表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2185/2397

ささやかなお祝い⑥



 アリスによって用意された間違いなく狙ったであろう棚……陽菜ちゃん向けのコーナーに関しては分かりやすい品が多い。可愛らしいデザインの小物や、実用性の高そうなペンなどといった感じでパッと見て用途が分かる。

 だが、俺向けのコーナーに関しては。見た目からはどういうものなのかが分からないものが多い、例えば手甲……いや、手甲の用途は分るが、それを誕生日プレゼントにしてなんの意味があるのか……冒険者稼業で使うにしても、葵ちゃんじゃなくて徒手空拳で戦う陽菜ちゃんの方ではないかとか、そんな感じだ。


「……アリス、この手甲はなんに使うんだ?」

「ああ、それは魔法具ですね。マジックボックスに近い効果ですが、その手甲内に4体まで事前に作成したゴーレムを格納しておけるんですよ。戦闘中に複雑な魔法陣とかを展開せずに、瞬時にゴーレムを呼び出せる優れものですね」

「おぉ……って、アレ? アリス様、それって普通のマジックボックスじゃできないんですか?」


 アリスの説明を聞いてみると、なるほど葵ちゃんのプレゼント用に用意されるだけあって有用な品だと思ったが、同時にいまの陽菜ちゃんの質問と同じ疑問を抱いた。

 マジックボックスは生物以外は保存しておけるので、ゴーレムなら収納できてもおかしくはない。だが、葵ちゃんがそうしているのを見たことが無いということは……それは不可能ということなのだろうか?


「ところがそう簡単な話では無いんですよ。ゴーレム魔法ってのは、基本的には召喚した時点で術者と魔力のパスが繋がっていまして、それが途切れると解除されてしまいます。術者の技量にもよりますが、あまり術者より遠くに離すとパスが切れるてしまいますね。まぁ、基本的にって言ったのはそれを解消する方法もあって、ゴーレムの体内に特殊な魔力コアを作り出す方法とかがありますが、かなり高度な魔法なのでまだアオイさんには無理ですね」

「つまり、マジックボックスに入れると、その魔力のパスが切れるってことか?」

「ええ、マジックボックスの中は一種の別空間みたいなものなので、中に入れた時点でパスは切れます。その時点ではマジックボックスの状態保存によって崩れたりはしませんが、マジックボックスから外に出したら即崩れますね。いちおうはマジックボックスから取り出して崩壊が始まるまでの間の短時間にパスを繋ぎ直せば大丈夫ですが、それをやろうと思ったらアイシスさん並みの魔力操作技術が必要……まぁ、基本無理と思ってください」


 例えば強力なゴーレムを呼び出そうとすればそれだけ魔法陣なども複雑になるため時間がかかる。葵ちゃんは後衛なので、基本陽菜ちゃんに守ってもらいながらゴーレムを作り出す感じだろうが、それでもある程度は妥協しているはずだ。

 対してこの手甲があれば、事前にたっぷり時間と魔力を込めて強力なゴーレムを作っておいて、戦闘時にはそれを呼び出して戦えると考えれば、革命的といえるかもしれない。

 アリスの口ぶりだと卓越した魔法技術があれば、この手甲が無くても同様のことが可能みたいだが、例に挙げてるのがアイシスさんとか世界トップレベルなので、難易度は半端ではないのだろう。


「……え? じゃあ、これ物凄くいいやつでは?」

「ですよね。葵先輩絶対欲しがると思います」

「というか、元々はカイトさんの家の地下の武器屋で売ろうかと思って作ったんですよ。ですが、いま散々言った通り、ゴーレムを保管して運用するのはかなり高度な魔法が必要なんすよ。その魔法具にも特殊な技術使いまくりで、素材も特別なものを惜しみなく使ってるので……正直、アオイさんやヒナさんが冒険者稼業で稼いで買うには、何年かかるか分からないレベルなんですよね」


 そう言われて値段を見てみると『白金貨100枚』と書かれており、日本円にして実に10億円というとんでもない価格の品である。

 この雑貨屋に並んでる品は、アリスが自力調達した素材を使ってることもあってかなり安めな値段設定にされているのだが、それを考慮してもこの金額ということは、仮にアリスの雑貨屋以外の場所で買うとしたらこの数倍の価格は間違いないだろう。


 ただ……うん。俺は全然余裕で買えるというか……ぶっちゃけニフティとかも凄く好調で、俺がお金使うペースより増える速度の方が圧倒的に早くて、お金の使い道に困ってたレベルだ。

 まぁ、アリスもその辺りの事情を分かった上でこれをこのコーナーに入れておいたんだろう。


「……じゃあ、俺はこれ買うよ」

「まいど~」

「……あ、あの、私、快人先輩の事お金持ちだなぁ~とは思ってたんですが、実際どのぐらいお金持ってるんですか……?」

「う、う~ん、大半はアニマとかに預けて運用してもらってるけど、それでも俺のマジックボックスの中には白金貨3000枚ぐらいは入ってるよ」

「さ、さんぜっ……」


 陽菜ちゃんが驚きを通り越して絶句しているが、実際俺も持て余しているのだ。そもそもアニマだけでも凄い資金運用とか上手くてお金は増える一方だったのに、いまはそこにコストという概念を無視できるカナーリスさんが加わったので、増えるペースはさらに上がっていたりする。

 ……まぁ、とりあえずいいプレゼントを変えたと、そう思っておこう。




シリアス先輩「設備費……創造すればいい、人件費……創造すればいい、材料費諸々……創造すればいい……事業展開においてカナーリスはチートすぎるだろ」

???「チートというか、ゴットですからね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
ルールとか制約があるからこそ、そこを逸脱するような人はチートと呼ばれるけど、シロ、マキナ、カナーリスやら最近出来た親衛隊のメンツはその制約を定める方の立場ですからねぇ。まさに次元の違う話ですよね
チートというかゴッドの納得のいかない納得感の凄さよ。。。
うん…次の胃痛キャラはもしかして葵ちゃん?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ