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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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神界の上層へ向かった

 クロノアさんに連れられて訪れる事になった神界……以前来た時には気付かなかったが、祝福を受けた神殿の裏手に建物があり、その中にゲートがあるらしく、そこから神界へ移動するらしい。
 神界……文字通り神々が住む場所で、シロさんを頂点とした絶対的な縦社会。
 どんな所なんだろう? う~ん、こう、イメージでは雲の上にあるような空に浮かぶ大地って感じだけど……魔界が人界と似た感じだったし、意外と普通の……

「……なっ……え?」
「ここが、我等の住む神界だ」
「そ、空の……上!?」
「ああ、すまぬ。言っていなかったな……神界の大地は全て『空中に存在している』……とは言っても、シャローヴァナル様の御力により造られた大地故、揺れたりする訳ではないがな」

 ゲートから出た俺の前に広がった光景は……正しくファンタジーといった感じだった。
 大小様々な大地が美しい装飾の橋で繋がれ、橋の下には青い空が見える……す、すげぇ。

「ここの、島々は全てゲートになっていて、人界や魔界のあちこちに繋がっておる……この一帯の浮遊島を、我等は『神門』と呼んでいる」
「……はぁ、なんて言うか、圧倒されて言葉もないというか……凄く幻想的な光景ですね」
「気に入ったようなら良い事だ。では、移動するぞ……とはいえ、人間のお前が歩いて移動すれば時間がかかる故、我が運ぶぞ」
「え? あ、はい」
「一息に上層まで行っても良いが……お前も初めて神界に来たのだし、少し案内をしよう。案ずるな、シャローヴァナル様より許可は頂いている」
「はい。よろしくお願いします!」
「うむ」

 クロノアさんが頷き、指を軽く弾くと、俺の体の周りに金色に光る魔力の輪が複数浮かび、フワリと俺の体が浮かぶ。
 クロノアさんの体も同様の光に包まれ、次の瞬間かなり速いスピードで移動が始まった。
 とはいえ、景色が吹き飛ぶようなスピードでは無く、車より少し早いぐらいのスピードだ。

「まず、この地が先に説明した下層だ。そしてほら、向こうに浮かんでいる大地が見えるであろう? アレが中層だ」
「ホントだ……神界全体が大きな山みたいなイメージでしたけど、実際は一回り小さい円状の大地が浮かんでるって感じなんですね」
「うむ……中層に昇るには、上級神以外であれば下層中央都市にあるゲートを利用する。まぁ、そもそも滅多に使われる事はないがな」

 移動しながら説明をしてくれるクロノアさんの言葉を聞き、視線を動かすと確かに今居る場所よりかなり高い位置に、大地みたいなものが浮かんでいるのが見えた。
 う~ん、やっぱり神界って凄いな……少し見ただけで、かなり幻想的だ。
 浮いているのは大地だけじゃなく、空にある泉、物理的にバランスのおかしい形の木……見ているだけで、本当に退屈しない。

「たしか……各国の王様クラスじゃないと、立ち入れないんでしたっけ?」
「ああ、正確には神界からの信頼が一定以上の基準にある者、だな……王の他には『仮祝福』ではなく『本祝福』を受けた者も立ち入る事が出来る」
「か、仮祝福? 本祝福?」
「うん? なんだ、知らぬのか?」
「はい。不勉強で申し訳ないです」

 またまた聞き慣れない単語が出てきたので、尋ねてみたが……どうやら、クロノアさんの反応的に、常識中の常識っぽい……
 反射的に謝罪する俺を見て、クロノアさんは普段のキリッとした表情を崩し、優しげに微笑んで首を横に振る。

「いや、気にするな。考えてみれば、異世界人であるお前が知らぬのも無理はない。我の配慮が足りなかった……謝罪しよう」
「い、いえ!?」
「簡単に説明しよう。通常、毎年人族の貴族が受けているのは、仮祝福の方だ。略式とも呼ぶな」
「略式……それって、確かクロノアさんがリリアさんにかけた……」

 略式という単語を聞いて、以前神殿の前でクロノアさんがリリアさんに祝福を行い「略式ですまぬが」と言っていたのを思い出した。

「うむ。お前の想像通り、我がリリアに行ったものが仮祝福だ。これは簡単な手順で行えるが、効果はそれほど強くなく、一年しかもたない……故に人族は、毎年祝福を受ける」
「成程……本祝福というのは?」
「本祝福は……神族が『その名を用いて行う祝福』の事で、こちらは仮祝福とは違い祝福を行った神族の命がある限り祝福の効果が継続する上、得られる効果も桁違いだ」

 つまるところ、本祝福というのは通常の祝福の上位に位置するものであり、通常であれば一年で切れる効果も永続的に続くという事らしい。
 俺が納得するように頷いたのを見ると、クロノアさんは真剣な表情に変わり言葉を続ける。

「本祝福は、神族にとって最大の信頼とも言える行為……何故なら、本祝福を受けた者は、祝福を行った神の加護の及ぶ存在であり、その『神の名を使って発言する』事を許される」
「神の名を使っての発言?」
「……うむ、例えばミヤマ。お前はシャローヴァナル様より本祝福を受けたな? その際に、シャローヴァナル様の名を使う事を許可された筈だ」
「……え?」

 そんなことされたっけ? いや、されてないよな……

(忘れていました。私の名を使って発言する事を許可します)

 忘れてたんかい!? ちょっと、適当すぎやしませんかねぇ……
 ま、まぁ、シロさんは祝福事態を全然した事が無いみたいだし、仕方ないと言えば仕方ないのかな?

「……どうした?」
「あ、いえ……えっと、今許可されました」
「うん? そ、そうか……ともあれ、シャローヴァナル様の名を使っての発言を許可された事……もはや権能だ」
「……へ? そ、それは一体……」

 まだいまいち神の名を使って発言するという言葉の意味が分からないんだが……アレかな? 神の名において告げる! とかそんな感じのやつなのかな?

「お前がシャローヴァナル様の名の元発言を行えば……シャローヴァナル様の言葉に等しいという事だ。その発言に異を唱える行為は、すなわちシャローヴァナル様に刃を向けるのと同意……この世で最も愚かな行為だ」
「……え、えぇぇ……」
「それだけでは無い。お前がシャローヴァナル様の名を使って命令すれば、神族は全員お前に従う。お前は、神族への絶対的な命令権を有していると言っても良いだろう」
「……」

 なにそれ、怖い……よ、要するに、神の名を使って発言するってのは、自分の発言をその神が発言するのと同じ意味を持って使う事が出来るってことか……特にシロさんに関しては、紛れもなく世界の頂点。その発言力は桁違いと言える。
 ……封印決定である。

「ちなみにだが、本祝福を受けていない者が、神の名を使って発言する事は重罪だ。生命神によって、審判が下される」
「……な、成程」

 クロノアさんの説明のお陰で良く分かったし、神族同士が名前で呼び合わない理由も理解出来た。
 神族にとっての名前は本祝福を行う為のものであり、同時に明確な力を持つものでもある訳だから……悪用を避ける為にも、周知はされていないんだろう。
 そしてその情報等を統括している……六王でいう所のアリスの役割を持つのがライフさんって訳だ。

「ありがとうございます。お陰でよく分かりました」
「そうか……余計な事だと思うが、お前に与えられた権能は言うまでもなく強大だ。悪用などするなよ……まぁ、お前がそんな事をしないだろうというのは、我にも分かっているがな」

 そう言って優しく微笑むクロノアさんは、正に女神といった感じで……普段のクールな印象とのギャップもあり、少し顔が熱くなるのを感じた。
 そしてそのまま移動を続けていると、ふと思い出したようにクロノアさんが口を開く。

「……今の内に、改めて礼を言っておこう。ミヤマ、以前シャローヴァナル様に付き合ってくれた事、心より感謝する。シャローヴァナル様はとても楽しそうであった。それは、我にとってもなにより嬉しい事だ」
「い、いえ、そんな……」
「ただし……あの時、見たものに関しては……忘れてくれ」
「……あの時見たもの?」

 以前のシロさんとのデートに関してお礼を告げた後、何かを忘れろと言ってきたが、すぐにピンとこなくて首を傾げる。
 するとクロノアさんは、何故か困った表情を浮かべた後、顔を逸らしながら小さな声で呟く。

「……だ、だからその……わ、我が……ふ、ふしだらな格好を……」
「……水着の事ですか?」
「……あぁ……分かっておる! 似合っていなかったと言いたいのであろう!! その程度、我も自覚しておる。笑いたければ笑え、だが忘れろ!!」

 顔を赤くしやけくそ気味に告げるクロノアさん……やっぱりというか、なんというか、あの時強制的に水着になった事は気にしていたみたいだ。
 確かにあの時は様子おかしかったし、断固として俺の視界の範囲に立とうとしなかったし……

「いや、別に笑ったりとかは……というか、似合ってましたよ?」
「なぁっ!? き、貴様!! また我を、そうやってからかう気か!!」
「い、いや、からかってませんって……本当に似合ってましたよ。クロノアさんはスラッとしてて綺麗ですし……」
「なっ!? なっ……なぁっ……」

 俺の言葉を聞いたクロノアさんは、パクパクと陸に上がった魚のように口を動かし、どんどん顔を赤くしていく。
 そして少しして、先程までより勢いよく俺に詰め寄ってきた。

「ふ、ふふ、ふざけるな!? わ、我に、そのような甘言を告げて……どど、どうする気だ!? ふしだらな!!」
「い、いや、どうする気もなにも……ただの本心ですよ。クロノアさんは凄く綺麗な女性だと思います」
「……だ、騙されんぞ……わ、我が今まで何度男のようだと言われてきたか……」

 それ、主にフェイトさんが言ったんじゃない? なんか今、頭にピースしてるフェイトさんの顔が思い浮かんだ。
 う、う~ん。やっぱりクロノアさんって、女性扱いされるのに慣れて無いというか……珍しくシロさんの事以外で戸惑ってる感じがする。

「う~ん。他の方がどう思うかまでは知りませんし、自分が絶対の基準だという気もないですが……俺は、クロノアさんの事は綺麗な女性だと思います」
「~~~~!?!?」

 そう告げるとクロノアさんは、再び口をパクパクと動かし、耳まで真っ赤にして俯いてしまった。
 うん、わりと根深いものがあるのかもしれないし……これ以上はなにも言わないでおこう。
 そう考えながら、神界の景色に視線を戻すと、囁くような声が聞こえてきた。

「……礼は……言っておく」
「え? あ、はい」

 それっきりクロノアさんは黙ってしまったが、一瞬だけこちらを向いて、どこか温かさを感じる表情で苦笑した。

 拝啓、母さん、父さん――神界は予想に反してというか、予想以上に想像通りのファンタジーな場所で、視界に映る物がとても新鮮に感じられた。そして、クロノアさんもしばらく経つといつもの調子に戻って、俺は神界の案内を受けながら――神界の上層へ向かった。



シリアス先輩「う、嘘つきいぃぃぃ!! 今回は、真面目にやるって、言ったじゃないですかあぁぁぁ!! 何で最後にサラッと口説きにいってるのあの主人公!! もうやだあぁぁぁ、おうち帰してえぇぇぇ!!」

【シリアス先輩のうちは後書き】

シリアス先輩「……ぶわっ」

次回怠惰な最高神再登場。
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