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2006/2396

カフェデート⑤



 高級カフェは大変すばらしかった。ケーキも紅茶も美味しかったし、店内の雰囲気も良かった……ただ正直、俺にはちょっと早かったかもしれないというのはある。

 喫茶店とかのようにゆっくりとしようという感じにはならず、ケーキを食べ終えると割とこう、なんというか落ち着かない感じだった。高級店オーラにやられているせいかもしれないが、変に背筋が伸びるというか、そんな感じである。

 貴族とかはこういう雰囲気の中で穏やかに過ごすのに慣れていたりするんだろうか? 分らないが、俺個人の感想としてはこのレベルの高級店じゃなくて、そこそこお洒落な感じのカフェの方が気楽だなぁというのはある。


 大金は手にしていても感覚は庶民ということだろうか、大金を使う趣味が無いのもその辺が関係している気がする。まぁ、そもそも初めて高級カフェに来たわけだし、何度か来ていると慣れてくるのかもしれないが……そんなわけで俺とイルネスさんはケーキを食べて、紅茶を飲み終えた後は雑談もそこそこに店の外に出た。


「……目的のカフェには行き終えましたが、このまま戻るのはもったいないですし、このままどこかに行きませんか?」

「はいぃ。喜んでぇ」

「イルネスさんは、どこか行きたい場所とかありますか?」

「そうですねぇ、実は~この近くに少し興味のある場所がありましてぇ、カイト様さえよろしければ~そちらに向かいませんかぁ?」

「ええ、大丈夫です。行きましょう」


 カフェでの飲食は終わったが、せっかくのデートなのでこれで終わりというのももったいなかったので、このまま他の場所に向かうことを提案して、イルネスさんもそれを了承してくれた。

 どこに行こうかと考え始めたばかりだったので、イルネスさんの方に希望があるのは正直ありがたい。でもこの辺りということは、高級店なのだろうか?


「この近くなんですか?」

「はいぃ。本当に~すぐそこですよぉ。もう少し歩けばぁ……見えてきましたねぇ。あちらですぅ」

「……え? なんですかあの大きな門?」


 イルネスさんのすぐ近くという言葉の通り、少し歩くとすぐ目的の場所には到着した。だが、歩いて行く先に合ったのは大きな塀と門……店という雰囲気ではなく、それこそ貴族の屋敷でもあるんじゃないかという雰囲気の門である。


「……えっと、イルネスさん? ここは?」

「ここは~公園ですよぉ」

「え? 公園? この門の先にあるのが……ですか?」

「はいぃ。こちらは~入場料を払って利用する公園でしてぇ。この高級店街に買い物に来た貴族などがぁ、休憩する際などに利用する場所ですぅ」

「ああ、なるほど……だから門が……」


 入場料が必要な自然公園という感じだろうか? 門が大きいのは、馬車で入ったりもできるようになっているからかな?

 確かに貴族とかが利用するなら、だれでも立ち入れる状態というのは望ましくないだろうし、こういう形になるのも納得である。


 こういう場所もあるのかと感心しながら門の脇にある建物に移動して、入場券を購入する。入場料は100R……日本円にして1万円である。公園への入場料と考えるとかなり高額だが、貴族や富裕層が利用するセキリュティのしっかりした休憩所と考えると、そのぐらいの値段になるのかもしれない。

 たぶん公園全体に侵入者を察知する結界や転移阻害の結界などが張られているだろうし、門などの警備も考えればある程度高額になるのもしかたないのだろう。


「なんか、ちょっとワクワクしますね。どんなところなんだろうって……」

「この公園は~王城の庭園を手掛けた方がぁ、かなり拘って作成したらしいですよぉ。シンフォニア王国の絶景100選にも選ばれていますねぇ」

「……そういう雑誌があるんですか? 絶景100選とか、かなり興味がありますね」

「出たのは~ごく最近ですよぉ。セーディッチ魔法具商会によって~記録魔道具が販売されだしてから出たものでぇ、いまはいくつかの商会で注文して購入する形で~本屋などには置いていませんよぉ。かなり~高価な品ですからねぇ。お嬢様が~所持していますのでぇ、興味があれば借りることもできるかと思いますぅ」


 なるほど、写真が本などに使われるようになってから作られた本で、しかも写真をふんだんに使っているからだろうが高価で現在は受注生産限定と……どうりで知らないわけだ。

 興味があるし、リリアさんが持っているのであればまた見せてもらおう……いや、自分買うという手もあるか……また今度調べてみよう。


「最近出た本なら、天空城とかも入ってそうですね」

「天空城は表紙にも載っていましたよぉ。他には~リグフォレシアの精霊樹の森なども選ばれていましたねぇ。あと~ごく最近のもので言えばぁ、ファーレンの教会も選ばれていましたよぉ」

「光永くんが領主の地域ですよね? そういえば、シロさんからブーケを貰ってそっち方向に力を入れていくって言ってましたし、その成果ですかね」


 う~ん、これは本当に一度そのシンフォニア王国の絶景100選を見てみたい。というか、もしかしてシンフォニア王国以外の、アルクレシア帝国とかハイドラ王国のものもあるんじゃないかな? あるなら、出来れば全種類購入したいところだ。




シリアス先輩「冷静に考えてみてほしい。タイトルはカフェデートなわけで、もうカフェの話が終わったならこれで終了して家に帰っても問題ないはずなんだよ。プライベート感が強い公園に二人で行く必要とか、無いわけで……そうなるともうただのデートであるからして……」

???「じゃあ、次回からタイトルが公園デートに変われば万事OKですね」

シリアス先輩「違う、そうじゃない……」

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― 新着の感想 ―
[一言] 光永くん...せっかく名前が出てきたのに、この感じだと登場はまだしばらく先だな?
[良い点] どんだけお金が舞い込んできても節度を守ろうとするのはさすが。 [気になる点] 関係が進展したから、イルネスは素性(幻王配下No.2)を明かすのかな。 いや、快人のためにならないとか言ってた…
[一言] 更新お疲れ様です!連続で読みました。 イルネスさん達のデートが進み高級なカフェの所に入る! イルネスさんが上品な食べ方をしてる中イルネスさんの要望が可愛いw そして凄そうな公園の所で休憩して…
感想一覧
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