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勇者召喚に巻き込まれたけど、異世界は平和でした 作者:灯台
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可愛いと思ってしまった

本日は二話更新です。これは二話目なのでご注意を。
 一悶着、どころか二つも三つも衝撃の事態があった気がするが、それはとりあえず置いておくとして、ルナマリアさんの母親を迎える為に俺達は玄関へ移動した。
 別にルナマリアさんの母親は権力者という訳ではないのだが……まぁ、俺や葵ちゃん、陽菜ちゃんは早く話に聞く母親を見てみたいのと、リリアさんは元々知り合いらしいので迎えに玄関まで出てきた。

「そう言えば、ルナさんのお母様って、どんな方なんですか? やっぱり、ルナさんと同じ青い髪なんでしょうか?」
「ええ、ルナの母親は、青空のような髪の小柄な女性です。名前は……おや? いらっしゃったみたいですね」

 葵ちゃんがリリアさんにルナマリアさんの母親について尋ねると、リリアさんがルナマリアさんの母親は青空のような色の髪の小柄な女性だと告げる……あれ? そんな外見の人、少し前に見たような……
 そしてリリアさんが名前を告げようとしたタイミングで、門の辺りに人影が見えてそちらに視線を動かした。

 髪の色に合わせた薄い青で、貴族が着るような豪華なものではないが、どこか上品さを感じさせるドレスに身を包み、可愛らしい日傘を差しもう片方の手にはバスケットを持った小柄な女性がこちらに歩いてくる。
 その顔はなんて言うか、物凄く見覚えがある……というか……あれ……ノアさんじゃない? え? ちょっと待って、つまり、そういう事なの!? ノアさんがルナマリアさんのお母さん!?

 まさか見知った人物が来るとは思っておらず、俺はノアさんの姿を見て茫然として言葉を失ってしまう。
 そのままノアさんは俺達の方へ近付いてきた後、家主であるリリアさんに深く頭を下げる。

「……リリアさん、こんにちは。突然の訪問になって、申し訳ありません」
「お久しぶりです、ノアさん。お元気そうでなによりです」

 穏やかな笑顔でリリアさんと挨拶を交わした後、ノアさんはルナマリアさんの方を向いて優しい笑顔を浮かべる。
 身長はルナマリアさんより低いが、その慈愛に満ちた表情は紛れもなく母のものだ。

「ルーちゃんも、お仕事中にごめんなさい」
「そ、それは大丈夫ですが……お母さん、今日は一体どうして急に……」

 ふと思ったんだけど、ノアさんとルナマリアさんは親子でも敬語で話してるって事は、元々敬語口調が地って事かな?
 ともあれルナさんが少し焦った様子で話しかけると、ノアさんは何故か少し頬を染めてチラリと俺の方を見た。

「ちょっと、会いたい人が居ましたから……ミヤマさん、こんにちは」
「……え?」
「あ、はい。こんにちは」
「…………え?」

 ノアさんが俺の方を向いて、上品に礼をすると共に、ルナマリアさんの顔からは表情が消え、茫然とした様子で呟いていた。
 その反応を申し訳なく思うが、俺もノアさんがルナマリアさんの母親だとは思っていなかったので許して欲しい。

 それでもルナマリアさんは素早く混乱から立ち直り、先程より遥かに慌てた様子でノアさんに詰め寄る。

「……ちょっ、ど、どういう事ですかお母さん!? み、ミヤマ様と知り合いなんですか?」
「ええ、この前病院に行く途中で具合が悪くなってしまって、その時にミヤマさんが助けてくれたんですよ」
「……そ、そうなん……ですか……」
「はい。それで、ルーちゃんから聞いてミヤマさんがリリアさんのお屋敷に居るのは分かってましたから、改めてお礼をと思って今日は足を運んで来たんです」
「……そ……んな……もう……会ってた?」
「ルナっ!? しっかりして下さい!?」

 ノアさんの説明を聞き終わると、ルナマリアさんはガックリと膝をつき、リリアさんが慌てた様子で駆け寄る。
 そしてルナマリアさんはそのまま、どこか怯えた表情でリリアさんの方を向き、震えた声で告げる。

「……お、お嬢様……わ、私は今……ようやく、お嬢様の……お気持ちが分かりました……ミヤマ様が……怖い」
「分かります。痛いほど、分かりますよ。ルナ……どうかゆっくりと深呼吸をして、体にしっかり力を入れてください。ルナは悪くないですよ……カイトさんは化け物なんです。私達の常識は通用しないんです」
「お嬢様ぁ……」
「辛くなったらすぐに言ってください。胃薬もありますから……」

 なんだろうこのやり取りは……リリアさんのあまりにも深い重みのある言葉は……
 完全に化け物扱いではあるが、リリアさんに言われてしまうと……今までの行いから何も言えなくなってしまう。

「ルーちゃん? 大丈夫ですか?」
「……大丈夫ですか……じゃ、無いですよ!! なにやってるんですか、お母さん!?」
「え? なにって?」

 ノアさんが心配そうに話しかけると、ルナマリアさんは弾けれたように立ち上がり、物凄い剣幕でノアさんに詰め寄る。
 周りの俺達はその迫力に圧倒され、口を挟む事が出来ない。

「ミヤマ様に助けて頂いたお礼を言いに来たのは良いです! 私も、後でお礼を言いましょう……なんですか、その格好は!?」
「格好……変ですか?」
「変とかそういう問題じゃないです!? なに肩口の開いた服なんて着てきてるんですか!! しかもよく見たら、普段は殆どしない化粧もしてますし!!」
「それは、その……」

 ルナマリアさんの叫び声を聞きながら、ノアさんは恥ずかしそうに両手で頬を押さえ……何故かチラチラと俺の方を見た。

「私も女ですから……素敵な男性に会いに行くなら、少しぐらいお洒落したいものなんですよ……」
「なに、色気づいてるんですか!! 歳考えてください!!」
「ルーちゃん……私は、まだ『480歳』ですよ?」
「人間の寿命の五倍近く生きてるでしょうが……」

 その辺りの話をすると、ルナマリアさんが狂信してるクロは、俺の何百、何千倍という歳でハーフパンツなんだけど……その辺りは言わないでおこう。
 うーんなんだろう、ルナマリアさん的には自分の母親が若々しい恰好で登場したので慌ててる感じだろうが、ノアさんはのほほんと微笑んでるだけ……うん、強い。

 本当に暖簾に腕押しといった感じで、ルナマリアさんの言葉を平然と受け流すノアさんに、ルナマリアさんも無理だと判断したのか……頭を抱えてしまった。
 そしてノアさんは俺の方に振り向き、可愛らしく頬を染めながら手に持ったバスケットを差し出してくる。

「……ミヤマさん、改めてあの時はありがとうございました……その、せめてものお礼にと、マフィンを作ってみました。お口に合えば良いのですが……」
「あ、いえ、わざわざすみません……ノアさんは、その後体調は大丈夫ですか?」
「……はい。『ミヤマさんのを飲ませて頂いた』お陰で、最近は本当に元気です」
「ッ!? ちょ、ちょっと待ってください。お母さん!? ミヤマ様のを、飲んだって……どど、どういう事ですか!?」

 ……血の話である。しかし、ノアさんの言い方が悪く、なにやら変な誤解をした様子のルナマリアさんが、青ざめた顔でノアさんの方を見る。
 俺が説明の言葉を告げようとしたが、それより早くノアさんがとんでもない発言をした。

「初めて出会った時、ミヤマさんの御厚意で飲ませていただいたんです。凄く濃厚で、蕩けるに甘くて、体が震えるほどに心地良かったです」
「なぁっ!?」
「ちょ、ちょっと……ノアさん?」

 あくまで血の話であるが、言い方が悪すぎるし……そんな頬を染めて恍惚とした表情で告げられたら、ルナマリアさんじゃなくても誤解してしまうだろう。

「なな、なにを考えてるんですか!! もっと時間をかけてならともかく、出会った初日にだなんて! お父さんに申し訳ないと思わないんですか!?」
「でも、あの人のは、頑張っても飲めませんでしたから」
「確かにハーフエルフは性に淡白だって聞きますけど!! だからって、若い人間の男なら大丈夫とか……そもそも、こんな若い女性の多い場で、そんな発言をするなんて正気の沙汰じゃありませんよ!!」
「あの、ルナマリアさん……ルナマリアさん!!」
「なんですか、ミヤマ様……今、私は大事な話を……」

 やはり完全に誤解しているみたいで、このままではさらにとんでもなく厄介な状況になりそうだったので、ルナマリアさんに必死に呼びかける。
 するとルナマリアさんは低く冷たい声で、殺気の籠った目をこちらに向けてくる。

「……血の事ですからね」
「……………え?」
「いや、だから、飲ませたって……血の事ですからね。俺の血液と、ノアさんの体の相性が良かったみたいなんで、貧血の治療に協力してくれって」
「……血?」
「はい」
「……」

 俺の言葉を聞いたルナマリアさんはキョトンとした表情で固まった後……ボンッと音がしそうな勢いで顔を真っ赤にし、両手で顔を押さえて座り込んでしまった。
 ……駄目だこれ、声かけられない。この羞恥心で死にそうなルナマリアさんに、追い打ちをかけるような真似は……

「ルーちゃん、ミヤマさんの言う通り血の事ですよ。性行為をした訳じゃないですからね?」
「~~!?!?」

 追い打ちかけた!? 平然とした顔でトドメ刺しにいった!? ノアさん……なんて恐ろしい人だ……ルナマリアさん、もう泣きそうじゃないか……

「確かに性行為にそういうものがあるというのは私も――「ノアさん、ストップ!!」――え?」
「もう、ルナマリアさんも十分わかってますから!! お願いですから、それ以上は言わないで上げてください!!」
「……え? あ、はい。分かりました」

 ルナマリアさんの心が羞恥心で押しつぶされそうだったので、俺は慌ててノアさんを止める。これ以上の追い打ちはいけない、既にルナマリアさんの精神はボロボロだ。
 ここはそっとしておいてあげるのが一番……そう思いながら、ルナマリアさんが立ち直る時間を稼ごうと、ノアさんに話しかけようとした時、囁くような話声が聞こえてきた。

「……なんていうか、相手が快人さんだから妙にリアリティがあるわよね」
「ですね~快人先輩ならって、思っちゃうのも仕方ないですよ」
「……ちょっと、君達二人は後で話がある」
「「……え?」」

 どうも、後輩二人から見た俺の人物像について、大変不名誉な誤解があるみたいなので……それは後で、ガッチリ説教……もとい説明をしておこう。

 拝啓、母さん、父さん――驚いた事に、ルナマリアさんのお母さんというのは、以前会った貧血気味のハーフヴァンパイア……ノアさんだった。ノアさんと話している時のルナマリアさんは、少しいつもと違って余裕が無い感じで、不謹慎かもしれないが、ちょっと――可愛いと思ってしまった。



注)血の話です。大変健康的な作品です。

???「ここでお知らせです。なんと、作者の妹がアリスちゃんの絵を描いてくれたらしいですよ。何かその為に作者の財布が死んだとか、そんな事を聞きましたが、気にする事じゃねぇっすね。活動報告に掲載してあるそうです。アリスちゃん可愛い、これはアリス編大長編不可避ですよ……いや、別に私はアリスちゃんとは何の関係もない、ただの一ファンですがね」
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