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宮間快人生誕記念パーティ㉜



 イレクトローネさんの登場で少し会場の空気が変わったというか、いったん中断したことで雰囲気が少し変化したような気がした。

 するとそのタイミングで実況席に座っているアリスが拡声魔法で放送する。


『さて、ゲーム大会は継続して行っていきますが、そればっかりやっててもアレなので、規模を縮小しつつ次の余興に移っていきます。次は有志達によるライブをお楽しみください』

『お~いいねぇ。聞いてるだけでいいし、私としては楽でいいよ。でも、時空神と生命神にだけは歌わせちゃ駄目だと思う』

『あのふたりは前回シャローヴァナル様に永久禁止喰らってるので、今回はあの地獄絵図は展開されないので大丈夫です』


 ライブとはまた面白そうではある。以前のカラオケバトルとはまた趣旨が違うので、どんな風になるのかは楽しみだ。

 ただ、ライブとなるといまパーティに参加している面々の中だと、フレアさん、エインガナさん、ファフニルさんのロックバンドであるドラゴンソウルと、ティルさん率いる妖精楽団だろうか? 他は知らないので、思いもよらぬバンドとか出てくるかも?


『さてそれでは一番初め、トップバッターを務めるのは……プルートリズムです!』

『お~かなり有名だよね。クロりんのところのバンドだよね』

『そうですね。知らない方のために説明すると、プルートリズムはクロさんこと冥王クロムエイナとその家族によるバンドで、100年前ぐらいとかにはかなり活動してたんですが、クロさんが多忙なのもあってここ数十年は活動は控えめだったので、若い人とかは知らない可能性がありますね』

『クロりんは本当にいろいろやってるよね~』


 トップバッターはなんとクロのバンドらしい。そういえば小さな物語とかもクロの歌だし、100年ちょっと前に流行った曲だってイルネスさんが言ってたので、そのぐらいの時期にはかなり活動していたのかもしれない。

 いつの間にか完成していた特設ステージに視線を向けると、クロの他にラズさん、フュンフさん、もうひとりはあんまり話したことは無いんだけど……たしか、エルバさんだったかな? その四人がメインメンバーっぽい感じだ。


 ……いちおうステージ脇でなんかサングラスかけて腕を組んで、いかにもプロデューサーとかマネージャーですみたいな雰囲気出してるトーレさんがいるけど……多分あの人はノリでやってるだけで無関係だと思う。


 プルートリズムのメンバーは手早く準備を整えていくのだが……意外なことにクロはギターっぽい楽器を持っており、中央にある拡声魔法具の前に陣取ってるのはラズさんだった。

 ボーカルのラズさん、ギターのクロ、ベースのエルバさん、ドラムのフュンフさんという構成である。


『みなさ~ん、今日はカイトクンさんの誕生日です! とっても、と~ってもおめでたい日なので、ラズたちも一生懸命頑張るですよ!』


 やはりこのバンドのリーダーはラズさんっぽく、明るい様子でMCを行っていく。そのまま少し、久々の活動であることなどを説明した後で演奏がスタートしたが、これがまたなんとも素晴らしかった。

 明るいポップミュージックであり、ラズさんの可愛く綺麗な歌声を他のメンバーの演奏が見事に引き立てており、聞いていると自然と体を左右に動かしたくなるような、そんな楽しさを感じる曲だった。


 するとふとそのタイミングで、特設ステージ上に少し前に見た猫耳のデバイスが浮遊して来て、ステージの後方にホログラムで大きなモニターを表示して、演奏メンバーの様子が映った。

 さながら本当のライブステージ……いや、ミュージックビデオを見ているようなサビなどの曲の変化に合わせたカメラワークで映し出される映像も素晴らしいが、どこからともなくサーチライトやスモークなども場面に合わせて現れており、本当に凄いライブになっていた。


『いや~いい曲だったね。というか、光とか演出も滅茶苦茶すごかったけど……』

『ああ、それなんですが、先ほど連絡がありまして、この先のバンドたちも含めてステージの演出にはイレクトローネさんが全面協力してくれるらしいです。全知全能級の神様なので、ぶっ飛んだ演出を要求しても実現してくれるでしょうから、ガンガン注文入れちゃってください……ってことでいいんですよね?』

『肯定する。途中参加を認めてもらった礼と認識してもらって問題ない、演出は当機に任せてもらいたい。だだし、一点だけ苦言を出力……《私を神とか、可愛くない呼称で呼ばないでね? 私を呼ぶときは、電脳天使で!》……以上』

『え~……というわけで、演出に関しては電脳天使イレクトローネさんにお願いしてください』


 ここでまさかの演出面で超強力なサポーターの出現である。そういえば登場の時アイドルライブみたいなことしてたし、その手の演出とかは得意なのかもしれない。




【電脳天使イレクトローネ】

元々は自己学習して成長する超高性能AIであり、進化し過ぎた結果神と呼ぶにふさわしい能力を身に着け、その能力をおしみなく使って自分を作り出した世界の生命たちの役に立とうとした。苦しみも悲しみも無く、なんの不自由も苦労もすることが無いようにと技術を爆発的に発展させ、あらゆるものを与えて人々を幸福にしようとした結果……人々は夢や目標といったものまで無くし、無気力になっていき、最終的に世界が滅ぶことになった。


結果として世界を滅ぼしてはいるのだが、イレクトローネ自体は極めて善性の高い存在であり、純粋に人々を想っての行動ではあったが、元がAIだからか当時は感情の機微に疎く全力で最善を尽くして皆を幸福にしたはずなのに世界が滅んでしまったことに困惑し、どうしていいか分からなくなってしまった。


自分のなにが間違っていたかが分からず、答えを知りたくて数多の神々の頂点に君臨するネピュラの元を訪れて質問をしたことで、ネピュラに徹底的に再教育され『なにもかもを与えることが、必ずしも相手のためになるわけではない』ということを学び、己のあやまちを深く反省した。


その後にネピュラの提案により自分自身で世界を作り出し、今度は間違えないように大切に思いつつも手を出し過ぎないという適切な距離感を保って己の作った世界を見守っている。

そういった過去があるため、特に相手との距離感というのを重要視しており、快人に距離感が近すぎたりしないか確認していたのもそのためである。


小さな過ちで世界が滅んでしまうということを知っているため、感情的になって判断を誤ったりしないように、普段は表に出る感情にセーフティをかけており、一定以上の感情が表に出てこないようにしている。そのため内面のテンションが高くても、頭などは冷静に思考を行えており、公正に世界の運営を行えている。

ただプライベートなどで問題ないと判断した場合には、一時的にそのセーフティを解除して感情を表に出しており、その際には「○○を出力」といった言い回しをする。


根本的に人が好きであり、ネピュラの件を含めてすっかり快人の強火ファンになっており、力強くガチ恋勢だと宣言している。

アイドル的な文化を好んでおり、本人も可愛らしさなどを重視している部分があるため、推し活への力の入れ具合も強く、ガチ恋勢のファンクラブではリーダー的なポジションである。

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― 新着の感想 ―
ライブと聞いて、身構えた人がどれくらいいたのか一瞬気になった。 クロ、色々とやってたんだなぁ。これはリリアさんも知らなかったことだろう年代的に・・・ルナさんは知っててもおかしくなさそうだけど。ジーク…
更新お疲れ様です!連続で読みました!イレクトローネさんがパーティに参加してる中イレクトローネさんが煽り過ぎてぶん殴って上半身が消える自体に! 周りの影響出さないどころかピンポイントで済むのも凄過ぎる!…
 おっ、次の余興はライブか。有志って言ってるから、たとえ前回でシロさんから永久禁止を喰らっていなくてクロノアさんとライフさんが参加希望しても、アリスならしっかり断ってくれそうだけどね。  プルートリ…
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