宮間快人生誕記念パーティ㊹
ライブの合間にプレゼントを受け取っていると、そのタイミングでゲーム大会の方の第三回の優勝者が決まったらしく、エキシビジョンマッチが開催されることとなった。
第三回の優勝者はウルであり、第一回でも今日初めてプレイしたとは思えない上手さだったが、第三回ではさらに上達して、他の上手くなった参加者や強敵であるアメルさんを打ち破って見事優勝したらしい。
「えへへ、カイト様！ よろしくお願いします！」
「うん、よろしくね。でも、ウルは凄いなぁ、今日初めてプレイしたのにアメルさんとか上手い人も居る中で優勝しちゃうんだから」
「カイト様と一緒にプレイがしたかったので頑張って練習しました！」
「そっか、それは嬉しいけど……でも言ってくれればいつでも一緒に遊ぶよ。アイシスさんも上手かったし、今度アイシスさんや他の死王配下の人たちとも一緒に遊んでも楽しいかもね」
「それ、凄い楽しそうっすね！ やってみたいです！」
嬉しそうに尻尾を振りながら語るウルは可愛らしく、見ていて凄く和む。アイシスさんの居城にゲーム機を持っていけば一緒にプレイできるわけだし、ノリのいい人が多いのでなんだかんだで楽しく遊べそうな気がする。
今回の誕生日パーティで一通りプレイ経験があるというのも大きいので、ウルやアイシスさんはもちろん他の人とも今後ゲームを一緒にするっていう遊びの選択肢もありかもしれない。
まぁ、それはそれとして可愛らしいとはいってもウルの実力はガチであり、アメルさんを正面から倒していることを考えると普通に俺よりは上手いだろう。
カナーリスさんが設定したステータス調整は3倍だったので、クロには及ばずとも相当の強敵だ。
実際一進一退の攻防という感じでほぼ互角の戦いになっており、最終的にはウルに上手く必殺技を決められて俺が負けてしまったが、元々勝ち負けはあんまり関係ないエキシビジョンマッチであり、ウルも俺と一緒にプレイできて満足そうに笑っていた。
『いい勝負でしたね。さて、皆さんの注目が集まっているタイミングでちょっとお時間をいただきます』
『うん？ 三つ目の余興かな？』
『いえ、今回は余興ではなくお土産の品に関して、軽く説明と紹介をしておこうと思いましてね。え～今回はカイトさんの誕生日パーティに参加してくださった方全員に、記念品を用意していますのでお帰りの際に受け取ってもらう形となります。今回はその中身を少し紹介しておきましょう』
……お土産とかあるのか、ま、まぁ、確かに凄い規模のパーティだしそういうのがあっても不思議ではないか……けど、誰が用意したんだろうか？
『まず最初は、この世界の神こと創造神シャローヴァナル様からの提供で、以前カイトさんの家の新築記念の際に配った異様に美味しいワイン《K》をおひとり様一本用意しています』
『さすがシャローヴァナル様、前回のパーティに参加してない人も気になるだろうし、参加した人でももったいなくてまだ飲めてないって人も居るだろうから、間違いなく喜ばれるね』
一つ目はシロさん作のワインらしい……アレか、俺も飲ませてもらったけど水銀みたいな銀色のワインなんだけど、滅茶苦茶美味しいやつだ。なんか、一部のワイン好きの人達には幻のワインとして噂されているとかとも聞いたので、今回それを貰えて嬉しい人は多いだろう。
『続きまして、冥王ことクロムエイナさん……クロさん提供の品で、インスタントベビーカステラ三種セットをご用意しています』
『あ～なんか、凄い人気で全然買えないらしいね』
『ええ、クロさんの商会が発売したインスタントシリーズは、現在第三段まで発売されてますが、どれも人気過ぎてどこでも品薄状態ですね。今回はその最新シリーズから、ベビーカステラを三種のフレーバーで用意してくれたそうです』
なんともクロらしい品ではあるが、事実としてインスタントシリーズは物凄い人気で売り切れ続出らしい。雑誌とかでも特集記事を何度も見たし、食べたことが無いという人も多いだろう。
あとこっちは品薄状態ではあるが、一般人向けの品なので高級すぎるワインを恐れ多く感じている人たちにとっては、このぐらいのプレゼントがいいのかもしれない。
『続けて人界三国より共同で記念硬貨をご用意しています。裏にカイトさんのネックレスが描かれた金貨で、実際の金貨としても使用してもらえます』
『なんか、人界とかにはそういう記念硬貨作る文化があるんだよね？ 勇者祭では毎回記念硬貨が作られてるんだっけ？』
『ええ、まぁ、そこそこ簡単に作れますからね。何回目の勇者祭かって数字の入った記念硬貨がありますし、建国50年とかキリのいい時には作られたりするので、記念硬貨自体は割と多いですね。まぁ、銅貨が多いですが……』
記念硬貨！？ と、とんでもねぇことしてる。なんで俺の誕生日にちなんだ記念硬貨が作られてるんだ！？ 恐ろしいというか、胃が痛いので本当に勘弁してほしいが……幸いなのは、デザイン的に別に俺の顔とか名前が入っているわけでもなく、アクセサリーだけなので一般の人にはなんか魔法具か宝石にちなんだ記念硬貨だと思われるだろうから、恥ずかしさは軽減……いや、やっぱ大分恥ずかしいけど！？
シリアス先輩（睡眠中）「……私だけじゃなくて……なんか……快人も……胃にダメージ喰らってる……」
