続・宮間快人生誕記念パーティ⑦
隠し芸大会も4番目となると結構空気も出来上がってきた。しかし、まさかフィーア先生とフュンフさんがコンビで漫才をするとは思わなかった。しかも、フュンフさんの方がボケとは……。
あと、その漫才とは関係ないがステージ脇でなんか腕組んで、「私が育てた」みたいな顔で満足げに頷いていたトーレさんが正直面白かった。俺もトーレさんとはそれなりに仲良くしているので分かるが、アレたぶん漫才コンビにはなにも関わってないけど後方腕組み師匠面したくてやってみただけだと思う。
壇上に上がったりせずにステージの脇に居たし……まぁ、意外性も含めて楽しませてもらった。そして次のガラポン抽選は……。
『イルネス』
おっと、フェイトさん、ジークさんに続いて恋人が三連続でくる形になったか、いや、別にだからどうというわけではないのだがなんか恋人が続くと嬉しい気持ちになる。
そして少しして、イルネスさんがやってきた。
「カイト様ぁ、誕生日~おめでとうございますぅ」
「ありがとうございます。イルネスさんは、綺麗なドレスですね。メイド服や私服は見たことがありましたけど、ドレスは初めて見たので新鮮な気分です。暗めの色合いがシックな雰囲気で、イルネスさんの落ち着いたイメージに凄く合ってていいですね」
「くひひ、ありがとうございますぅ。カイト様の~誕生日なのでぇ、少し~おめかしをしてきましたぁ」
イルネスさんは小柄ではあるが落ち着いた大人っぽい雰囲気のある女性なので、落ち着いた色合いのドレスが凄くよく似合う。なんというか、ドレスに着られているのではなくしっかりと着こなしているという感じがあって、新鮮ではあるが凄くしっくりくる印象だった。
「誕生日のプレゼントですがぁ、今回は~香水をご用意させていただきましたぁ。こちらですぅ」
「ありがとうございます。そういえば香水って全然持ってなかったですね。イルネスさんの好みを考えると薔薇とかですかね?」
香水のプレゼントはなんか大人っぽい感じで新鮮というか……ちょっとワクワクする感じがある。いままで全然香水は付けたことが無かったが、普段とかはともかくパーティとかで正装したりする時は香水とか付けていた方が上品さがあるかもしれない。
「たしかに~私は薔薇の花が好きですがぁ、香水となりますとぉ、薔薇は~香りが強いので好みが分かれてしまいますしぃ、あまり香水を付け慣れてないカイト様に贈るなら~香りは控えめのものがいいだろうと思いましてぇ、今回は柑橘系の香りを中心にさせていただきましたぁ。薔薇も少し使っていますがぁ」
「なるほど、柑橘系の爽やかな香りは好みですし、よさそうですね」
「はいぃ。トップノートには柑橘系の香料を~ミドルノートにはフローラルフルーティ系を~ラストノートにはウッディ系を配合しましたぁ。ミドルノートに薔薇を少し使っていますぅ」
「……俺、香水には全然詳しくないのでよく分からないんですが、イルネスさんが作ってくれたってことですよね? それなら、間違いないでしょうし使うのが楽しみですが……本当に素人なので、出来ればその時は付け方とかを教えていただけると……」
「はいぃ。お任せくださいぃ」
た、確かアレだ。なんかの漫画で読んだことがあるが、香水には付けてすぐ香るトップノートと、少し時間が経過して香るミドルノート、1時間ぐらい経過してから香るラストノートの組み合わせが重要でどの部分の香りを重視しているかとかそういうのがあった気がする。
いや、本当にまったく詳しくないので、その辺りは実際に使う時にイルネスさんに教えてもらおう。
「そういえば~恋人はぁ、少し特別なことをするのでしたかねぇ?」
「そういう決まりがあるわけでは無いですが、なんかそんな感じの流れになりつつはありますよね」
「ですが~この場ですぐにできることは少ないですねぇ」
「それは確かに、なので別に無理はしなくても――ッ!?」
俺の言葉の途中でイルネスさんはスッと意識の隙間を突くような動きで俺に近づき、ちゅっと軽くリップ音がするように俺にキスをしてすぐに離れた。
完全に不意打ち気味のキスではあったが、イルネスさんの唇の柔らかな感触とフワッと香ってきた薔薇の香水の香りに頭が蕩けるような感覚だった。
「私は~薔薇の香水を付けているのですがぁ、いかがでしたかぁ?」
「え? あっ、えっと、凄くいい香りで……ドキドキしました」
「くひひ、それなら~よかったですぅ。改めて~誕生日おめでとうございますぅ」
そういって楽しげに笑うイルネスさんは、少し前より感情が豊かというか、楽しいとか幸せという感情を表に出してくれている感じで、その気持ちを向けてもらえていることが凄く光栄で……嬉しかった。
シリアス先輩「ぐあぁぁぁ!? というか、イチャラブシーンだと通常時に戻るのかよ!? 最悪の性能にしやがって……あのイカれ神、絶対に許さんぞ……」
???「頼む相手を完全に間違えてるというか、せめてシャロ……もとい天然神にお願いしたらよかったんでは?」
シリアス先輩「天然神は滅多に来ないんだよ!? マキナの方は週5ぐらいの頻度で来てイカれた話に付き合わされてるから、交渉しやすいというか頼みやすいというか……頼めばだいたいなんでも出してくれるから便利だし……」
???「普通に仲良しじゃなぇっすか……」




