香織とオリビアとのデート㉜
執筆の時間が取れず、短めです。
お姫様抱っこの形で香織さんを抱えたまま階段を降りきる。正直さすがにお姫様抱っこのままで最初から最後まで階段を降りきるというのはキツイかと思っていたが、意外といけるものである。
今日はなんかいつもより力が湧き出る気がしたし、もしかして俺の身体強化魔法もかなり強くなったのではないだろうか……そう思っていると、不意に視線の先……香織さんやオリビアさんからは死角になっている場所にアリスの姿が見え、アリスは軽くサムズアップをして姿を消した。
……これ、アレだな。俺が成長して強くなたっとかじゃなくて、アリスが遠隔で補助魔法みたいなのかけてサポートしてくれたったことか……ってことは、アリスの見立てでも俺がずっとお姫様抱っこのままで下に辿り着くのは厳しいか、あるいはたどり着けたとしてもかなり疲れていたのだろう……アリスに感謝である。
「香織さん、着きましたので降ろしますね」
「うん、ありがとう。いや~快人くん結構しっかり鍛えてるっていうか、危なげない感じで安心感があったよ。お姫様抱っこで運ばれるっていうのもいい経験になったし、楽しかったよ……まぁ、めっちゃ恥ずかしかったから、家に帰ったら布団の上で悶えて転げまわるけど……」
「あ、あはは……えっと、最後にレストランで夕食でしたよね? オリビアさん、レストランはここから近いんですか?」
香織さんらしい感想に苦笑しつつ、オリビアさんに予定の確認をする。オリビアさんは多少疲れてはいる様子だったが、登りの時ほどは酷くなさそうな感じだった。
ただそれでも疲労しているのは間違いないので、様子次第では一休みしてから移動しても……って、あっ……いま思ったんだけど、これ、俺がメモリーズ使えばオリビアさんにバフがかかって、余裕で上り下りできたんじゃないだろうか? その発想は無かったのだが、アリスがこっそり俺のフォローをしてくれたのを見ていま思い至った。
いまさら遅くはあるが、次の機会があったとしたらその時に試してみよう。
「はい。移動にあまり時間がかからぬように、夕日を見る予定の公園からある程度近く、評判のいいレストランを予約してあります」
俺の質問に答えるオリビアさんの様子を見る限り問題はなさそうだ。念のため予約時間などを確認すると、ある程度余裕もありそうだったので、少し休憩してから再度手を繋いで移動を開始する。
「オリビア様、結局夕食のレストランはどこにしたんですか?」
「ミズハラカオリが強く推していた店にしました」
「え? 凄い! よく予約できましたね。かなり人気で、予約も数ヶ月先までびっしりって話だったのに……」
「ええ、伺いの手紙を送ったら、いつでも予約は可能とのことだったので予約しました」
……昼のレストランの時のことを思い出した。多分オリビアさんは普通に大聖堂から、自分の名前で手紙を出しており、夜のレストランに関しても同様なのだろう。
つまり相手からしてみれば、教主が食事に来たいと言ってきたわけで……そりゃ、他より優先してでもなんとしても席を用意しようとするだろうとは思う。
「……ねぇ、快人くん。これ、昼みたいにVIP待遇なパターンじゃない?」
「間違いなくそうだと思います。でも、店の方も教主が来るってわかってればいろいろ配慮してくれてると思いますし、そういう意味ではむしろいいのかも?」
「あ~そっか、騒ぎになる心配とかは無いって思えば、その方がいいのか……う~ん、庶民の私としてはVIP待遇だと変に緊張しちゃうよ」
「あはは、その気持ちは分かりますね」
「いや、君はVIP側でしょ……」
香織さんの呆れたような呟きに苦笑しつつ、オリビアさんの案内でレストランに向かって移動した。
シリアス先輩「そろそろデートも終わりかな、もう大きなイベントはなさそうだし……」
???「香織さんのハグが残ってますよ」
シリアス先輩「…………」