ネオ・ベビーカステラブレンド⑭
シアさんとコーヒーを飲みながら雑談していると、話はしだいに神族に関するものに移り変わっていった。
「そういえば、カイト。中層にはあまり来たことが無いと言っていたな?」
「ええ、普段は上層か神域にしか行きませんし、白神祭以来ですね」
「ふむ、そういえば最高神様やシャローヴァナル様と知り合いの割には、上級神の知り合いは少ないんだったか……この前のパーティに呼んでいたのが、全員か?」
「ええ、俺が会ったことがある上級神は、シアさん、スカイさん、ガイアさん、マリンさんの四人ですね。あくまで会って挨拶をした相手に限定するならですね。見たことだけならある方もいます」
シアさんのいう通り、俺は上級神の知り合いは少ない……というかもっと言えば、下級神の知り合いはさらに少ない。
そして言われてみれば、本来は会うことが難しいはずの最高神やまず知り合いえない創造神と知り合いで、上級神や下級神の知り合いが少ないというのも奇妙な感じだ。
爵位級の知り合いもそんな感じで、男爵級と子爵級の知り合いが少ない。アリスが俺の交流関係が偏ってると言うのも頷ける。
「……閃光神や、思念神は?」
「会って話をしたことは無いですね。リリアさんの屋敷の庭とかに上級神が集合している姿とかは見たことがありますので、会えば見覚えがあるかもしれませんけど……」
「なるほどな……生命神様の補佐ふたりと直属ひとり、運命神様の補佐である私……時空神様の直属に知り合いはゼロか、偏ってるな」
「前々からきにはなっていたんですが、シアさんみたいな最高神の直属の部下ってどのぐらいいるんですか?」
ここで言う最高神直属というのは、上層に住むことを許されている神たちのことであり、そういう存在がいるというのは知っているが、どのぐらいいるのかは知らない。
そんな俺の疑問を聞いて、シアさんは軽く頷いたあとで説明をしてくれる。
「基本的には各最高神につき五人だ。ただその五人の中でも役割が違う。まずふたりは最高神様の補佐、直接最高神様から指示を受けたり仕事を補佐したりと権限が多い。この補佐は各最高神にふたりずつ付いている。生命神様には天空神と大地神、運命神様には私と幸運神、時空神様には閃光神と思念神が補佐としてついていて、残る三人の直属は下級神や他の上級神たちと、最高神様の伝達役とでもいうべきか……最高神様が割り振った仕事を各神に伝達したり、報告などを纏めて最高神様の元に届けたりといった感じだな」
「ふむふむ、立場的には補佐の方が上って感じですかな?」
「いちおう名目としては、補佐が最高神様に次ぐ立場ではあるが、実際に直属五人に大きな立場差や発言力の差などは無い。ほぼ対等みたいなものだ」
そういえば以前に少しだけ聞いた話であるが、基本的に上級神と下級神は最高神の誰かを上司として割り振られている。
会社とかに当てはめると、最高神それぞれが部署のトップ……部長とかのポジションで、シアさんやスカイさん、ガイアさんといった補佐の人たちが課長……残る直属の三人が係長とかそんな感じなのかもしれない。
「ということは上層に住んでいる上級神は、シアさんも含めて15人ってことですね。じゃあ、またそのうち知り合う機会がありそうですね」
「……まぁ、お前なら早々に全員と知り合ったとか言ってきても驚かない。運命神様の直属に関しては、興味があれば私に言えば紹介してやる」
「ありがとうございます、その時はぜひお願いします」
魔界に比べて神界の知り合いは少ないので、実際シアさんの言う通り他の上級神と知り合ったりするのも楽しそうである。
あと、上級神ではないが、たびたびなんか苦労してそうな豊穣神さんがどんな方かは、ちょっと興味がある。
シリアス先輩「おっと、どこかの胃痛戦士の胃が軋む音が聞こえた気がするぞ……」