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デート計画実行②



 オリビアさんと香織さんとのデートは来月ではあるが、行く場所に関しては聞いたので雑誌などで軽く下調べをしておくことにした。

 結構有名な交易都市らしく、探せば観光雑誌などもいくつも見つかったし、おすすめスポットなどが書かれた本もあった。

 まぁ、基本的なデートプランは決まっているとのことなので俺が行き先を決めたりすることは無いと思うが、手持無沙汰になった時なんかに提案できる引き出しがあるに越したことは無い。


 まぁ、とはいえまだ時間はあるのでゆっくり調べればいいと、そんな風に考えつつ雑誌を読んでいるとふと気になる記事があった。

 行く予定になっている商店街に完全会員制の高級チョコレートショップがあるという部分だった。というのも、そのチョコレートショップのロゴマークには見覚えがあった。

 ハーモニックシンフォニーの打ち上げで、ジュティアさんが持ってきてたチョコレートの箱に書かれていたロゴと同じだ。


 あのチョコレートはかなり美味しかった。ジュティアさんは、俺が持って行ったチョコレートの方が紅茶との相性がよくて上だと言っていたが、あのチョコレートもきめ細やかで舌触りもよくかなり好みの味わいだった。

 それにあの時のチョコレートはジュティアさんが紅茶に合う味わいのものを選んで持ってきてたわけだし、それ以外のチョコレートにも興味がある。

 でも、雑誌を読む限りは完全会員制であり、現会員の紹介以外では会員登録はできない店らしい……うん? じゃあ、ジュティアさんに紹介してもらえれば行けるのか?

 ……いちおう聞くだけ、ハミングバードで聞いてみようかな? もし紹介してもらえたら、オリビアさんや香織さんと行った時に立ち寄ったりもできるわけだし、よさそうだ。









 魔界のユグフレシスにあるリリウッドの居城では、ハミングバードを受け取ったジュティアが不思議そうに首をかしげており、たまたま一緒にいたカミリアがその様子を見て尋ねた。


「ジュティアさん、どうかしたんですか?」

「ああいや、カイトからハミングバードが届いたんだけど、不思議だな~不思議だな~なんで、これをボクに頼んでくるんだろう?」

「うん? どういうことです?」

「カイトがさ、ディア・ロイヤルチョコレートの店に興味があるから、ボクに紹介してほしいってハミングバードを送ってきたんだよ。いや、もちろんカイトの頼みなら、ボクはいくらでも力になるつもりだけどさ……でもね、でもね、これってボク必要かな?」


 ジュティアは快人のことは非常に気に入っており、紅茶の茶葉の件など含めて恩も多いと思っているため、快人の願いであれば大抵のことは二つ返事で了承する。

 ただ、今回の要望に関しては、なぜわざわざ自分に頼んでくるのかが分からず首をかしげていた。


「ディア・ロイヤルチョコレートですか? ここ数年でかなり注目されている高級チョコレートの……あれ? でも、カイトさんは……『オーナーと友人』ではなかったですっけ?」

「そうだよ、そうだよ。ディア・ロイヤルチョコレートはハミルトン侯爵家のエリス・ディア・ハミルトンが立ち上げた店だし、わざわざボクが紹介しなくてもそっちに頼めば話は早そうなのに……」

「単純に店舗を経営していることを知らないのでは? カイトさんは、あまりそういった貴族の事業展開に興味は無いでしょうし……」

「ああ、なるほど、なるほど、確かに知らないのならボクに頼んできても不思議じゃないね」


 そう、ジュティアが不思議そうにしていたのは、少し前に快人の友人として紹介を受けたエリスがその店のオーナーであると知っていたからであり、わざわざ自分に紹介を頼まなくてもエリスに頼めば一発ではないかと思ったからだった。

 しかし、カミリアの言う通り単純にそれを知らない可能性もある。カミリアの言葉に納得したように頷いたあとで、ジュティアはハミングバードで了承の返事を送った。











 ジュティアさんにチョコレート店の紹介を依頼するハミングバードを送ると、少しして快く了承の返事が届いた。

 すると、そのタイミングでなぜか姿を現したアリスが苦笑を浮かべながら口を開いた。


「ジュティアさんも首をかしげたでしょうね。不思議な依頼をしてくるもんだと……」

「え? なんで?」

「いや、その店、カイトさんが少し前に知り合ったエリスさんの店ですし、そっちに頼めば一発ですからね」

「……お前……なんでそれを、もっと早く言ってくれなかったんだ……」


 そ、そうなのか……エリスさんの店だったのか、そりゃ俺からエリスさんを紹介されたジュティアさんは戸惑うかもしれない。

 アリスに関しては、完全に分かった上で面白がって返事くるまで黙ってたんだろうけど……疑問に思いつつも尋ねたりはせずに、快く了承してくれた優しいジュティアさんとは大違いである。


 ……とはいえ、うん。よく見たら雑誌に「ハミルトン侯爵家が経営する」って書いてあるわ。サラッと流し読みでロゴマークだけ見て、よく確認しなかった俺が一番悪いので文句も言えない。




シリアス先輩「さんざんぶん殴られたのに、まだ胃ブローされるの? あの令嬢……」

???「いや、まぁ、ジュティアさんに紹介してもらう形になったわけですし、エリスさんが関わる可能性は……『偶然店舗の視察に来てて鉢合わせる』ぐらいしか、ありえないですよ」

シリアス先輩「でかいフラグ立ったな……」

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― 新着の感想 ―
偶然なら仕方ないよねー♪(棒)
最初のver.で雑誌に写真ではなく絵でとあったので、この世界に写真あったっけ?と思ってましたが修正されたようですね。
胃痛戦士に休みは不要! エリスさん、頑張れ!
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