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特別商品①



 シンフォニア王国にある快人の家の裏庭にある扉の先……全能神カナーリスによって作られた、極めて特殊な空間の中で、ネピュラ、カナーリス、イルネスの三人が目の前にある品を見ていた。


「……完成しましたね」

「ですがぁ、これは~少々やりすぎてしまった感じもしますねぇ」

「いちおうこの世界に存在しない要素は使っていないとはいっても、これを普通に作ることはできませんし、この世界で同じものが作れるとしたらシャローヴァナルか機神……マキナさんぐらいですよね。たはぁ~自分のゴッドパワーが出すぎちゃいましたか……」


 ネピュラが呟くように告げた言葉に、イルネスが彼女にしては珍しく若干の動揺が現れた表情をしており、カナーリスも相変わらずの無表情ながら「やってしまった」というような印象の声だった。


「しかし、結局主様の名を冠する品に手を抜くことはできなかったでしょうし、どんな形であれ最終的にはこうなっていたような気もしますね」

「そうですね。ただ、いちおう中毒性のようなものが無いかはもう一度スキャンして徹底的に調べておきますね」

「美味しすぎることがぁ、中毒性に繋がるかもしれませんがぁ。そうなると~味を落とすしかぁ、対策が無くなってしまいますしねぇ」


 三人が話しているのは、前々から相談しながら制作していた快人の名前を冠した特別な茶葉である『MKロイヤル』が完成したことに関してだった。

 拘り抜いて作成したことで、文句のない完璧な仕上がりにはなったのだが……仕上がりすぎてしまった。この三人をして「さすがに美味しすぎてヤバいのでは?」という考えが出てくるレベルなので、全能級でもなければ再現は不可能な神の至宝と言えるような完成度になってしまっていた。


 だが、快人の名前を冠する最高級の茶葉の味を……意図して落としたり、妥協したりできるかと言われれば、難しい。ネピュラのいう通り、過程は違ったとしても最終的には三人はこの茶葉を完成させていただろうと思えてしまう。


「……とりあえず美味しすぎるあまりの中毒性に関しては、禁断症状のようなものが起きたりしないように精神にある程度作用する効果を付与しておきましょう。たはぁ~でも、売るにしてもどうしますかねこれ?」

「もともと最高級品のつもりで考えてましたし、値段は高くして、個数は極端に絞りましょう。月に……そうですね。紅茶十杯分の量を1名のみとしますか……」

「この茶葉に関してはぁ、抽選のみにして~カイト様の友人方に関してもぉ、同じようにするのがいいでしょうねぇ」


 最高級品であるMKロイヤルに関しては特別感を維持するため、月に極少量のみを抽選販売という形にすることに決めた。

 茶葉を入れる容器も高級感に拘った特別なものを用意して、付属品として特別デザインのカップとティースプーンも付けることがのちの話し合いで決まった。


「……まぁ、とりあえず主様にも味見をしてもらいましょうか」


 大まかな方針が決まったことで、ネピュラが快人に味見をしてもらおうと告げ、カナーリスが快人を呼びに行って一緒に戻ってきた。

 そして話を聞いたあとで淹れてもらった紅茶を一口飲んだ快人は、大きく目を見開いて硬直した。そしてそのまま十数秒停止したのちに……口を開く。


「……いや、これ、美味しすぎじゃ……なんか、一瞬意識が飛ぶほどおいしかったんだけど……」

「ええ、正直妾たちもちょっとやりすぎたかと思っていたところです。ただ、どこかで妥協したり、あえて味を落としたりしない限り、たぶん最終的にこれに辿り着くのではという結論です」

「ニフティの最高級品として、特別限定販売のみを考えています。ザックリと話し合ったところですと、最低でもその月に1品以上ニフティの品を購入している人を対象に月に1セットのみ抽選販売という感じですね。買い物の際に抽選券を渡して購入者がエントリーする形か、あるいは自分が購入者は全部把握できるので、対象者から自動で抽選して当選者に通知、当選者が購入しなかった場合は再抽選って形式のどちらかの予定です」

「なるほど……でもそういう、幻の商品みたいなものも特別感があって、それはそれでいい気もしますね」


 そのまま快人も交えて、相談を重ねた結果……最終的にカナーリスが提案した自動エントリー式で行くことに決めて、当選者に関しては月に一回、快人がくじを引いて決めることとした。

 そしてある程度話がまとまったタイミングで、カナーリスがくじ引き用の箱を取り出して、テーブルの上に置く。


「じゃあ、試しに初回当選者に関して、快人様に引いてもらいましょうか……品の準備はそれほどかかりませんしね。まぁ、告知して実際に販売するまでは少し間が開きますがね」

「分かりました。まぁ、とりあえず試しってことで……というか、だいぶありますね」

「かなり繁盛してますし、カフェでの食事や友人用タブレットでの注文も対象にしてますからね」

「なるほど……じゃあ――この人で!」


 カナーリスに促されて快人がくじを引き、ニフティの特別商品であるMKロイヤルの初回当選者が決定した。




メイド「ガタッ!?」

大樹姫「ガタッ!?」

胃痛戦士たち「ひっ……」

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― 新着の感想 ―
殴るのは侯爵令嬢の胃か公爵の胃か...
思った以上の品が…w こういう美味しすぎてヤバいのではっていう展開、大好きですw 胃痛戦士の誰が選ばれるかなーと思っていたら発表は次かぁ
これ、やはりニフティ関連の胃痛といえば…でエリスさんなのでは…??
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