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続・宮間快人生誕記念パーティ⑭



 隠し芸大会を見て審査を行い、プレゼントを抽選して受け取るというサイクルを行い、隠し芸大会も最後の一組となった。


『さていよいよ隠し芸大会も最後のエントリーです。トリを務めるのは、このお方……冥王ことクロさんです!』

『え? クロりん? クロりんは不利じゃない? だって、なにできても不思議じゃないでしょ……というか審査員じゃないの?』

『ええ、なので最後はクロさんの代わりに私が審査員になります』


 まさかの最後のエントリーはクロであり、フェイトさんの言う通りこれはかなり不利と言える。なにせ凄いことをしたとしても、クロレベルになれば普通にできておかしくないと思われるだろうし、意外性重視という採点においてはかなり不利だ。


『というわけで、最後のエントリーはボクだよ。まぁ、フェイトちゃんやシャルティアの言う通り意外性って面じゃ不利だとは思うけど、せっかくだからいままで誰にも披露したことが無いボクの隠された特技を見てもらおうと思ってね』

『それで、なにするんすか、クロさん?』

『今から5分で、普通のカステラを作るよ! 実は得意なんだよね~』

『おっと、ここでカイトさんが先んじて5点の札を出したぁぁぁ!』

『ちょっと……カイトくん?』


 ベビーカステラの悪魔が、ベビーカステラじゃなくて普通のカステラ焼くとか言い始めたので、もうほぼ異常事態みたいなものだし、5点の札を先出ししておいた。


「いや、なんか体調でも悪いのかと思うような発言だったので……」

『そんなに!? ボク、普通のカステラ焼くって言っただけで体調を心配されるレベル!?』


 ある種狂気ともいえるような拘りを持つベビーカステラではなく、普通のカステラを焼くというのがまず異常事態だし、しかも口振り的に普通のカステラを焼くのに自信があるらしいので異常事態その2と言ってもいいだろう。


『まぁ、カイトさんの気持ちも分かります。クロさんが普通のカステラ食べてるとこなんて、私でも数えるぐらいしか見たことが無いレベルですし……』

『それはね、悲しい事情があるんだよ。そう、アレはボクがベビーカステラの可能性を……』

『はい、スタートします。制限時間は5分です』

『ちょっと!?』


 ベビーカステラの可能性がどうとか言い始めて、確実に長くなりそうな流れをぶった切って開始宣言をするアリスのファインプレーにより、クロは若干不満そうながらカステラを作り始めた。

 まぁ、5分で作るために要所要所で時間の加速っぽいことしてるので、俺の目では見えない部分も多いが……手際はかなりいいように感じられた。


 そして、ほどなくして普通のカステラが完成し、クロはそれを切り分けて俺を含めた審査員の前に置く。食べろということらしいので食べてみると……滅茶苦茶上手いなこのカステラ、なんならアインさんが作ったとか言われても納得できるレベルである。

 今回はクロの代わりに魔界代表の審査員を務めるアリスもカステラを一口食べ、一度頷いたあとで口を開く。


『……私やアインさんが本気で作ったぐらい美味しいじゃないですか……これ確実に、普段のベビーカステラより上手く作れてますね』

『だからこれ、普段はやりたくないんだよ!』


 ああ、なるほど……クロはちょっと拘りが強すぎるぐらいにベビーカステラが好きで、無限の可能性を追い求めているとかそんなレベルなのだが、なぜか自分で作る場合はベビーカステラより普通のカステラが上手く作れてしまう。

 だからクロとしては人にあんまり披露はしたくなくて、いままで隠していたのだろう。


『はい、それでは採点です。カイトさんは5点で……おっと、カナーリスさん、リリアさんと、クロノアさんが4点……私とカイトさんは5点です……じゃ、とりあえずコメントは私が……今後はダークマター作るよりカステラ作った方がいいんじゃないっすか?』

『いや、カステラはこのレベル以上はそうないけど、ベビーカステラには無限の可能性があるから……』

『じゃあ、4点の中からも……カナーリスさん、コメントお願いします』

『そうですね。自分のゴッドアイによる読みだと、クロムエイナさんは、ベビーカステラに関しては可能性を追求し過ぎてしまうことを恐れるあまり、無意識に手を抜いてしまってるのかもしれないですね。多分その影響が無ければベビーカステラも同じレベルで作れるかとは思います。たはぁ~しかし無限の可能性の追求ってのは果てしないテーマですね。実際に自分の知る限りでも、この世界には存在せずにベビーカステラに合いそうな調味料とか素材は数えきれないほど……』

『その辺もっと詳しく!』

『あ~はいはい。長くなりますから、後で個人的に聞いてください。はい、それではクロさんに拍手~』


 カナーリスさんの言葉にクロがものすごい勢いで食い付いていたが、アリスが話を打ち切ったことによって阻止された。

 指で食べるお菓子だとか不思議なものもあるわけだし、異世界の食材にまで手を出し始めると……今後が恐ろしいのだが……。




シリアス先輩「まぁ、なんせフィナンシェ持ってきただけで、快人に体調を心配されるレベルのベビーカステラ狂だからな……」

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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です!連続で読みました! 隠し芸のいよいよ2組に!プレゼントではアリアさんであり中身は高そうな紅茶と見せかけたココア! お茶目でありながらも楽しめた回でしたw 30分の休憩が2回ということ…
かわいい ベビーカステラ大好きなところもいいよね
 隠し芸最後のエントリーは……クロ!?え、会場内でもトップクラスに不利な人が来た。全能級はこの隠し芸は無理だと思ってた。だって、準全能級のアリスですら何やっても驚かないし……。  ……まさかの『普通…
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