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カナーリス③



 カナーリスさんから衝撃の事実を聞きはしたが、とはいえカナーリスさんのようにあちこちの世界を旅しているのならともかく、普通に自分の世界を管理している神が簡単にこっちに来たりはできないだろうし、あんまり深く考える必要はないかもしれない。

 マキナさんは元々俺が居た世界の神で、シロさんとも以前から知り合いだったという特殊な例だし、世界創造の神たちがシロさんを恐れているなら、本当にわざわざ俺を見るためだけにこの世界に来ることは無いだろうしきっと大丈夫。


 そんなことを考えつつ移動して応接室に到着し、カナーリスさんに座ってもらう。するとそのタイミングでイルネスさんが紅茶を持ってきてくれて、俺とカナーリスさんの前に紅茶と茶菓子を置いて一礼して退出していった。


「……それで、本題なんですけど、カナーリスさんは今日はどんな用件で来たんですか?」

「いちおうメインとしては、快人様に本当の名前で改めて自己紹介と挨拶にって感じですね。おっと、快人様の言いたいことは分かりますよ。パーティではわざわざ偽名を名乗ったのに、なんで二回目に会った時はあっさり本名を名乗ったのか……まぁ、本当に端的に行ってしまえば、自分の抱えていた問題が解決したからですね」

「問題ですか?」

「ええ、そうですね。う~ん……ちょっと長くなっちゃうかもしれませんが、自分身の上語りいいですか?」

「大丈夫ですよ。俺も興味がありますし、カナーリスさんがいいのであれば……」


 やっぱりというべきか、最初に抱いた通りカナーリスさんはいい人で間違いないと思う。先程も俺が神々の間で噂になっていることや、シロさんが恐れられているという話をするのに事前にこちらを気遣うような断りを入れたり、いまもこうして確認してくれている。

 なんというか、同じ世界創造の神であるシロさんやマキナさんと比べて常識的というか、強引さが全然ないのでどうにも全能級の神であるというのを忘れてしまいそうになる。


「まずは先に言った通り、自分はいちおう世界創造主って感じで自分の世界を作ったことがあるんですよ。ただ上手くはいかないもので、いろいろあって自分の世界は滅亡の危機を迎えてしまいまして……たはぁ~管理が下手くそで申し訳ない! それで、自分が心から尊敬していた滅茶苦茶凄い神が、己の身を犠牲にして自分の世界を救ってくれたんですよ。いや、当人は犠牲になったとか思ってないでしょうし、言うと怒られると思うので、これに関しては内密な感じで……」

「な、なんか、いきなりすごいスケールの話ですね」

「たはぁ~自分これでもいちおう全能級ですし、ビックな女なわけなんですよ。あっ、地理的にではないですよ、物理的にビックな世界創造主とかもいますが、自分はスレンダーさを売りにしてます。おっと、失礼脱線しましたね」


 相変わらず口調はコミカルだし、声も明るいのだが例によって表情はピクリとも動かないし目に光も一切ない。ただなんか、割とこの雰囲気に慣れてきた気もする。


「で、まぁ、いろいろ後悔というか自己嫌悪とかもしまして、なにより自分には世界を管理する手腕はないなぁって感じで、仲の良かった世界創造主に自分の世界を管理してもらえるようにお願いして、自分はいろんな世界を渡る旅人みたいになったんです。たはぁ~風来坊ってやつですね!」

「なるほど、多分俺には想像もつかないぐらいの長い年月なんでしょうね」

「そうですね。本当にいろいろな世界を旅しましたので、自分ちょっと別世界には詳しいですよ。まぁ、そんな放浪自慢は置いておいて、元の話に戻りますが……まぁ、その、自己嫌悪というかそういう気持ちが強くて、無意識に自分の本名を名乗ること避けてたわけなんです。あっ、ちなみにその時の一件で表情筋も一斉退職しました」


 本人は明るい口調で語っているが、なかなかに重い内容である。簡単に纏めてしまえば、尊敬する相手を己の身代わりのような形で死なせてしまって、後悔と自己嫌悪から本名を名乗るのを避けるようになり、表情も空虚なままで変わらなくなってしまったと、そんな感じだろう。


「……あれ? でも、今回本名を名乗ってくれたってことは、なにか心境の変化があったんですか?」

「そうですね。実は私の尊敬する方が復活……というか、生まれ変わりみたいな感じになってまして、再会して話ができたことで、いろいろ吹っ切れた感じですね」

「なるほど……あ~えっと、違ってたらすみません。カナーリスさんってもしかして『ネピュラが神様だったころ』の知り合いの方とかだったりするんですか?」

「…………おかしいですね。その辺り大変デリケートな話だと思って、自分かなり誤魔化し気味に話したというか……自分の想定であれば、ここで快人様が、それ知ってる的な反応を返してくるはずが無いんですけど……あれぇ?」


 表情は変わらないままだったがカナーリスさんはかなり戸惑った声色で、大きく首をかしげていた。




シリアス先輩「いや知ってんのかよ!? あ~でも、そうか……もしかして、親馬鹿MAXにしてもネピュラ関連はスルーしすぎだろと思ってたが、ネピュラが格落ちした神で準全能級って知ってたから……ネピュラならそれぐらいできるだろう的な反応だったのか……?」

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― 新着の感想 ―
おっと、風向きが変わってきたぞ
[一言] 気付いてたんかワレェ
[良い点] え、知ってたんだw
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