表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2254/2426

続・宮間快人生誕記念パーティ③

追記:ちょっとどうしても今日は執筆の時間が取れないので明日は更新はお休みです。次は5/23です。



 香織さんと茜さんの隠し芸が終わり、続けて採点となる。トップバッターのオリビアさんが満点を叩き出したこともあり、ここでの香織さんと茜さんの得点は今後の指標になりそうである。


『さて、それでは審査に移ります。各審査員点数の札を……おいこらマキナ、そんなデカい100点札出してもカウントしないですからね。邪魔なんでしまってください』


 いつの間にか企業広告看板みたいなサイズの札を掲げていたマキナさんが、アリスに言われて渋々しまったタイミングで俺を含めた審査員全員の点数が上がる。


『4点、5点、5点、4点、4点……合計22点! おっ、いいですね。最初が満点だったのであれですが、いい感じに高得点でここから先の指標になりそうですね』

『クロりんとリリたんが5点で、他が4点だね。ここはやっぱ5点出したふたりのコメントを聞いてみたいところだね』

『そうですね。ではまず、リリアさんからコメントをどうぞ~』


 香織さんと茜さんの得点は22点、アリスの言う通り高得点だが、続く人たちが追い抜けない点数ではないという意味では、かなりいい点数と言えた。


『私は単純に魔法の練度に感心させられましたね。異世界人であり、20代という若さでありながらアレほどに高い魔力操作技術は本当に素晴らしいと思います。それにアレほど圧縮した水を高出力かつ持続的に放出するというのは、カオリさんの魔力量から考えると本来ならあり得ませんので、異世界人の特色とも言われる特殊な魔法適正によるものでしょう。その点も含めて驚かされました』

『なるほど、ありがとうございます。では、続けてクロさん』


 そういえば葵ちゃんも本来の魔力量や練度ではありえないレベルの土属性魔法を使うことが出来るし、陽菜ちゃんも通常よりかなり高い倍率で身体強化できるので、トリニィアの人たちから見ると常識とは違う魔法適正という意味でかなり意外性はあるのだろう。


 そしてリリアさんに続いて、クロが拡声魔法具を手に持ってコメントを告げる。


『リリアちゃんの意見に近いけど、カオリちゃんって相当強いよね。移住した異世界人だとそれこそトップクラスなんじゃないかな? 36期前のカタギリダイスケくんとか88期前のテンドウインミヤビちゃんとかも武闘派だったけど、その辺りと比較しても同じ年齢帯での魔法技術は飛び抜けてると思うね。まぁ、ミヤビちゃんは特殊だから、あくまで同年齢の時の比較だけどね。才能とかの面にひな鳥感が強かったから、ボクとしては高得点だね』

『うん? 育成するおつもりで?』

『いや、カオリちゃんが冒険者とかならそうしたかもしれないけど、本業は料理人でそっちの方はもうちゃんと成熟してるから、その必要はなさそうだね。だからこれは単純に隠し芸に対する評価だよ。あああと、アカネちゃんのコメントも軽快で面白かったね』


 明るくコメントしていたクロだが、ちょっと気になる発言もあった。過去の移住者に関して触れていたのだが、テンドウインミヤビさんという方について、若干言葉を選ぶような様子があり、その辺りが少し気になった。

 とはいえ具体的に何がどう気になるのかと聞かれると説明もできないので、あまり深く考える必要は無いか……機会があれば聞いてみよう。


『さて、4点の人の中からもひとりコメントを……じゃ、カイトさん、よろしくお願いします』


 おっと、ここでこちらにコメントを求めてきた。4点を出した時点でもしかしたらコメントを求められるかもって思ってたので、その辺りは問題ない。アインさんから拡声魔法具を受け取って、口を開く。


『本当に凄い隠し芸でしたし楽しませてもらいました。ただ、俺は香織さんが水魔法が得意ってのを知ってたのと、前に茜さんから香織さんが凄く強くて、圧縮した水流で物を切断したりできるって話も聞いていたので、その辺の前情報があった分を考慮すると、意外性という面では少し弱く感じたので4点にしました』

『なるほど、ありがとうございます。前のカラオケ大会の時もそうでしたけど、こういう時にカイトさんって意外とちゃんと納得できるコメントしてくれますよね』

『……意外ってなんだ、意外って……』

『あはは、まぁ、その辺は気にせず……さて、香織さんと茜さんにもコメントをいただきましょうか、隠し芸を披露してみてどうでした?』


 審査員のコメントを聞いた後で、アリスは香織さんと茜さんにコメントを求めた。


『き、緊張しました。力加減間違えて外しちゃうと、茜さんの魔法障壁は簡単に貫通しちゃうと思うので……』

『え? うそっ、魔法障壁あるからいざ逸れても大丈夫やと安心てたのに、終わってからそんなこと言うんか、こわっ……』

『いや、だって、茜さんの魔法障壁って……その……えっと……少し出力低めというか……スライムよりは固いかなってぐらいだし……ね?』

『ヘボいならヘボいってストレートに言えや、そこで気い使われるとなんとも言えん気分になるやろ……おっと、ワイワイ騒がしゅうして申し訳ない。こんな感じで勢い任せな部分もありましたが、なんだかんだで楽しくやれました。ええ機会をもろうて、ありがとうございました』

『あ、ありがとうございます』

『ああ、三雲商会もよろしく! 記憶の片隅にでも置いといてください!』

『ちゃ、ちゃっかりしてるなぁ……』


 軽快で楽しいコメントの後で、最後にしっかり商会の宣伝も入れて拍手と共に香織さんと茜さんの隠し芸披露は終了した。




・片桐大輔

36期前の勇者役の異世界人であり、根は優しいヤンキーみたいな人物だった。勇者役に関しては「柄じゃない」と辞退して代理を立ててもらったが、だからと言ってすべて投げっぱなしは筋が通らないということで巡礼の旅には同行して代理の勇者役をサポートした。

巡礼の旅の中で代理の勇者役だった貴族の令嬢と恋仲になり、勇者祭後は爵位を貰って結婚し、柄じゃないと言いつつもしっかり真面目に勉強して貴族として立派に務めて天寿を全うした。



・天童院雅

88期前の勇者役であり、華族の末席に名を連ねる名家の令嬢。薙刀の達人でもあり、戦闘力はかなり高かった。勇者役としての巡礼の旅の途中、ハイドラ王国のとある祭りでメギドの代理として来ていたイプシロンと意気投合し友人関係となり、勇者祭後は移住を希望しつつも爵位は断り、イプシロンの元に身を寄せる形になった。

イプシロンが薙刀を武器にしていたり、和服を着ているのは雅の影響である。


イプシロンの元で楽しく過ごし老衰によって他界した。イプシロンは、その時は冷静に割り切って見送ったつもりではあったが、失って初めて雅の存在の大きさを実感し、雅のいない日々に耐えれなくなったため、特殊な魔法を用いて雅を蘇生、氷魔……雪女のような魔族へと転生させた。

本来であれば異世界人の魂は死後元の……マキナの世界に戻るようなシステムになっていたのだが、雅の魂が無意識にイプシロンの傍に付いて離れなかったため魂が残留したままであり、蘇生が可能だった。


ただし、ノインのように生前に種族を変えるならともかく、死者を別の存在に転生させるというのは神の領域に踏み込む禁忌の魔法であり、伯爵級最上位のイプシロンであっても簡単にそれを成立させることはできず『己の力の一割』を対価にすることで無理やり禁術を成功させ、雅を転生させることに成功した。


それによりかつてはアグニと互角か上回るほどだった力は、アグニより一歩劣るぐらいに落ちており、転生した雅は気にしていたが、イプシロンは「得難い友の対価としては安すぎる」「失ったならまた鍛えればいいだけ」とまったく気にしていなかった。


現在の雅はイプシロンの家に同居しており家事などを行っている。強引に成立させた禁術の影響により異世界での記憶の大半を消失しているが、トリニィアに来てからのことは覚えているため本人はまったく気にしていない。

ただその影響で自分が異世界人であるという感覚はほぼ無く「移住した異世界人」というよりは「元の世界の記憶を失って転生した存在」ともいえる特殊な例であり、アリスが快人に現存している移住者に関して説明した際には省かれた。


余談ではあるが、雅はイプシロンに対して恋愛感情を抱いており、将来はイプシロンの妻になる気満々である。ただし、オズマとイプシロンの関係が進展するまでは、そちらを全力で応援すると決めていることもあって、さっさとくっついてほしいと思いつつイプシロンの恋愛相談などにアドバイスをしている。

尚、彼女がアドバイスするようになって、イプシロンのアプローチの湿度が高くなったとはオズマの談である。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
うんやっぱ子の依怙贔屓100%の神審査員にしなくて良かったw
更新お疲れ様です!連続で読みました!香織さんと茜さんが次の隠し芸の番でしたがこちらは茜さんが引っ張る様子と同時に茜さんらしいな納得してしまうw 香織さんが水の魔法でかつ高等技術でもあるので今回も高得点…
おっと、カイトくんやっぱりちゃんと納得いく説明付きの点数だった。カラオケ大会もそうだったしこれには納得。 そして後書きで語られる驚愕の真実。そうか・・・ノインさんだけじゃなかったのかという思いと、や…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ