宮間快人生誕記念パーティ㊿
隠し芸大会のトップバッターであるオリビアさんは見事に満点だった。それもよく分かるというか、本当に凄い彫刻なのだ。
なんというかただ上手いだけじゃなくて魂が籠っているというか、見ているとなんか幸せな気分になってくる。俺とシロさんが手を繋いでいるという構図はおそらく、ハイドラ王国の建国記念祭の時の様子を参考にしたんだと思う。
シロさんの服装がいつもの服だったりと差異はあるが、俺とシロさんの彫刻からは仲の良さのようなものが伝わってくるというか、見ているとシロさんとのデートが思い起こされるような感じだった。
心に響く作品とでもいうべきだろうか、だからこそシロさんも大絶賛したんだろう。
『さて、続けて審査員にもコメントを貰いましょうか……今回はトップバッターということもあって、時間稼ぎも兼ねて全員に効きますが、二人目以降はその時々によって適当にコメントを求めますので……じゃあ、まずはクロノアさん、いかがでしたか?』
『実に素晴らしい作品だと感じた。芸術にそこまで明るくない我でも理解できるほどであり、特に神聖さすら感じるシャローヴァナル様の彫刻には感動すら覚えた』
『お褒めに預かり光栄です』
クロノアさんもオリビアさんの彫刻を絶賛しており、それに対してオリビアさんは静かに一礼してお礼の言葉を返していた。
『なるほど、それでは次にクロさん、コメントをどうぞ』
『単純な上手さって話だと、同じぐらいの作品を作れる人は居ると思うんだ。でも、ただ上手いだけじゃなくてオリビアちゃんが込めた想いが宿っているっていうか、彫刻そのものが一種の風格や雰囲気を持っているかのような凄みは、並大抵では出せないと思う。物凄く練習したと思うし、本当に凄かったよ』
『称賛に感謝を』
次にコメントを求められたクロも大絶賛であり、本当に感心した様子だった。そしてオリビアさんは特に表情等も変わらず、いつも通りの感じで会釈をしてお礼の言葉を口にしていた。
『では、続けてリリアさん』
『私もそれなりの数の美術品を目にしてきましたが、ここまでの品というのは見たことがありません。これはまさにひとつの分野において極みと言える領域に辿り着いた方のみが作り出せる芸術だと、そう感じました』
『ありがとうございます』
リリアさんもクロノアさんやクロと同じく大絶賛であったが、例によってオリビアさんは特に気にした様子も無く淡々とお礼の言葉を返していた。
教主モードのオリビアさんというべきか、称賛に喜んだりという感じはなく、ただただ冷静に受け止めてお礼を返すという形である。
『それでは、カナーリスさんもどうぞ』
『たはぁ~そうですね。クロムエイナさんも言ってましたが、この彫刻は技術だけでどうにかなるものでは無いと感じましたね。オリビアさんが心に抱く理想というか、表現したい姿というのを極限まで追い求めたからこそ作り上げられたものであり、まさに魂が宿っている感じですね。いやはや、初っ端から素晴らしいものを見させていただきました』
『高い評価に感謝します』
カナーリスさんも例によって無表情ながら絶賛のコメントであり、それに対してオリビアさんも表情を変えずに粛々と礼を行う。
そしてアリスが最初は審査員全員にコメントをと言っていたので、当然ながら次は俺の番になるわけで……そう思っていると、アインさんがスッと拡声魔法具を差し出してきてくれたので、それを受け取る。
『それでは最後にカイトさん、どうでしたか?』
『ああ、えっと、本当に凄いと思いました。作ってる過程もそうですが、完成した作品も見ていて幸せになれるような感じで、オリビアさんにこんな特技があったんだっていう意外性も含めて短い時間に驚きや感動がありました。オリビアさん、凄い隠し芸を見せてくださってありがとうございます』
『ミヤマカイト様にそれほど高く評価していただけるとは、この身に余るほどに光栄と幸福を感じています。もちろん実物のミヤマカイト様やシャローヴァナル様と比較すれば数段以上に劣ってはいますが、それでも彫刻という分野で可能な限り尊きおふた方の姿を再現したつもりです。それがミヤマカイト様の一時の楽しみになったのであれば、心より幸せです。むしろ私の方こそ、こういった機会を与えてくださったことに心より感謝いたします』
『……ボクらのコメント聞いてる時と、反応が全然違う』
俺のコメントを聞いたオリビアさんは、目を輝かせて分かりやすいほどに表情を明るくして言葉を返してきた。その様子にクロが苦笑しつつ、以前に香織さんの店で言っていたのと同じようなことを言っていたのが印象的だった。
~分かりやすい今回のまとめ~
クロノア、クロ、リリア、カナーリスのコメント→オリビア「( ╹‐╹ )→(* . .)⁾⁾ペコリ」
快人のコメント→オリビア「✧*。(ˊᗜˋ*)✧*。→゜・*:.。..。.:*・'(*゜▽゜*)'・*:.。. .。.:*・。」




