宮間快人生誕記念パーティ①
座りたくはないという気持ちはあるものの、座らなければ始まらないので諦めて玉座のような椅子に座る。前回の時もシチュエーション的には似た感じだったが、今回は本当に椅子がだいぶ豪華である。
というか、座り心地凄まじいなこの椅子……フワフワなのにしっかりと座れるというか、絶妙な座り心地である。
『さて、それでは主役も登場しましたし、いよいよカイトさんの誕生日パーティの開始と行きましょう。司会進行は前回の誕生日パーティと同じく、私とフェイトさんで務めます』
『シャルたん、これはね、よくないやつだよ。前回私たちが司会進行してさ、今回もやるって感じに定番化するとさ、次の機会も私たちがやることになるじゃん? 私としてはとっても面倒なんだけど、シャローヴァナル様もいらっしゃるからサボったりもできないんだけど……というか、前回は冥王もちょっとやってたのに、今度は最初っから私たちなんだ』
『まぁ、その辺は諦めてください。相性的に、私とフェイトさんのコンビが一番いい感じに進行できるんですよ。あとクロさんは、馬鹿な神どもが暴走した際にぶん殴るって役割があるので……』
『……むぅ、まぁ、他ならぬカイちゃんの誕生日なわけだし、仕方ないか……でもちょっとぐらいの役得はあっても許されるよね? カイちゃ~ん! 私だ! 誕生日おめでと~~!!』
『そうきましたか、まぁ、それぐらいのフライングは司会進行の報酬ってことでOKでしょう』
どうやら司会進行はアリスとフェイトさんが行うらしく、いつの間にか用意した実況席のようなものに座って拡声魔法具でコントのようなやり取りをしていた。
そして、俺へのお祝いの言葉は誕生日プレゼントを渡す時という少し前の言葉に対し、フェイトさんが司会進行の報酬として先んじてお祝いの言葉を告げつつ俺に手を振ってきたので、苦笑しつつ手を振り返しておいた。
『さて、まぁ、とはいっても基本はパーティっすからね。歓談しながら飲んだり食べたりってのがメインです。もちろん一部余興とかも用意してますけどね』
『でもさ、気になるのはカイちゃんへの誕生日プレゼントの渡し方だよね? 前回と比べて人数かなり増えてるしさ、どうするの?』
『その辺は、パーティを進行しながら順次って感じですね。フェイトさんの言う通り前回より数が多いので、プレゼントを渡す時間~とかってやって、列作って並ばせてると時間滅茶苦茶かかりますからね。他の人のプレゼントを見守らないといけないってわけじゃないですから、パーティしつつ順番に渡す感じですね』
『ふむふむ、順番はどうするの?』
フェイトさんが質問し、アリスが答えるという形式で大まかな流れを説明してくれるので分かりやすい。基本的には皆にはパーティを楽しんでもらいつつ、俺は順番にプレゼントを受け取っていく感じになるのかな? そして、余興とかのタイミングではそっちに集中すると……。
『順番に関しては、カイトさんに抽選してもらいましょう。ガラポン抽選機を横に用意するので、それ回して出た人から順番に渡す感じです。カイトさんが抽選するなら文句は無いでしょうし、カイトさんの運ならなんかいい感じの順番になるでしょう』
『なるほどね……でもさ、それだとカイちゃんはあの場所でやり取りする感じになるわけだし、料理食べたりとかできなくない?』
『その辺りは合間に食べたり飲んだりしてもらう感じですね。プレゼント受け取ったあと抽選するまでの間隔はカイトさんが決めれるわけですし、その辺りで……飲み物とか料理に関しては……まぁ、メイド代表ってことでアインさんに任せましょう。カイトさんが欲しいタイミングで提供してくれるでしょうしね』
確かに俺が抽選機を回して、選ばれた人がプレゼントを渡しに来るという形式なら、好きなタイミングで小休止とかを入れれるのでいいかもしれない。
そして飲み物や料理は、この場から動かなくてもいいようにアインさんが給仕してくれると……バーベキューの時も、アインさんの給仕のタイミングとかは完璧だったし、それなら確かに欲しいものを欲しいタイミングで貰えそうだが……アインさんは大丈夫なのだろうか?
そう考えたタイミングで、パチパチと拍手の音が聞こえ視線を動かすとアインさんが拍手をしていた。
「さすがは、世界最大規模の陣営のトップ、適材適所といえる役割分担、見事の一言です。ええ、カイト様への給仕は、万事メイドたる私にお任せください」
『あからさまに嬉しそうっすね。前の船上パーティじゃ手伝い禁止喰らってたのでフラストレーション溜まってたんすかね。まぁ、とりあえずよろしくお願いします』
どうやらまったく問題なさそうな感じどころか、むしろアインさんはとても嬉しそうだった。まぁ、俺としてもその方がありがたいが……。
『じゃあ、さっそく最初の乾杯の音頭をカイトさんに取ってもらうんですが……その前にとりあえず一回ガラポン回して、最初のプレゼント渡す人を決めときますかね。その人は、乾杯が終わったらカイトさんに渡しに行ってください』
「ああ、分かっ――うぉっ!? あ、これ回せばいいのか……」
俺がアリスの言葉に頷いた瞬間真横にテーブルとガラポン抽選機が現れたので、とりあえずそれを回してみる。すると、ガラポンからひとつの玉が出た直後、それが消えて空中に文字が浮かび上がった。
『シャローヴァナル』
ああ、こんな感じに名前が表示されるのか、そして最初はシロさん……うわっ、めっちゃドヤってる。クロやマキナさんの方に視線を向けた後で背後に金ぴかのドヤァって文字を出現させてる。
クロは呆れた感じの表情だが、マキナさんには効いてるらしく引きつった笑みを浮かべていた。
シリアス先輩「ああ、たぶんだけどこれでシロが一番最初に抽選されたのは、他の恋人と違って一番だと明らかに喜びそうだからかな? 実際ドヤってるし……」