カフェデート③
今回行く予定の高級カフェは、六王祭に行く際の服や光永くんの結婚式の際に礼服を買ったりした店のあるエリアで、周辺は貴族御用達の店ばかりが立ち並び、道からして綺麗に整えられた石畳といった感じで通り全体に高級感が溢れているエリアだ。
銀座の高級店街とかそんな雰囲気と言っていいかもしれない……俺、銀座の高級店街に行ったことは無いので完全にイメージだけど……。
「この通りって、意外と来ることは少ないんですよね」
「そうですねぇ。高級品が多いのでぇ、フラッと立ち寄るには向いていませんねぇ。ある程度行く店や~買う商品を決めて来るような場所だからかもしれませんねぇ」
「あ~それはありますね。ウィンドウショッピングするには雰囲気が違うというか、確かにある程度買うものを決めてから来るような場所って感じはありますね」
別に入ったらなにかを購入しなければならないというわけでもないのだが、気軽に立ち寄りにくい高級店オーラというのは確かにある。
実際こういう店に来るのは富裕層がほとんどだし、逆にフラッとウィンドウショッピング目的の客が来たりしない方が店内の雰囲気が保てていいのかもしれない。
「カイト様ぁ、もう少し歩いたところにぃ、ニフティの店舗が建つ予定の場所がありますがぁ、せっかくですし~少し見ていきますかぁ?」
「あ、いいですね。確かに、狙ったわけじゃないですがカフェに行く道を少し調整すれば見れますね」
偶然にも目的のカフェに向かう道を少しズラせば、ニフティの店舗建設予定の場所を見れる。実際店舗はカナーリスさんが作るので1日かからず建設できるので、アニマやキャラウェイと内装の調整をギリギリまで行ってから建てる予定らしい。
少し歩いて建設予定の場所に来ると、かなりスペースがありまた景観的にも王城がよく見えるし、大きな通りのすぐ近くでありつつも、馬車用の道からは少し離れているという絶妙の場所だった。
「……これはかなり居場所ですよね。位置的にかなり目を惹きますし、周囲の景観もいいですね」
「はいぃ。かなり~よい場所を用意してくれたみたいですねぇ」
「ですね。そういえば、イルネスさんはネピュラといろいろな物を作ってるみたいですけど、最近はどんな感じですか?」
「そうですねぇ、最近は~ガラス細工にも挑戦してみましょうかという話がぁ、出ていますねぇ」
「ガラス細工、ですか……それはまた、凄そうですね」
木工品、陶磁器ときて次はガラス製品に着手するみたいだ。ネピュラとイルネスさんなら凄いものを作るだろうし、ガラスのコップとかもいいなぁ。アイスティーとか冷たい飲み物は、ガラスの容器が合ってるように感じられるし、作って余ってる品があったらまた使わせてもらおう。
「いままでも~そういい話自体は出ていたのですがぁ、ガラス製品を作るとなると~かなりスペースを使いますしぃ、製造過程において有害物質が出たりしますのでぇ、裏庭で製造するのは難しいだろうと保留していましたぁ。ただ~カナーリスさんがぁ、専用の空間を作ってくださるという話でしてぇ、それならばと~ネピュラと相談しているところですねぇ」
「なるほど、確かにカナーリスさんなら製造用の空間を作ったりもできますね。そうなるといままで作るのを諦めていたような、大型のものとかも作れるかもしれませんし、夢が広がりますね」
「くひひ、そうですねぇ。大きな作品を作ってみるのも~面白いかもしれませんねぇ。最近は~すっかり物作りが趣味のようになってしまっていますぅ」
「いいじゃないですか、イルネスさんとネピュラの作る品はどれも凄いですし、俺もいつも見せてもらうのを楽しみにしてますよ」
「それなら~よかったですぅ」
イルネスさんとネピュラはよく作成した品を見せてくれたり、プレゼントしてくれたりするので俺もかなり楽しみにしている。なによりイルネスさんもネピュラもとても楽しそうなので、見ているだけでも微笑ましく感じるし、本当にいいことだと思う。
「ちなみに、ガラス製品を作れるようになったら、イルネスさんはなにを作りたいですか?」
「そうですねぇ。最初は~花瓶を作ってみたいですねぇ」
「いいですね。ガラスの花瓶は綺麗ですし、イルネスさんが好きな薔薇を飾るのもいいかもしれませんね」
「はいぃ。最初に花瓶を作ったらぁ、薔薇の花と一緒に~カイト様に贈りたいのですがぁ、受け取ってくださいますかぁ?」
「え? 最初の作品を俺がもらってもいいんですか?」
「はいぃ。一番に~カイト様に貰ってほしいのとぉ……カイト様のことを考えながら~花瓶を作れたらぁ、それはとても幸せだろうという私の欲もありますぅ」
「なるほど……じゃあ、イルネスさんさえよければ是非」
幸せそうに笑うイルネスさんを見て、俺も思わず笑顔になる。なんというか、少し現金ではあるが……イルネスさんとネピュラがガラス製品を作る日が来るのが、より楽しみになった気がした。
シリアス先輩「……3本だろ……3本の薔薇と一緒に贈るんだろ……くそっ……未来が甘い」
???「未来が甘いとかって、謎の表現止めてもらえます?」