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香織とオリビアとのデート㉝



 オリビアの案内で予約しているレストランに辿り着いた快人たちは、予想通りと言えば予想通りではあるが、貸し切り状態のVIP待遇で席に通され、料理を楽しむこととなった。

 オリビアが夕食の場所に選んだレストランは昼食の店よりさらに高級志向のレストランであり、貴族の常連客も複数持つ店ということもあり、オリビアというビックネームの来店は非常にありがたく、可能な限り最高のもてなしを用意していた。


 ただそのタイミングで、オリビアからテーブルに案内した店員に対して爆弾が落とされる。


「今回席につく者の中で最も位が高いのは、そちらのミヤマカイト様ですので、留意してください」

「ッ!? か、畏まりました」


あくまでオリビアは昼のレストランでの反省を含めて、事前に告知しておく必要があると判断しただけなのだが……告げられた店員は背筋が凍る思いだった。

 この店は貴族の客も多い高級店であり、経営者は貴族ではないが社交界とも繋がりが深い商人……早い話が、快人の存在を知っており、店員にもしっかりと言い聞かせていた。


 快人の名は、基本的に貴族にしか知られていないため、一般人も含めた知名度においてはオリビアの方が上ではある。だがこの店のように貴族などに向けた店にとっては、快人が来店したという箔はオリビアの来店を上回る事態であり、快人たちが預かり知らぬところで更なるVIP待遇が確定していた。


「いい雰囲気の店ですね」

「ミヤマカイト様に気に入っていただけたのであれば、選んだかいもあります……それで、その、ミヤマカイト様……可能であればその、こ、今回の評価を教えていただけると……」

「評価、ですか?」

「はい。今回シャローヴァナル様の命により、ミヤマカイト様と光栄にもデートをさせていただくこととなり、計画などをミズハラカオリの協力の元作成しました。私の未熟さゆえに予定とは違った部分などもありましたが、このレストランを持って一通りの予定は終了いたします。そ、それで、わ、私が果たしてうまくデートを行えたかどうかの裁定をミヤマカイト様に下していただけたらと思います」


 このレストランに関していえば、特に昼の時のようになにかしらの行動を予定に組み込んだりはしておらず、純粋に快人と共に訪れるに相応しい店を選んだ結果である。

 そして、本日最後の場所ということもあり、オリビアの心にはいま「自分は果たしてちゃんとデートをこなせたのか?」という不安が湧き上がっており、快人の評価を聞きたいと感じていた。


「ああ、なるほど……楽しかったですよ。オリビアさんがいろいろ考えてくれてたおかげで、目的地とかに悩んだりすることなく純粋に楽しめましたし、デートっぽさという意味でもかなりいい感じだったんじゃないですかね。オリビアさんの方はどうですか? 今日は楽しかったですか?」

「はい。ミヤマカイト様のお傍にいられることだけでも身に余る光栄ですが、本日は様々な場面で慈悲を賜れ、これほどの幸福があっていいのかと申し訳なさを感じるほどに幸せな一日でした。もちろん幸せを甘受しただけではなく、計画の段階からアレコレと頭を悩ませ、ミズハラカオリにも多くの助言をいただきましたが、そのおかげで私自身も成長できたと感じています。きっと偉大なるシャローヴァナル様は、こうして考え悩み、実際に行った際の相違や予想外の事態などを経験することによって、私が成長できると考えてデートを行うようにと助言をくださったのでしょうね」

「……そうかもしれませんね」


 キラキラとシャローヴァナルへの信仰心に溢れた目で語るオリビアの言葉を聞き、快人は「いや、たぶんシロさんはそこまで考えてないと思いますよ」という言葉を呑み込んで同意した。


「香織さんはどうでした?」

「いや~凄かったね。なんか、大遅刻してた私の青春が津波で押し寄せてきたような……今日一日で濃すぎってぐらいにいろいろ経験出来て、なんだかんだで凄く楽しかったよ。けどそっか~快人くんには、肩も抱かれちゃったしお姫様抱っこもされちゃったんだなぁ~まぁ、快人くんにしてみれば、私程度抱きかかえたところでなんともないだろうけど……」

「いや、香織さんは美人で魅力的ですし、俺も普通に結構緊張しましたよ」

「……そっかぁ……それはちょっと嬉しい……かな」


 快人の素直な言葉に少し面食らったような表情を浮かべた後、香織は微かに頬を赤くしつつ苦笑した。そのまま三人は今日の出来事を思い返しながら、夕食を楽しんだ。




???「そういえば、前回少しあった体重の例外ですが、アイシスさんとかも該当しますね。アイシスさんは150㎝ほどの身長ですが、体重は30kgぐらいしかないです。これは、アイシスさんが『たぶんこれぐらい』って重さに調整してるだけで、浮いて移動してる時とかは体重がほぼ0になってたりしますので、割と適当に調整してる感じですね。アイシスさんは概念が実体を持ったようなゴースト種に近い存在なので、本来の体重はほぼ無い感じです」

シリアス先輩「まぁ、アイシスとかそのクラスになると体重ぐらい自在に調整できそう」

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― 新着の感想 ―
 オリビアさんが予約してきて色々対応を考えて、いざ来店してきたらオリビアさんが自分よりも位が高いという『世界の特異点』が一緒に来店してきた……これは店員も背筋が凍るよねw  デート成功して良かったね…
自分の体重変えるのなんてこの作品の登場人物で出来ない人の方が圧倒的に少なそう
シロさんは普通にこのデートでカイトがしたことと同じことを自分もしてもらおうくらいのことしか考えてないと思う。
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