表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1925/2399

船上パーティ㊹



 ジュティアさんと話を終えて、もういよいよ挨拶をする相手も少なくなってきたなぁとそう思ってつつ、次の場所に向かう。

 たどり着いた場所、視線の先には背が高く巨大な角が特徴的な女性と、翡翠色の髪の小柄な女性が居た……ティアマトさんとフェニックスさんである。

 あ~そういえば、挨拶がまだだった。決して忘れるような印象の薄い相手ではないのだが、無意識に避けていた可能性は否めない。


「こんにちは、ティアマトさん、フェニックスさん」

「おや? これはこれは、ミヤマカイトさん。こんにちは、素敵なパーティですね。人々の楽しげな声を聴いていると、世界には悲しみだけではないと実感できる重いです」

「これは、我が神ではありませんか! この度は招待ありがとうございます。我が神が催す祭典に参加できて光栄です」


 俺が声をかけると、ティアマトさんとフェニックスさんはごく普通な様子で言葉を返してきた。いや、別にこのふたりは常時暴走してるとかそういうわけではないので、特におかしいわけではないが……スイッチ入った時のイメージが強烈すぎて、まともな状態に若干違和感を覚えてしまう。


「……あれ? おふたりとも、お揃いのアクセサリーですか? ネックレスにしては若干武骨な気も……」

「ああ、これはアクセサリーではなく……なんでしょう? 一種の首輪、ですかね?」

「パンドラ様に付けられました。私たちが変なことをしようものなら、遠距離から即座に封印して海に捨てるとかって……私、痛いのは好きですけど封印は痛くなくて退屈なので嫌いです」

「パンドラ様は今回、シャルティア様の悲しいほどに鮮やかな一手で、我々十魔のお目付け役という任務を与えられているので……」


 ああなるほど、このふたりが大人しいというか、十魔が全体的に大人しいのはパンドラさんがにらみを利かせているからか……本来ならパンドラさん自身もプライベートでは暴走しがちなところがあるが、仕事に関しては真面目であるためそうして任務を与えておくことで、パンドラさんの暴走もケアできるのか……。

 凄いなアリス、アイツひとりで問題児の半分ぐらいを抑えきってるじゃないか……。


「仲良くなれそうな方も多いというのに、悲しいです」

「ティアマトの仲良くなれそうは、殺したくなりそうな相手ってのと同意語ですからね。私はまぁ、今回は快感を得る機会は残念ながらなさそうなので、その辺は我慢して普通にパーティを楽しんでます」

「異世界の料理はなかなか面白かったですね。私は普段黒い森からほとんど外に出ないので、異世界の文化に触れる機会があるというのは新鮮な気持ちでした」

「私としてはもう少し刺激の強い味が好みですが、ああいった素朴なものもたまにはいいですね」


 性癖を封印されたことで、ふたりとも普通にパーティを楽しんでくれているようで、ある意味では一安心と言える。

 まぁ、考えてみればティアマトさんもフェニックスさんも性癖がとにかく異常で、問題点はほぼそこ一点であるため、そこを封じられている状態だと比較的まともなのかもしれない。


「フェニックスさんは、辛みが強いものとか苦みが強いものが好きなんですか?」

「はい。というよりは、苦痛を感じられるものが好きです。気持ちいいので」

「な、なるほど……ティアマトさんは?」

「私は味付け自体にこれといった好みはありませんが、肉類を好んでいますね。ストライプフロッグなどが好きです」


 ……ストライプフロッグ、どっかで聞いたような……前にクロがベビーカステラの材料に使ってた気がする。それはそうとカエル肉が好きなのは、やっぱり蛇だからだろうか?


「そういえば、我が神は挨拶回りですよね? これだけの人数が居ては大変ではありませんか?」

「そうですね、なんだかんだで結構疲れますが、もうほとんど挨拶は終わってて、あと数人ぐらいで全部回り終えるので大丈夫ですよ」

「なるほど、ではせっかくこうして会ったのですし、敬愛する我が神にひと時の癒しを……ティアマトも構いませんか?」

「ああ、アレをするのですね。構いませんよ」

「うん?」


 なにをするつもりなのだろうかと俺が首をかしげると、フェニックスさんが指先に緑色の炎を灯して、それをティアマトさんの方に投げ、ティアマトさんがその炎を両手で包み込む。

 するとティアマトさんの手から淡い緑色の光があふれ、それがキラキラと粒子状になって俺の体を包んだ。それはほんの数秒だったが、風呂に入っている時のような温かさが全身に広がったかと思うと、少し体が軽くなった気がした。


「……いまのは?」

「私の再生の炎を、ティアマトの振動で細かく拡散させて我が神を包み込みました。気休め程度ですが疲労回復の効果があります」

「ミヤマカイトさんには説明していませんでしたが、私は振動を自在に操れるので合わせて微弱な振動で、軽く体を解させていただきました」

「なるほど、確かに少し体が軽くなった気分です。ありがとうございます」


 いや、本当になんというか……性癖さえ封印しておけば、ふたりとも普通にいい人ではあるんだよなぁ。いや、本当に性癖の問題が濃すぎて台無しになってるけど……。




シリアス先輩「変態ストッパーがしっかり機能してる。そしてティアマトは、超音波云々って話はあったが、音を操るわけじゃなくて振動を操作する能力か……普通に強そう」

???「そりゃまぁ、いちおううちの幹部ですし強いですよ。その気になれば電子レンジみたいなこともできますからね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
問題児の半分を封殺している つまり裏を返せば問題児の半分がアリス関係
[一言] すごい。ガンマ線出せたらつおい
[一言]  おぉ、フェニックスさんとティアマトさんだ!無意識に避けるほどの変態達……っと、そっか、アリスの指示でパンドラがお目付け役になっているから、今回はまともな状態なんだね。  「苦痛を感じられ…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ