続・宮間快人生誕記念パーティ⑨
隠し芸大会も中々趣向を凝らしたものというか、アリスが最初に意外性を審査基準として重視するといったこともあり、隠し芸の名にふさわしい普段からは想像もできないような特技が出てきて、なかなかどうして面白い。
フィーア先生とフュンフさんの漫才に続いて出てきたのはアルクレシア帝国の騎士団長であるバルドさんであり、なんと驚いたことに異世界から伝わった遊具ということでけん玉を披露してくれた上に……普通に滅茶苦茶上手かった。
そして、その隠し芸が終わった後で再びプレゼント用のガラポンを回すと……。
『アリス』
なんと続けざまに恋人であるアリスを引いて、これで恋人は全員引き終わったことになる。
『おっと、私の番ですね。じゃあ、この実況席はしばし……クロさんにお願いします』
『おかしいな、いまチラッと私の方見たけど、任せるのは無理そうって判断したよね? いや、面倒だから任せられても困るけど……』
隠し芸大会の間の時間であるため、それほど司会進行の仕事があるわけではないのだが、とりあえず誰もいないのはまずいということでクロに任せる様子だった。
隣にいるフェイトさんは、まぁ、間違いなく面倒臭がるだろうという実に的確な判断である。
「というわけで、カイトさん、私の番ですよ。いや~恋人の中で私が一番最後とは、カイトさん的にはアリスちゃんにトリを飾って欲しかった感じですかね?」
「いや、単純に実況忙しそうだなぁって……」
「ああ、それで順番的に最後……でもその考えなら一番最後でもおかしくないような? あ~なるほど、さてはカイトさん恋人が続いてて、ちょっとお得な感じだなぁ~とかそんなこと考えましたね」
「確かに考えたけど?」
「それでカイトさんの超絶幸運補正が仕事して、私まで連続だったわけっすね」
なるほど、言われてみればイルネスさんが選ばれた時に、恋人が続いててなんか嬉しいなぁとか考えたので、それが要因というわけか……言われてみれば納得ではある。
「まぁ、とりあえず、カイトさん……誕生日おめでとうございます。ということでプレゼントはこちらです」
「ありがとう……そこそこ大きめの袋だな」
「ええ、と言っても別に中は特殊なものでは無いですよ。カイトさんの好みに合わせた服と靴のセットですね。私の手作りで素材もいいのを使いましたが、チョイスとしては無難な感じです。というか、どうせ奇をてらう感じのプレゼントは、他に癖の強いやつらがいくらでもいるので、普通に無難なものにしました」
「なるほど、なんだかんだでそういうのが俺としても安心して受け取りやすいし、ありがたいよ」
実際特別感はもうここに至るまでで凄まじいほど体験しているので、アリスが用意してくれた服のようなプレゼントの方が肩ひじ張らずに受け取れるし使いやすくて嬉しい。
まぁ、アリスのことだからその辺も含めて計算ずくという気はするが、なんにせよありがたいものである。
「……ところで」
「待ってください、カイトさん。おかしくないですか、別に最初は恋人だからどうこうとかそういう流れは無かったですよね? クロさんがゲーム大会のエキシビジョンの時に変なことして、それとは関係なく感極まったアイシスさんが同様に変なことして、そのまま恋人はプレゼントの際になんか特別なことするみたいな流れになっちゃってる感じですが、そもそもそんな決まりはないわけですよ」
「分かりやすいぐらい焦るよなお前……」
「いやいや、カイトさんはその辺りはよく知ってるでしょ……」
「知ってる上でいい加減慣れてこないものかと思ってる」
アリスは本人が力強く恋愛クソ雑魚と宣言するぐらいにはその手のイベントに弱く、とにかく恥ずかしがったり動揺したりする。
とはいえ別に恋人らしいことがしたくないというわけではなく、むしろロマンチストなところがあるので好みの面で語るのであれば恋人らしい行動は好きだと思う。
しかし、これまで結構いろいろやってるはずなんだが……未だにこの調子でまったく慣れないとは……そんな風に思っていると、アリスは分かりやすいほど大きくため息を吐いた。
「はぁ~カイトさん、何度も言ってますが私の恋愛クソ雑魚っぷりを見くびらないで欲しいですね」
「なんで想定より低い状況をそんなに誇らしげに語るのか……じゃあ、アリスは特になにもしないってこと?」
「うぐっ……い、いやぁ、まぁ、その、私も恋人なわけですし……断固拒否だとか、そういうわけではないんですが、心の準備的なものというか、状況的なものというか――んんっ!?」
なんかごちゃごちゃうるさいし、このまま放っておくとあれやこれやと言い訳を並べて長くなりそうで、次の隠し芸の時間になってしまうと思ったので、もうこっちから動くことにしてひとつ前のイルネスさんを参考に、サッと顔を近づけて軽くキスをした。
「なっ、なななっ、いきなりなにするんですか!? というか、いつもいつも私に対してだけ攻めのスタイル過ぎません!?」
「いやだって、その手の話題に関してお前滅茶苦茶逃げるし……」
「ふぐっ……だ、だって……恥ずかしいですし……」
俺が攻めのスタイルというか、アリス相手だとこちらが攻めないととにかく状況が動かないので仕方なくという部分もある気がする。
顔を真っ赤にして抗議をしているアリスだが……そもそもアリスにしてみれば俺の不意打ちなど避けようと思えば余裕で避けれるはずなので、それをしてない時点で答えは出ているというか……まぁ、その辺指摘するとさらに真っ赤になって慌て始めるので言わないが……相変わらず可愛いやつである。
シリアス先輩「ぐあぁぁぁぁ、やっぱ戻ってるのか!? なんだよあのモード、ほぼ自爆してるだけじゃねぇか!! くそっ……い、いや、でもまぁ、これで恋人は全員終わったわけだし、危機は去っ……え? ちょっ、またなんか体が勝手に……」
???「フラグ立てるから……」
シリアス先輩(絶対イチャラブモード)「諸君、果たしてこれで満足だろうか? これでやり切ったと、本当にそう言えるのだろうか? ……否! 断じて否である! 作中でも描写があった通り、恋人がプレゼントの際に特別な行為を行うのは、クロ~アイシス辺りの流れからであり、その前にプレゼントを渡した者たちはそうではなかった! つまり、まだやるべきことは残っているのではないか? ……(おまっ、ふざけ……なにをおかわりしようとしてんだぁぁぁぁ!?)」




