公園デート⑬
帰宅が遅くなって時間が無かったので、今回は短めです。
なお、本日はコミカライズ9巻の発売日なので、よろしければ手に取ってもらえると嬉しいです。
思えば発端は完全な思い付きからだった。イルネスさんとカフェに行く日の前日にふと、あることを思いついた。
「……アリス、前に使ったアクセサリー制作キットってまだある?」
「ありますよ。というかマキナの心具で複製できるので……」
「マキナさんの心具? え、マキナさんも心具持ってるんだ」
「ええ、まぁ、全知全能のマキナには使い道のない心具ですし、全然戦闘向きじゃないんですけど、生物以外なんでも複製できるって能力があって、地味に便利なんすよ。複製に結構時間かかるんですが、時空間魔法で短縮可能なので実質ゼロですし、この手の作るのに手間がかかる自作品なんかを複製できるのは便利ですね……さらに複製に必要なコストも魔力だけなので、私の魔力量ならいくらでも複製し放題って感じっすね」
それ普通に凄い能力なんじゃ……ああ、いや、でもマキナさんは創造の力があるわけだし、わざわざ心具使ったりする必要もないのか……そもそも全能だし、心具使わなくても複製ぐらいいくらでもできるだろう。
「……というか、それならその制作キットのコスト面の問題解決できるんじゃ……」
「そうっすけど、私の雑貨屋に置いたところで売れねぇっすし、他に委託するにしても定期的に複製して納品するの面倒ですし別にいいかなぁ~って……そもそも、これ作ったのは一昔前にあった自作アクセサリーブームのタイミングでしたからね。ブームはもう過ぎてますし、売れるにしてもそこそこでしょう」
「まぁ、確かに高いお金出して制作キット買うなら、プロが作った装飾品を買うって人の方が多いか……」
量産できるとはいえ、世間的な流通のバランスとかを考えると高価な材料をいろいろ使っているあの制作キットもかなり高価にはなるだろう。
……とりあえず俺は、普通に制作キットを手に入れられたのでよかった。これで、目的のものが作れそうだ。
「カイトさん、高品質のローズクォーツがありますが?」
「……買う」
「まいどあり~」
話していなくともアリスには俺がなんの用途でアクセサリーを作ろうとしているか分かったみたいで、サッとピッタリの宝石を出してきた。やっぱりコイツ、俺に対してだけはやたら商売上手である。
ともかく、これで目的のイルネスさんへのプレゼントのアクセサリーは作れそうである。前にアルクレシア帝国の建国記念祭で作った際には、イルネスさんは恋人ではなかったので作らなかったが……他の恋人には全員プレゼントしたのに、イルネスさんにだけ贈ってないのもアレなので、作ってプレゼントするつもりだ。
シリアス先輩「……恋愛経験値が上がったことで、自らイチャラブに繋がる行動を積極的に起こすようになりやがって……」