カナーリス⑨
台風で帰宅が遅くなったのでやや短め、皆さんもお気をつけて
カナーリスさんの件についてアニマやキャラウェイにも相談したところ、問題ない……というよりは、ふたりもあちこち伝手を辿って人材を探していたのだが、見つからずに困っていたという状況だったみたいでむしろ歓迎された。
「三国同時展開という性質上、転移魔法での移動ができたほうがいいですし……例えばアカネ殿のような人材であれば適任ではありますが、彼女は商会長なので頼むわけにもいきませんしね」
「三国にいずれかに所属してる人に任せると、それはそれでトラブルの元になりかねないですし、人界三国のいずれにも属さない方ってのもありがたいですね」
やっぱり俺が考えていたように転移魔法が使えることは必須、最悪転移魔法具を買って貸し出すという手もあるが、高価なものだけに難しい。
そう考えるとキャラウェイの言う通り、三国のいずれにも属さない異世界からの来訪者であるカナーリスさんは適任と言える存在だった。
「いやはや、期待を寄せていただけてありがたいですね。たはぁ~都合のいい人材でよかったです。期待に応えられるように頑張りますね」
「性質上三国を行き来するような形になるので、忙しくなるかもしれませんが……」
「え? あ、いえ、別にそれは『三店舗同時に存在しておけばいいだけ』ですし、さほど問題はないですよ。自分、いちおう全能級ですので、複数個所に同時に存在するとか割と余裕だったりするわけです。たはぁ~これで表情筋が死滅してなければ、接客も自分でして給料総どりを決めれたんですが、なかなかうまくいかないですね。あっ、創造ありなら愛想のいい店員も作れますよ。シャローヴァナルに許可とる必要はありますが……たはぁ~基本なんでもできると思っていただけてOKです」
あまりにも常識的な方なので忘れがちになってしまったが、カナーリスさんは全能神であり、本当に俺たちが想像できるレベルのことは実現可能である。
三国の店舗に同時に存在していたり、店員を創造したり……全部カナーリスさんひとりでいいんじゃないかレベルには実行可能である。
「……カナーリス殿、例えば……三国同時に店舗を作ったりすることも可能。つまり、三国にまったくタイムラグなく同時に開店ということもできるという認識で構わないでしょうか?」
「まったく問題ないですよ。生物を創造するのであればこの世界の神であるシャローヴァナルに許可を取るのが礼儀ですが、建物とかなら事前に契約を結んでるので自由に想像できますよ。あっ、素材とかに縛りはありますけどね。というか、ある程度デザインの要望を教えてもらえれば、亜空間作ってそこに仮組って感じに創造しますよ」
「……アニマ、これ、ほぼコストゼロで開店できるんじゃ……」
「ああ、キャラ、自分も同じことを思っていた。さすが全能級の神……さすがご主人様が連れてきた人材だ」
とりあえずカナーリスさんは十分すぎるぐらいに有能極まりないので、紅茶ブランドの店舗開店は問題なさそうだ。
ここにオープンしてくれとかって要望にも応えられそうだし、ライズさんたちに一度手紙を送って、どこに店を建てればいいかを確認したほうがよさそうだ。
シリアス先輩「店舗責任者(全能)……肩書のパワーが強すぎる」