくれるので、マイ箸があるとありがたい場面は結構多い。


 香織さんからも貰っているが箸なんて何本あってもいい。


 さらにこの世界の魔法には、食器などの小さめの物体の汚れや雑菌を綺麗にする魔法がある。皿洗いとかで使うには魔力消費とかも考えれば効率は悪いみたいだが、箸ひとつ綺麗にするぐらいなら使いやすい。あと俺も普通に使えるぐらいには簡単な魔法なので、このマイ箸の使いどころは多そうだ。


 俺がお礼を言うと、オリビアさんはパアァと表情を明るくする。選んだプレゼントを喜んでもらえて嬉しいという感情が伝わってきて、なんというか微笑ましかった。


「そういえばオリビアさんって誕生日とかは?」

「私ですか? 誕生日と表現するべきかは迷いますが、シャローヴァナル様によって私が創造された日を誕生日と表現するのであれば、正式に友好条約締結が決まった水の二月28日目ですね」

「なるほど……あれ? 友好条約の締結記念日って天の月じゃなかったですっけ?」

「仰る通りです。世界的に友好条約が結ばれた日は天の月15日となっておりますし、それも事実ではあります。民衆の前で三界の代表が集結して友好条約を締結したのは天の月15日で間違いありません。ただ、内々に友好条約の締結が確定したのは水の二月で、締結後の友好条約の原文の管理等を話し合い、それを管理する役割として私が創造されたのは水の二月28日目です」


 言われてみれば確かに、友好条約がいまの友好都市ヒカリにて結ばれた記念日は天の月15日目だが、当然その日より前にいろいろ管理体制などの話し合いがあってしかるべきだ。

 しかし、水の二月28日目となると、俺の誕生日と割と近いというか、結構すぐである。


「じゃあ、今日のお返しに是非オリビアさんの誕生日にはお祝いさせてください」

「……お祝い?」

「なぜそんな、初めて聞く言葉みたいな顔を?」

「あ、い、いえ、申し訳ありません。私としたことが、ミヤマカイト様の言葉を聞き違えてしまったようでして、恥知らずにもいまミヤマカイト様が私の誕生日を祝うと発言したかのように聞こえてしまいまして……」

「その通りですけど……いや、オリビアさんもいろいろなことを経験してるみたいですし、誕生日の祝いとかもいいんじゃないかなぁって……まぁ、俺が祝ってみたいってのが主な理由なので、オリビアさんさえよければ是非」

「え? あ、はい? ミヤマカイト様のご意向とあれば……」


 頭に大量のクエッションマークが浮かんでいるのではないかというような表情のオリビアさんを見ていると、そもそも根本的に話に理解が及んでいないというか……自分の誕生日に関して、俺がお祝いをするということが理解できてない気がする。

 オリビアさんはどちらかと言えば神族に近い方だし、誕生日の祝いとかにはあまり縁が無いのではないかと思う。


 まぁ、本当に思い付きではあるのだがオリビアさんの誕生日にはなにかお祝いをすることにしよう。




シリアス先輩「それ大丈夫? オリビア、あまりの恐縮に卒倒したりしない?」

???「ある意味では、カイトさん得意のボデ胃ブローの構えと言えなくも無いですね」

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― 新着の感想 ―
 次はオリビアさんの番か。確かに、彫刻はありそう……あっ、快人さんが彫刻は無い気がするって言ったから、500%無いね。  プレゼントは……箸?あれ、香織さんも箸だったような……。まぁ、これだけ居たら…
香織さんとプレゼント被ってる。 けれど、箸なんだし複数もらってもいいんじゃないかな? なんなら、片方は家で使ってもう片方は香織さんの店で使ってあげよう。 それはそれとして、カイトくん、本当に容赦なく…
カイト君の善意が誰かの胃を痛めつけるw
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