船上パーティ㊾
最後の余興であったビンゴゲームも終わり、いよいよパーティも終盤である。俺も挨拶回りはすべて終わっているので、あとは最後にパーティ終了の挨拶をするぐらいである。
まぁ、挨拶とはいっても今日はありがとうございました。また機会があればよろしく的なことを言うだけであり、あまり長々話すわけでもないので問題ない。
会場内を見て見ても、終了が近いことを察しているのかまったり歓談ムードという感じではあるが、よく見ると自然とそれぞれの陣営の場所に戻っている人が多い。
しかし、それにしても、貰った魔導船を何とか活用したいと考え始めたところから随分規模の大きなことになったものだ。
結構慌ただしかったけど、あれやこれやと忙しく動き回るのもなんだかんだで楽しかった。いや、こういうのを定期的に開催すると大変だろうが、ごくごく偶にお祭り気分でやるのは楽しいので、またしばらく期間が開いて気が向いたらパーティの主催をしてもいいかもしれないと思えるぐらいには楽しかった。
特に大きな予想外の事態もなく、なんだかんだで結構平和に進行できたし……。
(快人さん、相談があります。地球神と相談して、今回のパーティの礼ということで少しプレゼントをしようかと思うのですが、どうですか?)
……え? このタイミングで? しかもエデンさん……もといマキナさんと連名でなんかやる? それ、大丈夫なやつですか? 大騒ぎになるようなことになるんじゃ……。
(問題ないとは思います。単に少し花火でもあげようかという話になっただけなので、我々であれば準備などは必要ありませんし、地球神曰く日本の伝統的な花火を用意するつもりなので、こちらの世界のものとは少し雰囲気が違うと言っていました)
なるほど、まぁ、起源とかは全然知らないのだが花火は日本の文化ってイメージも強いし、この世界にも過去の勇者役から伝わったのか花火は存在するのだが、種類はあまり多くないような気がした。
今回のパーティは日本料理とかも出してて、結構異世界の文化的なテーマというかそういうのもあるし、締めに花火というのも悪くはないかもしれない。
(快人さんも好感触なようなので、それでは花火を『十万発』ほど……)
待ってください!? 数、数がおかしい!! 十万発なんて終わるまでにどれだけ時間がかかるか分かったもんじゃないですし、パーティの時間も考えて20~30分程度で終わる量にしてください。
(なるほど、分かりました)
あと、進行とかしてるキャラウェイにも話を……ああ、いや、キャラウェイとかアニマじゃシロさんにいきなりそんな話を振られたらパニックになるか……。
えっと、俺が進行に回る? でもとっさに上手い感じに話を進められるか……。
「……アリス、事情把握してる?」
「聞いてたわけじゃねぇっすけど、シャローヴァナル様とマキナがなんか話してたので注意はしてました……ちょっと記憶覗きますね。ああ、なるほど……じゃ、私が進行しますよ」
「助かるよ、ありがとう」
「まぁ、あの神どもにしては大人しくしてる範囲といえるので、このぐらいの予定外はマシと思っときましょう」
本当にアリスは頼りになるというか、サッと俺の記憶を見て状況を察してすぐに対応してくれるので、本当に心強い。今回のパーティだと結構いろいろしてもらってるので、さらに追加して申し訳ないのだが、アリスが進行を買って出てくれて一安心である。
そしてほどなくしてアリスの方からキャラウェイやアニマには話が通ったのか、ステージ脇で終了時期の確認をしていたと思わしきキャラウェイが奥に引っ込むのが見えた。
そして少ししてキャラウェイが拡声魔法具を持って壇上に上がったのだが……たぶん、変身魔法で姿かえてるアリスだ。
『皆様、パーティもまもなく終了の時間となりますが、その前にサプライズではありますがひとつ予定にはない催しを追加させていただきます。今回のパーティを記念しまして、この世界の神たるシャローヴァナル様、異世界の神たるエデン様両名のご厚意により、いまより約30分ほど会場に花火が上がります。こちらの窓からでも見学いただけますが、よりしっかり見たいという方のため、一時的にデッキを解放しますのでそちらでの鑑賞をご希望の方は、そちらの扉付近にいますメイドの案内に従って移動してください』
話題にでた扉の方に目を向けると複数人のメイドが待機しているが……見覚えが無い顔ばかりなので、たぶんアリスの分体だと思う。本当になんというかあまりにも有能すぎる。
本当に助かったし、また今度お礼も兼ねて美味しいご飯でも奢ることにしよう。
シリアス先輩「ま、まぁ、あの神ふたりにしては、勝手にやらないだけマシともいえる」
???「もっと前に言ってこいって話ではありますけど、突発的に思いついたんでしょうね。まぁ、本当にこの程度ならマシなので……」