宮間快人生誕記念パーティ㉗
さて改めてプレゼントを受け取るガラポン抽選機を回したのだが……。
『EX5』
ここでEX5……というか、実はEXの引きがやたらよくて、これで5つのEXは全部引き切ったことになる。参加者とかの数を考えると、早々に引き切るのは偏ったものだとは思う。
「おっと、これで最後のEXですね。では、EX5はこちらです」
「ありがとうございます……これは、えっと、スピーカーですかね?」
カナーリスさんが差し出してくれたのは、バレーボールぐらいの大きさの球体状のスピーカーっぽいものであり、球体の上にはネコミミっぽい飾りが付いていて少し可愛らしさがある。
なんというか、機械感全開の品ではあるが、その辺りはシロさんとかにも事前に話が通ってるだろうし大丈夫だとは思う。
「ええ、こちらは様々な音楽を高音質で再生可能なスピーカーです。触れながら頭に思い浮かべるだけで再生可能ですし、こんな感じの曲っておぼろげなリクエストとかを思い浮かべてもいい曲をチョイスしてくれるらしいですよ」
「へぇ、それはいいですね。部屋の中で音楽を聴いたりできそうですし、デザインもお洒落で可愛らしさもあっていい感じですね」
つまりこれがあれば地球の曲とかも聞き放題ってことなわけだし、懐かしい曲とかを聞きながら紅茶を飲んだりとかもよさそうだ。
「けど、本当にいろいろな品を貰って、ありがたいと同時に少し申し訳なくも感じますね。それこそ、出来れば直接会ってお礼を言ったりしたいものですね」
「……おうふっ!?」
「カナーリスさん?」
EXの誕生日プレゼントはどれも俺の事を考えた心の籠ったプレゼントが多く、わざわざ別の世界からプレゼントを贈ってきてくれたことに感謝しつつ、叶うのなら直接お礼を言いたいものだとそう告げた直後、カナーリスさんが横から殴られたかのように顔を動かした。
表情は相変わらず変わらないのだが、声の様子から突発的ななにかが起こったような?
「あ~……えっと、いま頭の中が凄いことになってまして……例えるなら、いきなりメールボックスがパンクするような量のメールが叩き込まれてきたというか、プレゼント贈ってない連中に関しては黙っておいて欲しいですね。たはぁ~ともあれ、快人様のお気持ちは分かりました……ちょっとお待ちください」
カナーリスさんはそう言ってチラリとアリスとフェイトさんがいる実況席の方を向き、アリスもなにやら軽く頷く。
『え~K案件発生のため実況を一時中断します。これより緊急会議を行うので、シャローヴァナル様、マキナ、クロさん、カナーリスさん……あとリリアさんは実況席付近に来てください』
「ッ!?」
突然かかる招集、そしてそうそうたる面々の中で当たり前のように名前を呼ばれたリリアさんが「え? 私!?」みたいな顔をしている。
そんなリリアさんに対し、アリスは心底気の毒だというような表情で告げた。
『……哀れとは思いますが、諦めてください。今後もこの手の事態が発生した時は、貴女が人族代表です』
「……」
リリアさんがなんとも言えない絶望と諦めの混じった表情を浮かべた後で、アリスとフェイトさんがいる実況席に向かい、先ほど呼ばれたシロさんやクロもその周囲に集まってなにかを話し合い始めた。
なんだろう、本当になんとなく告げた言葉だったのだが……多分俺の発言によって大事になっているのは間違いないので、俺もなんともいたたまれない気持ちで待つこと5分……話し合いは終わった様で、俺の前にカナーリスさんが戻ってきた。
「……えっと、では、会議の結果ひとりだけ快人様から直接お礼の言葉を貰うことを許可することになりました。つきましてはこちらに、快人様が最初にプレゼントを贈る5人の番号が入ったガラポンを用意しましたので、こちらを回してください」
「わ、分かりました。なんか、俺が変なことを言ったせいで申し訳ない」
「いえいえ、快人様のお気持ちが最優先ですし、そういった要望を叶えるために自分たちがいるわけです。とはいえ、全員呼ぶといろいろ面倒ですし、本来の順番とかでの文句も出る可能性があるのでひとりということで……たはぁ~まぁ、一種の特例ですね。シャローヴァナルの許可も得ていますので、グイッと回しちゃってください」
「わ、分かりました」
カナーリスさんに促されて、新しく渡されたガラポンを回す。するとひとつの玉が出てきた。最初にプレゼントを贈る人を選んだ際と同じく、俺には玉に書かれている数字は見えないのだが……今回は俺にもわかるようにしてくれたのか、空中に文字が浮かび上がった。
『2』
シリアス先輩「電脳天使襲来確定の瞬間である」




