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特別商品⑥




 MKロイヤルに前々から予定していた家紋サービスと、ニフティは非常に順調である。雑誌で特集が組まれてたりするのも見かけるし、なんというか少し鼻の高い気分である。

 まぁ、運営はカナーリスさんがメインで、宣伝諸々はアニマやキャラウェイと……俺は別になにもしていない。MKロイヤルの抽選をしたぐらいである。

 MKロイヤルの初回当選者であるアイシスさんには、もう既に商品は届いている。恋人ということもあって俺が直接持って行ったのだが、アインさんやジュティアさんを招いてお茶会をする予定らしい。


 紅茶に強い拘りのあるアインさんとジュティアさんも飲むことが出来るようになったのは、ある意味ではいい結果だと思うし、アイシスさんも非常に楽しそうで……今回のお茶会を参考にして、近い内にもっと大きな規模でお茶会を開催したいと配下の皆さんと相談してるみたいで、その際には俺も参加することを約束した。

 スピカさんが作ったとても綺麗なブルークリスタルフラワーの花畑があるので、そこを一望できる場所にお茶会用のテラスみたいなものを作る予定とのことだ。


「まぁ、本当に俺はなにもしてませんけど、こうやって雑誌とかに特集が組まれたりするのはなんか嬉しいですね」

「人間さんもインタビューとか受ければよかったんじゃないですか?」

「い、いや、それは正直気恥ずかしいというか……そういえば、エリーゼさんもニフティに買い物に行ってくれたんですよね? どうでした?」

「立地とか客層とかよく考えられてると関心はしたです。商品の質もよかったですが、私としてはコーヒーを取り扱って欲しいですね」


 生粋のコーヒー党であるエリーゼさんは、そもそも紅茶は滅多に飲まないらしい。まぁ、俺が渡したニフティのサンプルとかは一通り飲んでくれたみたいなので、別に紅茶が嫌いというわけではないのだろう。単純にコーヒーが好きなだけで……。

 けど、コーヒーか……う~ん、元々はネピュラが趣味で作ってた茶葉だし、ネピュラがコーヒーを作ろうって思ったならそれもありかもしれないが……でも、無理に紅茶ブランドにコーヒーの新商品を入れる意味もないか? 無理に加えるぐらいなら別にコーヒーブランドみたいなのを作ったほうがいい気もするし……まぁ、現状そんな予定はまったくないが……。


「ニフティの開店の時にはエリーゼさんにもいろいろ相談に乗ってもらえて助かりました。改めて、ありがとうございます」

「いや、別に大したアドバイスはしてないです。落ち着きない人間さんがチョロチョロしようとしてたから、オーナーとしてドンと構えとけとか、そんなこと言っただけです。人間さんは無駄に行動的で、歩く爆薬みたいにあちこちでなんか起こすですからね」

「あ、あはは……」


 どこか呆れたような表情で告げるエリーゼさんだが、声は少し優しい感じであり、俺を非難しているとかではなく単純に雑談の延長みたいな感じだった。

 そのままエリーゼんさんは俺と話しながら、タロットカードっぽいオリジナルのカードを取り出して並べてめくっていく。


「……うん? 妙ですね。ここで逆位置の世界?」

「それって、タロットカードとは違うんですよね? なに占ってるんですか?」

「似てはいますね。タロットカードを元にいろいろなカードを加えたりしたものって感じです。それで、占ってるのは人間さんに関してですが……この並びでこの位置は、場所を示すはずなんですが逆位置の世界となると、この世界以外のどこかってことになるです」

「う~ん……あっ、異世界の事ですかね? 俺は、向こうの世界に移動できる特殊な道具をシロさんに貰ってるので……そっちでなんかあるってことですか?」

「ああ、確かに異世界ならそうですね。というか、そんな簡単に世界観の移動ってできるもんなんですか……相変わらず常識の外で生きてるですね」


 たぶん暇つぶしなのだろうが、俺を占ってくれているみたいであり、エリーゼさんは俺の言葉に頷いて次のカードをめくる。


「正位置の宴……なんか、異世界でパーティとかイベントとかあるですか?」

「え? どうでしょう? いまのところ、直近で向こうの世界に行くような用事は無いですが……」

「まだ先ってことですかね。でも次のカードは……このカードだと、半年以内ではありそうですね。それで次と次が……う~ん、これはまた変な占い結果ですね。まぁ、人間さん自体が変な感じではありますが……」

「えっと、どんな結果だったんですか?」

「要約すると、この世界ではないどこかで、半年以内になにか行事のようなものがあって、そこで人間さんは困ったり大変だったりするも最終的には幸せな思い出になる……みたいな感じですね。まぁ、適当に占ったので外れてるかもですが……」

「ふむ……」


 この世界ではないどこかで、半年以内に行事……あ~もしかして、アレかもしれない。シロさんに貰ったゲーム機を使って葵ちゃんと例のMMOをやれないか試してみようって約束してて、それを近い内にやる予定だ。

 実際に出来るかどうかは分からないが、出来たとすればMMOはネット上……この世界から見れば異世界の電脳空間で行われるものだし、俺が向こうの世界に行かずともこの世界ではない場所の条件は満たすだろう。

 そしてMMOってのはだいたい時期ごとにイベントとかやってるし、それに参加する感じかな? 葵ちゃんと違ってブランク長くて、装備も古いものばかりの俺は間違いなく苦戦するだろうし、そう考えれば条件は満たしてる気がした。


「……心当たりがあるですか? まぁ、なんでもいいですが、私を巻き込まないことを願うです……コーヒーのおかわりはいるですか?」

「あ、ありがとうございます。いただきます」


 相変わらずそっけない雰囲気ながらも、なんだかんだで優しいエリーゼさんがコーヒーのおかわりを淹れてくれ、そのまましばらく他愛のない雑談を楽しんだ。




シリアス先輩「これ、例によってコイツ、自分の誕生日のことはすっかり忘れてるな……前の時も、アリスに言われて思い出したような感じだったし……」

???「カイトさんにもしっかり胃痛フラグが立ってますね。まぁ、それはそれとして、次回はアイシスさんの城でのお茶会ですね」

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― 新着の感想 ―
更新お疲れ様です!連続で読みました!最初はジュティアさんもMKロイヤルの紅茶をめちゃ飲みたい方の1人で初回で当たらなかった事にがっくりしてけどリリウッドさんからアイシスさんが当選した事とそれのお裾分け…
デートですっかり忘れてたけど、誕生会あったわ……。
 アインさんとジュティアさんも飲めることになり、アイシスさんも皆でお茶会出来て嬉しそうだし、アイシスさんが嬉しそうで俺たちも嬉しい……うん、本当に素晴らしい当選者だったよね。  おっ、エリーゼさんだ…
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