宮間快人生誕記念パーティ⑥
四人目に選ばれたのはリリアさんであり、なんというか俺だけではなく多くの人が憐れむような表情を浮かべている気がした。
『神三連発の後の誰もが避けたいであろう順番を見事に射貫くのは、やはりリリアさんです』
『リリたんって、準備段階でもシャローヴァナル様や地球神様に意見求められたりで、結構悲惨なことになってたよね~』
『いろんな人からの評価は高いんですよ。それこそ人間って括りで言えば、この中でカイトさんに次ぐぐらいあちこちから高く評価されてますし、凄いことではあるんですけど……いやはや、なんとも……』
『リリたん可哀そ……』
『そう思うなら、無敵の運命の権能で助けてあげてくださいよ』
『……いや、ここトリニィアじゃないからそもそも圏外だし、使ったとこでシャローヴァナル様や地球神様には効果ないし……仮にその辺り防いだとしても、リリたんはなんか別世界からとかから厄介事喰らいそうな気がするね』
多くの日との共通認識として、こういう時に貧乏くじを引くリリアさん……シロさん、マキナさん、異世界の世界創造主のあとの四番目ということで、ハイライトが消えたような目で壇上に上がってきた。
「……なんで、この順番なんですか……いや、別にカイトさんが狙ってそうしたわけじゃないですが、お腹痛い……あと、異世界の神々のファンクラブとか、聞きたくない言葉も聞こえてきてもっとお腹痛いです」
「な、なんというか、いつも本当にすみません」
いやもちろん狙ってやってたりするわけではないのだが、この手の内容に関しては本当に申し訳ないと思う。異世界の神によるファンクラブとかも、もしかしたらいつかこの世界を訪ねてきて、リリアさんにも挨拶をという流れになるのが想像できるというか……リリアさんも同じ想像をしたからこそ、お腹を痛めているのだろうが……。
リリアさんは俺のすぐ前まで来ると、一度深呼吸をしてから表情を優し気なものに変えた。
「……まぁ、せっかくのお祝いの席で文句を言っても仕方ないですね。というか、今回に限って言えば胃が痛いのはカイトさんも一緒でしょうし……」
「いや本当に、前回のパーティの後に次がもっと凄くなる可能性を考えて行動してなかったことを後悔しました」
「お互い苦労しますね……さて、改めて、誕生日おめでとうございます、カイトさん」
「ありがとうございます」
今回の誕生日パーティでは俺も同じく胃の痛い思いをしていることもあって、リリアさんと互いに苦笑し合った。そして改めてリリアさんが祝福の言葉と共に綺麗に包装された包みを差し出してくれたので、それを受け取る。
「なにがいいかは迷ったのですが、高価な品より実用的な物の方が喜ばれるかと思いまして、普段私が使いやすいと感じたペンをプレゼントとして用意しました。カイトさんは日記を書いたり、手紙を書いたりと書き物の機会もあるので、その際にでも使ってもらえたらと……」
「ありがとうございます、嬉しいです。前のように毎日じゃないといっても、たびたび日記とかも書いてますし、ペンを使う機会は多いので、ありがたく使わせてもらいますね」
リリアさんが普段使っている小物は、かなりセンスの良いものが多い。高級志向というわけではないが、公爵家当主が使うのにふさわしくかつ、実用的でスマートなデザインのものを好んで使っている。
執務中に訪ねることが何度かあったが、机の上に置かれている品はどれもセンスがいいと思っていたので、このプレゼントもとても嬉しい。
『さすがリリアさんと言うべきか、カイトさんが畏縮したりせずに純粋に喜んでくれるところを見極めたいいプレゼントですね』
『リリたんって、なんだかんだでいろいろ巻き込まれつつもいい感じに乗り切るよね~。まぁ、だからこそ評価上って次も巻き込まれるんだけど……』
『ですね。まぁ、それはそれとして、他の皆さんも歓談に移るタイミングとかに迷ってそうですし、ここ辺りで余興に入りますかね。カイトさんは、余興見たりしつつ任意のタイミングでガラポン回してください。出た人はアインさんが呼びに行ってプレゼント渡す感じで……』
確かにいまは皆がプレゼントに集中しているといっていい状態であり、歓談しながらでもOKと言われていても、そのタイミングを図り切れてない状態といえた。
なのでここで余興を挟んで、意識をこちらだけでなく余興の方に向けるのはいいと思う。けど、余興ってなにするんだろう?
『さて、前回の誕生日パーティではカラオケ大会をしましたが、今回はこちらです……題して《異世界の遊戯に触れてみよう! テレビゲーム大会!!》です!』
……待って、なにそれ楽しそう。それむしろ、俺も参加したいんだけど……。
シリアス先輩「ゲーム大会……ああいやでも、実力で反応の誤差的なハンデ付くから、比較的対等に戦えるのか……」




