表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2184/2399

ささやかなお祝い⑤



 注文して運ばれてきたパフェは、予想通りと言えば予想通りだがサイズ的には控えめだった。なんなら前に葵ちゃんと陽菜ちゃんと三人で出かけた時に陽菜ちゃんが食べてたパフェの方が大きかった気もする。


「おぉ、これがカップル限定パフェ……どの辺がカップルなんですかね?」

「ストロベリーチョコパフェって感じの見た目だけど、要所にハート形のチョコがあったり、イチゴをカットしてハートっぽい感じにしてる辺りじゃないかな?」

「なるほど! でもすごく美味しそうですね……わ、私が先に食べてもいいんですか?」

「うん。というか、食べきれるなら陽菜ちゃんが全部食べても大丈夫だよ」

「……い、いや、駄目です。せっかくのカップル限定パフェなんで、一緒に食べましょう……私はえっと……半分……いや3分の2ぐらいで……」


 ひとりで全部食べたいという欲と、一緒に食べたいという思いが葛藤しているらしく、悩みつつも陽菜ちゃんは一緒に食べることを選んだ。

 まぁ、俺は本当に一口二口で問題ないので、タイミングを見て軽く食べることにして、まずは陽菜ちゃんに好きに食べてもらおう。


「ん~美味しいです! やっぱりパフェは、幸せの味ですね!」

「あはは、本当に美味しそうに食べるね」


 パフェを一口食べて幸せそうな表情を浮かべる陽菜ちゃんは可愛らしく、本当に美味しそうに食べるその姿は見ているだけで微笑ましくて笑みがこぼれた。


「そういえば、この後は葵ちゃんへのプレゼントを買いに行く予定だけど……俺は小物とかがある雑貨屋がいいかなぁって思ったんだけど、陽菜ちゃんはなんか案はあるかな?」

「う~ん、私もそれでいいと思うんですが……ちょっと思いついたのは、アリス様の雑貨屋に行ってみたいです」

「アリスの? あれ? 行ったことなかったっけ? イリスさんのバーの奥に直通の扉があるんだけど……」

「はい。武器屋の方は行ったことがありますけど、雑貨屋の方は無いですね。イリスさんのバーには葵先輩と一緒に行ってジュースと軽食を食べたことがありますが、奥の扉は私や葵先輩は通れないようになってるので、行ったことは無かったですね」

「……あっ、あの扉って制限あったのか……」

「はい。通れないというよりはその扉をくぐると、バーの入り口から外に出ちゃう感じでしたね。イリスさんが言うには快人先輩が居る時だけ、雑貨屋に繋がるようになってるんじゃないかって……」

「なるほど……」


 俺がごく普通に通れたし、以前アメルさんを連れて行った時も普通に通れたので誰でも通過できると思い込んでいたが、葵ちゃんや陽菜ちゃんは通れなかったらしい。

 というかいまの陽菜ちゃんの話的に、俺が居ないときはバーの出口になってる感じで、俺がバーに来た時だけ雑貨屋への直通の扉に変化するのかもしれない。まぁ、アリスは結構用心深いから聞いてみれば納得ではある。


「じゃあ、アリスの雑貨屋に行ってみようか……悪ふざけとかで変なものも作ってるけど、実際質の良いものも多いし……」

「はい! 楽しみです」


 事実としてアリスの腕が超一流なので、雑貨屋の商品はどれも素晴らしいものが多い。まぁ、本人にとって完全に趣味というか道楽の一巻でやってる店っぽいので、割と思いつきとかで作った変な品とかも置いてはいるし、謎のマスコットをやけに推していたりもする。

 だが、俺も小物類はだいたいアリスの雑貨屋で買ってるし……いや、服とか靴もか……私生活周りの品はだいたいアイツから買ってる気がする。まぁ、ともあれいいものが多いのは間違いないので、誕生日プレゼントを探すには丁度いいかもしれない。









 カフェから出て、陽菜ちゃんの要望通りにアリスの雑貨屋にやってきたのだが……店に入って早々、とあるポップが目に付いた。


「……アリス、お前……もうちょっとこう……」

「そのコーナー、いまお得ですよ」

「……お得もなにも、俺と陽菜ちゃんがここに来るまでの間に新設しただろこれ……」


 俺と陽菜ちゃんの目の前には「バースデープレゼントに最適な小物類特集」と書かれた棚があり、様々な商品が陳列されていた。

 売れるチャンスと見て用意したのだろう。アメルさんを連れてきた時もそんな感じだったし……まぁ、それはいいとして……問題は、棚に書かれた『カイトさんへのオススメ』と『ヒナさんへのオススメ』という区別だった。


「……なんで、陽菜ちゃん向けと俺向けってわざわざ書いてコーナーを分けてるんだ? そして俺にお勧めのコーナー品、陽菜ちゃんにオススメのコーナーと数字の桁が違うんだけど……」

「……てへっ」


 ……コイツ、陽菜ちゃんの方には安めで手軽な品を用意して、俺に対しては高いもの売りつけてやろうという欲望を一切隠していない。いっそ清々しいほどである。

 ま、まぁ、それでも品質は保証されてるだけマシといえばマシか……。




シリアス先輩「あれ? イリスは通過できないの?」

???「家作ったばっかの時は、イリスには転移魔法の練習を兼ねて転移で移動させてましたから、いまも転移魔法で移動してきますね……まぁ、そもそもイリスは薄情なことにあんまり雑貨屋に来ないですし……」

シリアス先輩「……お前、快人が寝てる時とかどうしてるんだっけ?」

???「イリスのバーに居ることが多いっすね」

シリアス先輩「……いや、それ、別に雑貨屋に行かなくてもほぼ毎日来るからじゃ……」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です!3話続けて読みました! 誕生日のケーキについてホールの方が雰囲気出るのわかるな こちらの世界での大きさは小さいサイズは少ない感じかな 陽菜さんがパフェを食べる様子が可愛いです! また…
陽菜ちゃんwithパフェ =幸せ 小物系と言われてアリスちゃんの雑貨屋が思い浮かばなかったけど、陽菜ちゃんの発言でそういえばと思った一方で大丈夫か?とも思った。 まあ、こういう時にはあまり悪ふざけ…
雑貨屋が候補に上がった瞬間からアリスの対応が予想通りすぎるw
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ