船上パーティ㊻
ジークさんと話した後もエデンさんの能力を頼りに挨拶回りを行い、それほど時間はかからずすべての挨拶回りを終えることができた。
パーティも終盤ではあるが、まだ時間は結構ある。さてこれからどうしようと思ったタイミングで、ステージ上にキャラウェイが上がるのが見えた。
『皆様、お楽しみの最中に再度失礼いたします。間もなく今回のパーティ最後の余興に移らせていただこうと思います。なお、その余興に関しましては幻王様が取り仕切ってくださるとのことなので、これより先は幻王様にお願いいたします』
そういえば、アリスが渡してきた余興の予定の最後の方に「ビンゴゲーム」って記載があった気がする。こういったパーティでビンゴなんてどうなんだろうと思ったのだが、アリス曰くこっちの世界ではあまりない文化なので新鮮で楽しめるだろうということらしい。
そんなことを考えていると、幻王の姿のアリスが壇上に上がり口を開く。拡声魔法具は持っていないようだが、アリスなら別にそんなものは無くても拡声魔法など簡単に使えるだろう。
『はいはい。では、進行を預かりまして、これよりちょっとしたゲームを行います。カイトさんを含めた異世界ではパーティなどで行われることの多い余興のひとつで、ビンゴゲームですね。知らない人も多いと思うのでルールを含めて説明します。異世界の文化に触れると思って楽しんでください』
そう前置きをした上で、アリスはビンゴゲームのルールに関して説明していく。まぁ、そんなに複雑なルールがあるわけではないので、簡単な説明だけで終わり続けて景品の紹介が始まる。
合わせてメイドの方々がビンゴカードを配って回っているらしく、俺も一枚渡される……わざわざ渡してくるってことは、俺も参加していいってことかな?
というか、景品……アリスが用意したんだろうか? いちおう余興にかかった費用はアニマに請求書を回してほしいとは伝えてあるが、アリスが自腹を切ってないかだけは後で確認しておこう。
『……あ~景品の説明の前に、一言二言……今回のビンゴゲームに因果律操作だとか運の操作だとか、事象の確定だとかその手のは禁止とします。いちおう会場にそういったものを防止する結界は張ってありますが、皆さん自重してください。ああそれと、それでもなんかやりそうな神どものために、根本的な対策もしてあります』
普通のビンゴではまずありえない注意ではあるが、この会場に居る人の半数以上が因果律操作だとか時空間魔法だとか、事象の決定だとかその手の反則級の魔法が使える方ばかりなので、ある意味では大事な注意かもしれない。
そして、対策用の結界とかでもすり抜けそうなシロさんやエデンさんに関しては、なんか別の対策を用意しているらしい。
『今回の景品は私が用意しました。カイトさんは一切関わってませんし、カイトさんに関する品もないです……おいこら、分かっちゃいましたしそれを狙ってましたけど、露骨に興味無くした感出すんじゃねぇっすよ神ども』
アリスの言葉を聞いて、シロさんは手に持っていたビンゴカードを脇に控えていたクロノアさんに渡しており、マキナさんもビンゴカードをテーブルの上に置いて飲み物を飲み始めていた。
うん、まぁ、確かにそのふたりは別に景品なんて貰わなくても、欲しければ自分で創造できる方々だし……まぁ、あのふたりが興味を無くしたのならある意味平和ではある。
『あからさますぎて若干腹は立ちますが、問題なく進行できそうなのでよしとしましょう。そして景品に関してですけど、一等だとか二等だとかって形式じゃなく当たった人から順に好きなものを選んでもらう形です。いちおう幅広く魔法具やら美術品やら装飾品やら用意しています。あと景品は市販されてるものがほとんどですけど、一部カイトさんの家にいるネピュラさんに作成協力を願ったものもあります。まぁ、景品に関してはステージ後方に展示しておくので見てください。選ぶ時間に制限は付けないので当たってから見ても問題なしです。ただ選んでる間もビンゴは進行していくので、数に限りのあるものは早い者勝ちですよ。まっ、そんな感じで行きましょう』
簡単な説明を終えると、キャラウェイやイータやシータが壇上に景品を並べていく。結構いろいろあるというか、転移魔法具っぽい巨大なのもある。かなり豪華景品が多そうなイメージだが、集まってるのが各界のトップクラスの方々ばかりなのであのぐらいは必要なのかもしれない。
あとなんか看板みたいなのが……えっと『景品一部提供協力、冥王クロムエイナ』……あ~クロが絡んでるのか、となると魔法具とかはその辺りからかな? アリスとクロは仲がいいし……なんか「クロさん、景品提供してください」「いいよ~」ぐらいの軽いノリで提供されてそうである。
シリアス先輩「確かに、シロやマキナを抑止するならこれ以上ないほどの対策。だから、快人を余興準備には関わらせなかったのか……」