続・宮間快人生誕記念パーティ⑫
さて恋人のプレゼントも一通り終わったが、パーティの参加者はまだまだたくさんいるので、俺のプレゼント受け取りもまだまだ続く。
いちおう隠し芸大会がすべて終わった後に、平行世界を利用した無限プレゼント受け取り編に突入するわけだが、いまもしっかり合間に受け取っておかなければ……。
『クエイクル・グランディレアス』
おっと、次はグランディレアスさん……うん? いやいや、グランディレアスさん……居ないような? さすがに、いくらこの大広間が広いからといってグランディレアスさんが入るのは難しいだろうし、そもそもいたら見落とすはずがない。
もしかして俺が移動するパターンだろうかとそう思っていると、アインさんに連れられて……なんか小柄で中性的な美ショタがやってきた。
「やあ~カイト~おめでと~」
「……え? えっと、もしかしてグランディレアスさんなんですか?」
「そうだよ~」
どこかポワポワした緩い笑顔で笑うグランディレアスさんは、たぶんクロとかアリスより小柄な130cm前後の身長で、クリッと天然パーマ気味のセミショートボブの明るい茶髪の可愛らしい少年……いや少女? 性別はどっちにも見えるのだが、とりあえず子供の姿になっていた。
「え、えっと、その姿はいったい?」
「ああ~カイトに見せるのは~初めてだったかなぁ? これは~マグナウェル様が~シャルティア様に~頼んでくれて~作ってもらった特殊な分体だよ~」
「ああ、マグナウェルさんが使ってるのと同じタイプの分体なんですね。しかしまた随分幼い雰囲気というか、竜の姿からは想像もできない雰囲気ですね」
若干間延びしてはいるものの、竜の姿の時と比べると口調もそこまでスローではないので聞き取りやすい。あの物凄くスローな喋り方は、竜の姿の身体的特徴とか声帯とかが影響してるのかもしれない。
「ああ~この姿は~分体を作る時に~どんな見た目がいいかって聞かれたから~小さい体がいいって伝えた結果だよ~」
「うん? 小さい体を希望したんですか?」
「うん~普段のボクはおっきいからね~小さい体を体験してみたかったんだ~。見える景色とかが新鮮で~楽しいよ~。それ以外は要望は出してないね~ボクは~四大魔竜で一番年下だから~幼い容姿になったのかも~?」
「なるほど」
グランディレアスさんは四大魔竜で一番若いのか……まぁ、とはいっても俺から考えれば滅茶苦茶年上なのだろうが、それでも確かにグランディレアスさんの口調と幼い見た目はマッチしてるような気もする。
「それじゃ~誕生日のプレゼントなんだけど~何にすればいいかよく分からなくて~ボクの……ヘルグラウンドドラゴンの背に出来る宝石を持ってきたよ~。なんか~魔族とかは高値で取引をしてるらしいから~」
「ありがとうございます。落ち着いた色合いが綺麗ですね」
グランディレアスさんが渡してくれたのは、琥珀のように見える美しい宝石だった。多分高い品なのだろうが、宝石の価値とかはよく分からないので、あとで誰かに聞いてみよう。
「……ところでグランディレアスさん、ぶしつけな質問なんですが……グランディレアスさんの性別ってどっちなんですか?」
「性別~ボクの~? どっちでもあるし~どっちでもないよ~」
「うん?」
「ヘルグラウンドドラゴンは~個体数が少ないから~雄と雌両方の性質を持ってるんだよ~。だから~両性ともいえるし~番になった相手とどっちが雄でどっちが雌かを調整したりするともいえるね~? ボクは~体が大きすぎるから~同族と繁殖はできないけどね~。この分体に関しては~関しては~……」
個体数が少なく、それでも繁殖を行うために雄と雌の両方の性質を持っているというのは、聞いてみればなるほどという内容だったが、そのあとで分体の性別を伝えようとして……グランディレアスさんは首を傾げた。
「……人族って~どこを見れば性別の判断ができるの~?」
「え、え~と、それはちょっと俺の口からはお伝えし辛いと言いますか……」
「そうなの~? じゃあ~カイトが確認してよ~」
「い、いや、それはもっと厳しくてですね」
「ううん~? それじゃあ~この分体の性別はよく分からないや~。また~マグナウェル様に聞いておくね~」
「そ、そうですね。そうしていただけると……」
少女か少年か分からないが、幼く中性的な美貌の相手の性別を確認するのはいろいろと厳しい。グランディレアスさんは不思議そうに首をかしげていたが、とりあえずは納得してくれたみたいだった。
考えてみれば元が竜で、サイズ故に人化の魔法も難しかったらしいので、分からないことも多くて当然と言えば当然だ。
シリアス先輩「そういえば、男の娘枠的なのは居なかったか……クリスは男装の麗人的なアレだったから、微妙に違うし……」




