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2011/2397

公園デート⑤



 公園に新しい利用者が来たとは言っても、かなり広い公園だしあまり関係は無い。たまたま俺とイルネスさんが入り口の門が見える位置にいたので来たのが見えただけで、もっと奥にいたら気付かなかったぐらいだろう。

 実際空飛ぶ絨毯に乗っていた貴族らしき方々は、こちらを見て軽く会釈してきたのでこちらも会釈を返しておいたと、本当にそれだけである。


 しかし、最初にクロとデートした時は少女と言っていいほどに体の小さなクロとデートしているのを、街の人に見られてどう思われるのかと気になったのを覚えている。イルネスさんはクロよりもさらに小柄ではあるが、いまとなってはそういったことはまったく気にならない。

 というか、俺とイルネスさんの身長差はむしろこの世界では、あまり差が無いというレベルである。実際に街中とかでも身長が1メートル以上違ったりするカップルを見ることも多い。

 アハトとかティアマトさんとか、かなり大きな種族の方もいるわけだし、実際の身長さというのであればそれこそ数十メートル差とかもあるのかもしれないが、5m以上の体躯の魔族とかは大抵町では人化の魔法を使っているのでそこまでの身長差を目にすることは無い。


 まぁ、あのメギドさんですら街中で行動するときは人化してるわけだし、暗黙の了解みたいなのがあるのだろう……いや、メギドさんは巨大な姿でウロウロしてることもあったな。じゃあ、その時の気分かもしれない。


「そういえば~カイト様の居た世界ではぁ、公園ではどのようにして過ごすのですかぁ?」

「ふむ、公園での過ごし方ですか……」


 それは本当になんとなくの質問だったのだろう。こうして公園で過ごしていて、異世界でも同じようなものなのかと気になって聞いてきた。うん、なにも不思議ではない……だが、しかし……困ったことに俺にとってはこの質問はなかなか難易度が高い。

 いまでこそ……というか、こちらの世界に来てからは友人や知人も増えて、恋人もいるし交友関係はかなり広いと自負しているが、この世界に来る前の俺はそこそこのエリートぼっちであり、なんなら友人と呼べる相手が居た覚えもない。


 ……いや、小学校の頃はちゃんと結構友達もいたんだが、俺は両親が事故で亡くなってから親戚に引き取られた関係で、住んでる場所が変わったため中学校で友人関係は一度リセットされているわけだ。

 そして中学以降の俺は他人を避けていたというか、いろいろ投げやりな感じになっていたので新しく友人ができることは無かった。高校でも同じでよく話しかけてきていたのは、昌ぐらいだったし……それも基本的に授業中寝ていたことに対する注意だった。


 まぁ、そんなわけで誰かと公園で遊んだりとか、そういう経験に関しては小学校のころまで遡ってしまう。


「……そ、そうですね。キャッチボールとか……」


 そう、必死に絞り出して出てきたのが、父さんと昔一回だけやったことがあるキャッチボールだった。


「キャッチボール……たしか~ヤキュウという球技でしたかねぇ?」

「あ、はい。正確にはその練習のひとつみたいな感じですかね? というか、そういえばこの世界って野球は無いんですね。バスケットはあるのに……」


 記憶を探るように呟くイルネスさんの言葉を聞き、そういえばこの世界で野球って見たことが無いという考えに至った。

 バスケットボールは以前トーレさんたちと参加したイベントでやってたし、フリースローみたいなのもあったので見る機会は……あれ?


「いや、でも、六王祭で的当てがあったような……」

「一応ヤキュウという球技自体は~存在しますよぉ。ただ~かなりマイナーですねぇ。バスケットもそうですがぁ、あの手のスポーツは~種族差の影響が大きいのでぇ、イベントなどで見るぐらいですねぇ」

「……あ、そっか、なるほど……そりゃ、種族によって身長や体格も違いますし、人族に限定したとしてもドワーフ族とか小柄な種族とかも居ますし、その手のスポーツを大々的にってのは難しいかもですね」


 言われてみれば納得である。魔法を抜きにしたとして、そもそもが巨大な種族とか筋力が凄い種族もいるわけだし、公平に競い合うのはかなり難しいと思う。それこそルールとハンデとかギチギチにしないと厳しいだろう。

 あ~そういう背景があるからWANAGEとか魔法バトルみたいな感じで個人戦のスポーツがメジャーだったりするのかもしれない。


「せっかくですしぃ、カイト様とキャッチボールをしてみたいのですがぁ……道具が無いと難しいですかねぇ?」

「あ~そうですね。ボールさえあればなんとかなりますが……いや、グローブもあったほうが……うん?」

「おやぁ?」


 キャッチボールをしてみたいというイルネスさんの要望だったが、グローブもボールも無くてどうしようかと思っていたら直後に俺たちの前にグローブとボールが出現した『気の利く超絶美少女より』と書かれているので、アリスが用意してくれたみたいだった。




シリアス先輩「超エキサイティングバトルスポーツが流行ってる背景にそんな事情が……」

???「まぁ、多種族が共存してる世界なので団体競技は難しめってのはありますね。やっぱり、個人か少数での競技の方がメジャーになりやすいですね」

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― 新着の感想 ―
だめだぁ…「超エキサイティング」をみてバトル◯ームが浮かんじゃったぁ… それはそうと、甘くなるのかなぁ…?
[一言] まあ確かにボスクラスが投げたら快人が打とうにもバットは状態保存で保持しても腕もげそうだし致し方ないか
[一言]  公園での定番の遊びだと、快人さんの言ったキャッチボール、バドミントン、フリスビーとか、複数人なら鬼ごっことかかな?  へぇ、野球はマイナーだけど存在自体はしてるんだね。あー、なるほど種族…
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