ネオ・ベビーカステラブレンド⑲
フェイトさんはしばらく俺に甘えて満足したみたいで、再び宙に浮かぶクッションを出現させてその上に乗る。そして、なぜか俺の前にも同じクッションを出現させた。
「カイちゃん、それに乗って~」
「うん? 分かりました」
普通に歩いて移動でも問題はなかったが、特に提案を断る理由も無いのでフェイトさんの言葉に従って目の前のクッションに乗る。
クッション自体は柔らかく座り心地はいいが、大丈夫だとは分かっていても宙に浮かんでいるのはちょっと不安になる。いや、本当に落ちたりすることは無いんだろうけど……。
「じゃ、しゅっぱ~つ」
「……おぉ、これはちょっと面白いですが、なぜこんな移動を?」
フェイトさんの掛け声とともにクッションが動き出し、ちょっとしたアトラクションを体験しているような感じがした。それはそれで楽しいのだが、なぜこの移動方法なのかが気になって尋ねてみた。
「ああ、ほら、私の部屋ってさどこでもすぐ寝転がれるようにクッションだらけにしてるから……そもそも歩いてはいることを想定していないというか、普段の私の状態で使いやすい感じにしてるからね~」
「ああ、なるほど……」
思い浮かぶのは初めて神界に来た際のことで、フェイトさんの神殿を訪ねた際に少しフェイトさんの部屋……というか大きな広間が見えたのだが、その時は本当にクッションの海のような感じになっていた。
もっともその時は慌てて片づけをしていたのだが、いまは特にそういいう見栄を張ったりする気はない様子で、クッションの海である部屋に案内するつもりらしい。
そのまま宙に浮かぶクッションで移動して、フェイトさんの部屋の扉も開かないまま扉をすり抜けて中に入ると、本当にびっしり……床が見えないほどに大量のクッションが出迎えてくれた。
「……なんか、こうしてみると壮観な光景ですね。というか、そもそもなぜこんな状態に?」
「これはね~いつでもどこでも寝転がれるようにこうしてるんだよ」
「フェイトさんらしいというか、なんというか……」
「それにこんなこともできるしね。とりゃ~!」
ゆるい掛け声を共にフェイトさんは宙に浮かぶクッションから、クッションの海へとダイブした。あっ、それはちょっと面白そうというか、結構魅力的な感じである。
「こんな風にクッションに飛び込んだりもできるんだよ」
「それはちょっと、楽しそうですね」
「でしょ? ほらほら、カイちゃんもジャンプするんだ! 大丈夫、床にぶつかったりすることは無いよ」
なんとなくボールが敷き詰められた子供向けの遊具を思い出すというか、実際フェイトさんのダイブを見てから、俺もクッションの海に飛び込みたいという気持ちはあったので、フェイトさんの提案はありがたい。
まぁ、宙に浮かぶクッションがそこそこの高さに浮遊しているのでちょっと躊躇してしまいそうになったが、そこはフェイトさんの言葉を信じてダイブすることにした。
「じゃ、じゃあ、いきますね。よっ! うぉっ!?」
クッションの海にダイブすると、想像していたよりも弾力のある感触で、トランポリンとまではいかないが俺の体が反動で浮くくらいの弾力はあった。
そして、なんか変な跳ね方をしたみたいで斜めに体が跳ねていったこと思うと……そのままスポッとフェイトさんに抱き留められた。
「えへへ、ピッタリ狙い通りの位置だね、きゃっち~」
「へ、変な跳ね方でびっくりしたと思ったら、フェイトさんがなにかしたんですか?」
「跳ね方の調整ぐらい簡単だからね~私の方に飛んでくるように調整したんだよ。怪我とかしないようにちゃんとキャッチしたでしょ? それにほら、私胸大きいし、感触はいいと思うんだよね~」
「それは、まぁ……否定はしません」
実際フェイトさんの胸に頭を抱かれるような形で受け止められて、その感触は本当に素晴らしいものがあった。いや、フェイトさんはブラジャーとかをつけていないので胸の感触は本当に柔らかさがダイレクトに伝わってくる感じだ。
あの大きさで、ブラジャーなしで垂れたりせずにしっかりした形を保っているのは、流石神というべきか……いや、まて、何考えてるんだ俺? ちょっと混乱してるかも……。
「おっ、カイちゃん照れてる~ふふふ、カイちゃんも好きだね~。ほらほら、この胸はカイちゃんのものだよ~」
「ちょっとフェイトさん、なにを変なことを……」
「え~事実なのに?」
そういって悪戯っぽく笑うフェイトさんは本当に可愛らしく、なんというか顔が熱くなるのを自覚した。
シリアス先輩「ひゅっ……ず、ずず、随分と……服の下の事情に詳しいじゃないかプレイボーイ……も、もう終わりでいいんじゃないかな? コーヒーの話にもどろ? ね?」